秋月電子からボイスレコーダのICが別売されたのを機会に、先に販売されていた同じICが使われているキットを製作してみました。ボイスレコーダ関連のキットは他にもう1種類ありますが、今回紹介するものは複数フレーズに分割録音したものをランダムに音声再生できる設定があり、マイコン制御もできそうです。
このキットでの録音されたメッセージは電源を切っても消えません。このキットの回路はデフォルト設定の1メッセージを60秒間扱えるモードのみです。
実際に60秒間メッセージを入れてみると結構長く感じられます。
製品名:Happiness Voice Recording (60秒録音再生)キット
家庭内の伝言メッセージ・ボックスなどに使えるかと思いましたが、録音されたかどうかのインジケータがないのでちょっと不満です。あらかじめ録音しておいて、ボタンを押すと毎回同じメッセージを再生する用途に使えそうです。アプリケーションが思いつかないので、キットのみを製作したレポートです。
1.どのようなものか
今回製作するものはハピネス・ボイスレコーディング-60秒(キット)というもので、シングルICで60秒間録音/再生するものです。フラッシュメモリに音声データが保存されるので、電源を切っても電池がなくなっても、録音したデータが消えることはありません。
本キットにはプリント基板と部品のほか、マイクとスピーカなどが付属しています。あらかじめ単3乾電池4本を購入準備しておけば、ハンダ付けが完成することですぐに使用できます。

2.キットの内容
このキットは大きく、プリント基板、電池ボックス、スピーカ、説明書(英語および中国語)、基板上の部品からなります。まず、部品が全てあるか部品表で確認しましょう。

《部品その1》
「基板上の部品」を袋から出してみると、大きなIC以外は見慣れたものです。部品表にない「基板のスペーサ」(写真の?マーク)が付属していました。

《部品その2》
キットに付属する英文説明書の日本語版は別売の単独IC商品にあります。この中にそのまま日本語和訳された説明書が入っています。あとでこのICを何かに使おうと思っている方、一緒に購入しておくのも良いかと思います。

《別売のIC単独製品》
3.組み立て
まず最初は基板を完成させます。部品表から特に抵抗器は値をカラーコードで確認しておきます。値が不明だったらテスターで確認しておきます。実際に部品を基板のシルク表示にあわせて、どの部品がどの位置・方向なのか仮置きして確認しておきます。
入手した基板の穴はスピーカを落としこむようになっているようですが、穴が数mm小さいので落ちません。今回はヤスリで穴を大きくして、スピーカは基板の穴に入るようにしました。
《プリント基板のシルク印刷》

プリント基板への部品のハンダ付けは背の低い抵抗器からハンダしていきます。ICソケットは基板のシルク(絵)にあわせて、カドの欠けた部分の向きに注意し、傾かないようにハンダします。LED、電解コンデンサ等は極性に注意して行います。マイクについてはケースがハンダしてある側(GND)のリード線を写真向かって左になるようにしました。極性のシルク表示がないので、どちらでも良いのかもしれません。
もう1度、部品は正しく取りつけてあるか確認しましょう。

《完成したプリント配線板》
次にスピーカと電池ボックスの基板への配線を行います。電池はすでにボックスから赤黒線が出ています。赤線は基板の電源+表示のところにハンダします。スピーカも赤黒線ですが、基板側は赤を+表示にするとしても、スピーカはどちらを赤線にするのか記載がありません。結局どっちでもOK。

《プリント基板にスピーカと電池ボックスを取りつけた》
完成した基板に基板のスペーサを取りつけて少し浮かせ、スピーカを穴に落としこみます。ここで電池ボックスに電池を入れるとすぐ動作します。電源スイッチはありません。電池を入れると幅は7cmで長さが15cmになります。100円ショップの箱に単に入れてみました。

《箱に入った基板》
4.動作確認/使用方法
完成したこのボイスレコーダの操作方法は次のように行います。
1)音声メッセージの録音
スライド・スイッチSW1を「REC」側にして緑LEDが点灯するのを確認します。
その横のPLAY/REC押しボタン・スイッチSW2を押したまま、赤LEDが点灯、ピーとなるまでちょっと待ちます。ピーと言う音が聞こえたら、そのまま押しボタン・スイッチSW2を押したまま、マイクの近くで話し、録音します。
話し終わったら押しボタンを離し、ピーと音が鳴り赤LEDが消灯します。緑LEDは点灯したままです。
これで音声の録音は完了しました。
録音を60秒以上(実測で67秒)していると、ピー ピーと鳴り、録音を強制終了します。録音はその時点まで行われます。 録音は、すでにメッセージが入っている場合、それを消去して新しいメッセージを録音します。
2)音声メッセージの再生
スライド・スイッチSW1を「PLAY」にすると赤LEDが点灯して、録音した音声がスピーカから出ます。
PLAY/REC押しボタンSW2を押すと録音した音声再生がスピーカから出ます。
もう1度聞きたいときは、再度押しボタンを押すと音声再生します。
3)動作を中断させる
音声を録音または再生しているときに中断する場合は押しボタンスイッチRESETを押します。
5.評価
実際に使ってみると再生される声が小さく感じます。そのために録音するときはかなりマイクに近づいて話さないと再生するとき声が小さくなります。
また、伝言メッセージのように録音して、再生する用途にと思っていました。しかし、これは新しいメッセージが録音されているかの表示がありませんので、ちょっと人間系で対応が必要です。また、メッセージ消去スイッチもないので、その伝言が聞いたのかわかりません。音質もそんなに良いものではありませんので、音楽を録音するには向きません。
一度録音したものを、何度も再生する用途には向いている気がします。例えば、出力にオーディオ・アンプを接続して、ボタンを押すと1分間の案内メッセージを流すような物には良さそうです。
6.もう少し調べてみる
このICは何か別の目的で使えるみたいなのでもう少し調べてみましょう。ボイスレコーダで使用しているICはAPLUS社のAPR9600でデータシートもあります。
今回のキット回路はこのデータ・シートのテープ・モードのワン・メッセージ回路のようです。
次の回路図はAPLUS社のAPR9600でデータ・シートから抜粋です。
実際の回路はCEピンにスイッチがついており、手動で録音再生を中断できるようになっています。
60秒も録音時間が必要が無い場合、抵抗を小さくすることで録音時間を短くして音質を良くすることができます。抵抗R7(Rosc)の82kΩに新たに33kΩの抵抗を並列に裏から接続すると約24kΩになります。こうすれば録音時間が半分の30秒程度の少し音質が良くなります。実際の時間は35秒でした。
82kΩと33kΩの抵抗並列計算R =
(82*33)/(82+33)=23.53 kΩ 5%誤差だと22.35k~24.17kΩ
《APLUS社のAPR9600でデータ・シートの抜粋表、抵抗とメッセージ時間の関係》

《基板の改造ハンダ箇所は写真の位置になる》
この並列に接続する33kΩ抵抗をON/OFFすると音質が変わることを利用して、面白い声を再生できます。抵抗OFFで録音して録音します。次に抵抗をONして再生すると甲高い声になってスピーカから音がでます。つまり60秒で録音した声を30秒で再生することになります。逆も面白いでしょう。
また、このICの設定を変えることで複数のメッセージを順番に録音/再生したり、複数のメッセージ(最大8)をランダムに録音再生もできます。ICチップ単独でも販売されていますので、別途回路を作り、マイコン接続で制御すると面白いものができそうです。詳しくはデータシートを参照ください。

コメント (12)
マイクは、この記事通りでOKです。
FET入りエレクトレットコンデンサーマイクなので極性があります。
ありがとうございます。byごだ
投稿者: たけぴょん | 2007年8月29日 22:42
日時: 2007年8月29日 22:42
電源を入れたときに、繰り返し再生するにはどうしたらよいでしょうか。教えてください
投稿者: Corky | 2007年9月15日 20:34
日時: 2007年9月15日 20:34
電源を入れたときに、繰り返し再生するには改造が必要のようです。
紹介したデータシート(http://www.aplusinc.com.tw/data/apr9600.pdf)を参照すると書いてありますので、できると思います。
投稿者: 後田敏 | 2007年9月18日 15:05
日時: 2007年9月18日 15:05
8音声改造をしてみたのですが上手く動作しません。
改造例があったらお示し頂けませんでしょうか。
投稿者: 展示業者 | 2007年9月27日 14:45
日時: 2007年9月27日 14:45
私のやってみたい改造なので、挑戦したいと思いますが、
掲載までにはちょっと時間がかかるかもしれません。
投稿者: 後田敏 | 2007年9月27日 16:09
日時: 2007年9月27日 16:09
後田さんの記事が出来るのに、お時間がかかるという事なので参考までに書いておきます。
データーシート通りに変更すればOKです。
制御スイッチの部分のみですので簡単ですがパターンカットが面倒かもしれません。
(自分の場合、パターンを追いかけるのが面倒なのでICソケットを重ねる方法で基板自体は無改造にしました。)
以下に写真によると簡単な解説があります。
http://jikken.jp/icrec/irec.htm
投稿者: たけぴょん | 2007年9月27日 21:39
日時: 2007年9月27日 21:39
たけぴょん 様
お教え頂ありがとうございます。
お教えのページに記載された方法で試したところ上手く動作しました。
快調に動作しており気持ちの良いくらいです。
本当にありがとうございました。
投稿者: 展示業者 | 2007年10月 4日 13:52
日時: 2007年10月 4日 13:52
後田敏 様
繰り返し再生の件ありがとう御座います。
ところで、オリジナルのキットの指示通り組み立てを行なったんですが、再生してみると「ピーーー・・・・」と雑音が入ります何が問題なのでしょうか。
お分かりになる方いらっしゃいますか。
投稿者: Corky | 2007年10月11日 19:05
日時: 2007年10月11日 19:05
後田様
はじめまして。突然で失礼いたします。電子工作初心者です。
模型に組み込みたいのですが録音しておいたものを電源を入れるだけで(ボタンSWを押さずに)再生するように改造することは可能でしょうか。よろしくお願い致します。
投稿者: ぐりぐり | 2007年12月20日 13:05
日時: 2007年12月20日 13:05
実際に試した方が良いと思います。
ちょっとここでPLAYボタンを押しながら電源を入れると、確かに録音した音の再生はします。
SW部分をジャンパしておけば電源起動で再生するかと思います。
英文の説明書もダウンロードできますので、壊さない程度に色々実験してみてください。
投稿者: 後田敏 | 2007年12月21日 19:49
日時: 2007年12月21日 19:49
早速お返事いただきありがとうございます。
ジャンパするだけでよければラッキーです。
実はまだ組み立てていないのでとにかく組み上げて
実験してみます。ありがとうございました。
投稿者: ぐりぐり | 2007年12月21日 22:18
日時: 2007年12月21日 22:18
下記に続編の4メッセージ改造記事があります。
http://www.eleki-jack.com/KitsandKids2/2008/01/60_1.html
そこに書いてありますが、抜粋したメーカの回路図は24ピンと25ピンの信号名(MSEL1/2)が逆です。
メーカの最新のデータシートは訂正されています。
とりあえず両方ピンともGNDにして使っています。影響ありませんので、このまま図は訂正しないでおきます。ご注意ください。
投稿者: 後田敏 | 2008年1月 6日 17:48
日時: 2008年1月 6日 17:48