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はてなブックマークに追加   ディジタル・マルチメータで電流を測定する (連載 第6回)

 電流の測定には電流が流れる回路を切断し、ディジタル・マルチメータ経由で電流を流し、その電流を測定します。そのため電流測定時には、分断した回路をしっかり接続する必要があります。
 また取扱説明書でも、電流測定時には、回路の電源を切断し、テスト・リードをしっかり接続し、その後電源を投入し回路が安定した時点で電流値を読みとるようにと説明しています。ピン・タイプのテスト・リードで測定点を両手でしっかり接続すると、スイッチを入れるための手が足りなくなります。
SANWAのオプション・クリップ・アダプタ
 そのため、ピン・タイプのテスト・リード以外に、次に示すように、各種のクリップ・アダプタが用意されています。
クリップ・アダプタ

 TL82のテスト・リードと、CL13のわに口クリップが、PC5000~PC500のディジタル・マルチメータに標準で添付されています。このわに口クリップは大きく、ばねも強くしっかりしていて電力回路の測定には安心して利用できます。
 しかし、基板上の回路のテスト・ピンのクリップには少し大きすぎて不便です。基板上やブレッドボードのテスト回路のクリップではCL11や次に示すICクリップのTL-8ICなどが使いやすいサイズです。

TL-8IC

 PC5XXXのシリーズのテスト・リードだけほかのディジタル・マルチメータのテスト・リードと異なり、テスト・リードの絶縁部の先の形状が少し異なっています。そのため、CL13の大型のわに口クリップ以外はカタログ上はTL-82のテスト・リード対応となっていません。
 しかし、ほかのクリップでも、カバーの口が少し狭く、TL-82のテスト・リードに差し込むとき少し余分に力がいりますが、それさえ気にならなければ、なんら問題なく利用できます。カバーが少し狭い分、密着がよくなっています。写真のCL11はカバーを少し切り取ってあります。その分、取り付け/取り外しが少し楽になっていますが、切り取らなくても問題なく利用できます。TL-8ICはそのまま利用しています。
 
●トランジスタによるLEDの点灯制御回路の電流測定
 次に示す、乾電池4本を電源とし、2SC1815のトランジスタでLEDの点灯を制御する回路をブレッドボード上に作り、回路に流れる電流を測定してみます。
① 電源として単三乾電池4本を電池ボックスにセットして使用
② 回路をブレッドボードに組む
③ 動作を確認した後電源をはずし、トランジスタのエミッタと電源
   のマイナスを接続しているジャンパをはずす
④ 電流の流れる方向に合わせて、赤のテスト・リードを
  トラジスタのエミッタ、黒のテスト・リードをマイナス電源に
  接続する
⑤ ディジタル・マルチメータのファンクションが所定の
  電流測定レンジになっていること、回路の接続に間違いない
  ことを確認しプラス電源を接続し、表示が安定したら
  電流値を読み取る

回路に流れる電流を測定

●テスト回路の詳細
 テスト回路は、トランジスタのベース(B)に10kΩの抵抗を介して、+電源に接続します。そのためトランジスタのベースには、電源電圧からトランジスタのベース-エミッタ(E)間電圧約0.6Vを引いた電圧をベースに接続した抵抗10kΩで制限された電流が流れます。

オームの法則
      I(電流A)=E(電圧V)÷R(抵抗Ω)

から、
   ベース(B)に流れる電流=(電源電圧-約0.6V)÷10kΩ

となります。
 ベースに電流が流れると、ベース電流より大きな電流がコレクタ(C)-エミッタ(E)間に流れ、LEDが点灯します。エミッタ、-電源の間には、ベースとコレクタに流れ込んだ電流の合計が流れ出すはずです。
その確認のための電流測定を行います。

テスト回路

 上の写真のベースのそばの赤いリード線は、ベースと-電源を接続してベース-エミッタ間の電位差を0Vにして、トランジスタのコレクタ-エミッタ間の電流を流れないようにします。そのためLEDには電流が流れなくなり、消灯します。このリード線で、-電源とベースを直結するかしないかで点灯、消灯を制御します。写真はオープンにして点灯しているところです。
 ブレッドボード上では、リード線のスイッチの代用もできます。
●測定結果
 測定は、ディジタル・マルチメータの該当する電流レンジ、PC20の40・400mAで測定した電流値と併せて、ベース、コレクタの抵抗の電圧降下と抵抗の値を測定しました。

ベース、コレクタの抵抗の電圧降下と抵抗の値を測定


 ベース(052mA)、コレクタ(4.03mA)に流れ込む電流の合計がエミッタから流れ出す電流値(4.55mA)に一致しました。回路を切断し、ディジタル・マルチメータ経由で電流を流すなど少し処理が必要になりますが、電流計があると回路の電流を直接測定することができます。
 一方、ベース、エミッタに接続されている抵抗の電圧降下から求めた電流値も同じ値になっています。抵抗の値を表示値でなくディジタル・マルチメータで測定した実測値で計算したので同じ値となっています。表示値で計算すると2%くらいの差があります。通常使用される抵抗は表示値に対して最大5%くらいのばらつきがあります。高価な精度のよいものでも2%から1%くらいのばらつきがあります。
 ディジタル・マルチメータの抵抗の測定の確度はPC20で、±1.2%+2デジット、PC5000では±0.2%+6デジットの範囲ととなっています。

●回路中の抵抗の電位差から電流を推定する
 実際の回路中に抵抗がある場合は、稼動中でも、回路を切断することなく、その抵抗の電位差を測定して電流を求めることができます。なお、回路を切断することなく測定できるので、抵抗のある場所なら何か所も連続して測定できて便利です。

●必要なら抵抗の値を測定しておく
 ディジタル・マルチメータの場合、電圧測定だけでなく、抵抗の測定確度も高く、事前に抵抗の値を測定しておけば、電流計で直接電流測定するのと同様の確度で測定できます。
 基板に接続した後では、抵抗に接続されているほかの回路の影響で、多くの場合正しい値になりません。電流測定を高精度で測定したい場合は、事前にその抵抗の値をディジタル・マルチメータで測定しておきます。回路を組み、テスト時に該当する抵抗の両端の電圧をディジタル・マルチメータの電圧レンジで精度良く測定できます。

●電流測定用のクランプ・メータ
 基板などの回路のテスト時は以上のような電流測定で回路のチェックが行えますが、電気機器の消費電流を測定する場合は電流計が必要になります。AC/DCの測定用にフレミングの法則に基づくクランプ・メータが別に用意されています。
 また、PC5000やPC20でクランプ・メータとして利用できるクランプ・グローブも別売されています。後で、このクランプ・グローブを使用してディジタル・マルチメータをクランプ・メータとして使用した利用例を説明する予定です。
 



神崎康宏

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投稿者: news 日時: 2007年03月20日 09:24 | パーマリンク |TOPページへ   ▲画面上へ

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