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キットも電子工作の入門ツール 連載(1-5) 第1部完

■メカニカルな機構はよく見ればわかる
キットのメカニカルな部分は、部品や組み立てて動いた状態を見れば基本的な原理は理解できます。次にモータの回転の力を伝える例を示します。
 
タイヤ付近減速ギヤ

左側の写真は、モータの軸とタイヤの摩擦抵抗で駆動力を伝えています。右側の例は、はすばギヤで回転方向を変え、多段の平歯車で回転数を減速し駆動輪を動かしています。
 
裏面から見る
 
摩擦抵抗で動力を伝えるためには、接触面に加重をかけなければなりません。そのため車輪をクランプ保持し、車輪が上下に動くようにして、車体の重量の一部をモータの軸で受けて、摩擦による駆動が可能になるようになっています。
今回検討したキットは、左右のモータの回転を別々に行うことによって方向転換を行っています。このようにメカニカルな仕組みは、よく観察することでその仕組みを理解することが可能です。

電子回路は見ただけではわからない
インポリュート曲線により歯車の形状を決めたり、部品の強度、工作精度など専門的な知識を必要とする部分も多くありますが、メカニカルな機構(からくり)はよく見ればその仕組みの概要は理解できます。一方、電子回路による制御部分は写真に示すように、同じようなトランジスタ、抵抗、コンデンサなどの部品が認められますが、その動作は回路の詳細を確認しなければ動きはわかりません。
 
表面
 
電子回路の理解の第一歩をキットが担ってくれます

キットで部品をはんだ付けして、組み立てると部品の種類、形状、表示方法、取り扱いの注意事項などがわかるようになります。初めて電子工作に触れる場合でも、キットの説明書は電子部品の名称、表示項目の説明、ピンの番号、ピンの名称、回路への接続方法など詳しい説明があります。キットは入門者にとって大変助かる存在です。
後は、個々の回路の働きを確認・理解すれば、電子工作に必要な電子回路を自分で設計製作できるようになります。
マイクロホンに入った手をたたく音を増幅するための回路がどのような原理で動いているのか、電圧の有無でモータを制御するための方法などがわかれば、今は単に部品が並んでいるだけの基板が、それぞれ役割を担った回路のブロックで構成されているように見えてきます。

■ブレッドボードで回路の確認
次回以降、電子回路の試作・確認に便利なブレッドボードを取り上げ電子工作のために必要な各回路の仕組みと働きを確認します。
筆者が一番良く利用しているブレッドボードに回路を載せたもので、拙著の『ガーデニングとホーム・セキュリティの電子工作入門』で使用したサンプルと、裸のブレッドボードを示します。
 
ブレッドボードブレッドボード
 
このブレッドボードは、簡単に部品を差込み、いろいろな回路をブレッドボード上で組み、動作を確認することができます。ブレッドボード上で、それぞれの回路を構成するデバイスに電圧を加えたり、信号を加えたりして動作を確かめ仕組みを理解していきます。

■アペンディックス
今回、オトウゴキングという音に反応して動くキットを組み立ててみました。はんだ付けが必要なキットです。ICを利用しているので、電池を4本使用しています。
 
オトウゴキングのキット
 
車輪は、赤いゴム・タイヤをモータの軸で直接擦って駆動しています。本文中で示したようにタイヤをモータの軸で押さえて十分な摩擦力が得られるように工夫されています。
 
オトウゴキングを組み立てた
 
組み立てると、写真に示すようにエイのような型になります。部品は間違いなく取り付けられるようになり、動作も最初の拍手でスタート、次の拍手で止まり、次の拍手でその場で回転し、次の拍手でまた止まり、次の拍手で反対に回転し、次の拍手で止まります。
以後同じことを繰り返します。マイクで拍手を拾い、トランジスタの回路で拍手の音を増幅し、その信号をICで受け、ICは信号を受ける度に所定の手順に従ってモータのON/OFFを行っているようです。しかし写真の回路を見ただけでは、車輪の駆動のようにははっきりわかりません。次回から、いままで取り上げたキットの制御回路を主に、じっくり回路の仕組みを調べてわかるようにします。これが電子工作の面白いところだと思います。


神崎康宏

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