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電子工作でテスタを安全に使うためには (連載 第2回)
アナログ・テスタでは、20年以上まえですが、電流測定中に誤って電圧を加え電流測定用の抵抗を焼損したことがあります。メーカの日置電機の秋葉原サービス・ステーションにもって行き修理をお願いしました。修理の代金より秋葉原までの交通費のほうが高くなりました。
ディジタル・マルチメータの場合はアナログ・テスタの保護回路に比べ大幅に強化されています。それでも昨年、電流レンジに設定したまま電圧を加えヒューズを飛ばしてしまいました。今回はディジタル・マルチメータを安全に使うための方法を調べてみました。
アナログ・テスタの保護回路は測定レンジで異なる
アナログ・テスタは抵抗経由でμAオーダーの高感度メータに直接測定対象の電圧が加わります。そのため、ダイオードのメータ保護回路などが用意されています。それでも、入力レンジによって安全に加えられる最大電圧は異なります。実例としてSANWAのアナログ・テスタ CP7Dの最大定格を取り扱い説明書から引用します。

上記の最大過負荷保護入力値の表に示すように、50V以上のレンジでは600Vまで保護されますが、10Vのレンジでは50Vまで、それ以下のレンジでは1.5Vと低くなり注意が必要です。また抵抗の測定レンジでは5Vです。電子工作で使用するレンジで問題になりますので、アナログ・テスタを使用するときは、とくに注意が必要です。
ディジタル・マルチメータの最大過負荷入力値
ディジタル・マルチメータの例として、PCとの接続の機能を持ったもっとも安価なSANWA PC20の取扱説明書の最大過負荷入力値を示します。

アナログ・テスタと異なり、ディジタル・マルチメータはアナログ・メータのような機構部品もなく、中核部品のLSIの入力回路にも保護回路が用意されています。そのため、電圧測定レンジではDC1000V、AC750Vまで保護回路で保護されます。その他の抵抗、ダイオード、コンデンサの測定レンジでは電圧を加えたり、電流の入力は禁止されていますが、DC500V、AC500Vまでの誤入力に対しては保護されています。通常身近にある最大電圧は、最近使われるようになったIHクッキング・ヒータやエアコンなどの200VのAC電源でしょう。通常の電子工作で使用する範囲では問題は生じません。
電流測定回路の保護はヒューズで
電流測定は、内部の100Ωから1Ω、0.01Ω、0.005Ωと電流の測定レンジに応じたシャント抵抗に測定対象の電流を流しその電圧降下の量から電流を決めます。そのため、この電流測定のためのシャント抵抗は、被測定回路に影響を与えないため小さな抵抗となっています。誤って、パソコンの5V電源を電流測定レンジの状態で加えると、1Ωのシャント抵抗の場合、5V/1Ω=5A 、5V×5A=25Wの消費電力、小型のはんだゴテの発熱量に近い値で、そのままではシャント抵抗が焼損してしまいます。
PC20では0.5Aのヒューズで保護しています。0.01Ωのシャント抵抗の場合、5V/0.01Ω=500Aとなります。実際は電源の保護回路が働き電源の供給できる電流の限界まで流れます。この場合もヒューズでシャント抵抗が保護され、PC20の場合15A/250Vのヒューズが用いられています。

高電流の測定はプラグの差込口も別に設定
ディジタル・マルチメータの場合、電流の測定レンジ以外は、内部の保護回路で保護されていますので、通常の電子工作の誤操作ではディジタル・マルチメータを破損することはないようです。
一方電流測定では、誤ってディジタル・マルチメータを損傷する以外に、電圧測定のつもりで誤って電流測定状態で電圧を測定するとその回路をショートさせることになり、測定対象の回路やボードを損傷する可能性もあります。
ディジタル・マルチメータPC5000などの多機能機では、上に示したのように電流レンジの端子が別に用意されています。電流測定時はロータリ・スイッチの切り替えと端子の切り替えが必要となります。ロータリ・スイッチの切り替えだけでは電流測定のモードにならないなどの誤操作の防止が図られています。
ポケット・ディジタル・マルチメータでは電流レンジがない
図に示すように、ポケット・タイプのデジタル・マルチメータはテストリードが本体に直付けされています。この場合、電流測定レンジがありませんので誤操作による回路やボードの損傷の可能性が少なくなります。
電流測定レンジがなくても回路中の抵抗の両端の電圧を測定することで電流がわかります。この方法で多くの場合それほど困りません。また、電流測定は後ほど説明するクランプ・メータを利用する方法があります。
事故の防止
一般のディジタル・マルチメータは、IEC61010の安全規格でCATIIIに分類される安全規格となっています。この規格は一般の家庭でいえば、配電盤から内側のブレーカを経由した電源の範囲で使用することが前提となっています。水没などで内部に問題を抱えているのを気づかずに、配電盤から先の電力線の電圧を測ろうとして、内部で短絡しディジタル・マルチメータが爆発するような事故が発生する可能性があるそうです。配電盤から内側の場合は、ブレーカで電源が遮断されるからそのような事故はないそうです。自動車の場合はバッテリの容量も大きく、発電機ももっていますが電圧が12Vもしくは24Vですから事故はおきないそうです。
電子工作で利用する電源は高くても24Vくらいで、商用電源からの供給を受ける場合でもトランスや絶縁されたスイッチング電源を用いることにしています。高電圧の測定はコンセントの電圧を測るくらいにしています。エレキジャックで扱う電子工作の多くはこの範囲です。間違っても指定外の使用は行いません。
次回は電圧の測定を行ってみます。
神崎康宏
タグ:
CATIII
IEC61010
テスタ
投稿者: news 日時: 2007年02月20日 13:21 | パーマリンク |TOPページへ ▲画面上へ
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