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連載 GPSによるナビゲーション(8) 現在位置の計算と標高

現在位置の決定

 今回は、衛星から発信される発信時刻、衛星情報を基にGPS受信機の現在位置を算出するための方程式を考えます。図に示す(X,Y,Z)はGPS受信機の座標、上空の衛星の座標(Xn、Yn、Zn)、受信機と衛星との距離をRnとします。


13010xyz1.jpg


4個の衛星との距離から現在の座標(X,Y,Z)を求める。

図は国土地理院のWebの図を元に衛星などの情報を追加した

GPS衛星1の座標を(X1、Y1、X1)、衛星1からの距離をR1
GPS衛星2の座標を(X2、Y2、X2)、衛星2からの距離をR2
GPS衛星3の座標を(X3、Y3、X3)、衛星3からの距離をR3
GPS衛星4の座標を(X4、Y4、X4)、衛星4からの距離をR4

各GPS衛星は同期して同じ時刻に計測のための電波を発信しています。衛星の発信したメッセージから、発信時刻 Tsと衛星の座標を求めることができます。GPS受信機は衛星の発信時刻をTs、各衛星メッセージの受信時刻をT1、T2、T3、T4としてTsとの差から、衛星からのメッセージの到着時間を求め、これに電波の速度を掛け衛星からの距離を求めます。

四つの衛星で全未知数が決められる

GPS受信機の座標と、衛星の座標から求めた距離との関係は次のようになります。
電波の到達時間で求められた距離にGPS受信機の時計の誤差dを補正し、電波の速度をCとすると

到達時間より求める距離

   距離=(Ts-T1-d)×C 

座標から求める距離

  (距離)^(2)=(X-X1)^(2)+(Y-Y1)^(2)+(Z-Z1)^(2)


この二つの距離は等しいので、組み合わせで各衛星ごとに式をたて、次の四つの連立方程式が得られます。

(X-X1)^(2)+(Y-Y1)^(2)+(Z-Z1)^(2)=R1^(2)=((Ts-T1-d)×C)^(2)
(X-X2)^(2)+(Y-Y2)^(2)+(Z-Z2)^(2)=R2^(2)=((Ts-T2-d)×C)^(2)
(X-X3)^(2)+(Y-Y3)^(2)+(Z-Z3)^(2)=R3^(2)=((Ts-T3-d)×C)^(2)
(X-X4)^(2)+(Y-Y4)^(2)+(Z-Z4)^(2)=R4^(2)=((Ts-T4-d)×C)^(2)

未知数は、GPS受信機がある場所の座標(X,Y,Z)とGPS受信機の時計誤差dの四つです。四つの式があるので解は決まりますが、計算に時間がかかり、コンピュータの数値計算により解を求めます。特に最初に座標を求める場合は、捕捉する衛星の情報(アルマナック)がないため、捕捉する衛星の軌道を予測できません。
そのため、数値計算を何回も繰り返し計算の収束に時間がかかります。衛星を補足すると、衛星から衛星の軌道情報が得られます。その後は衛星の軌道を予測し衛星を捕捉して現在位置を計算するので収束する時間が短くなり、初めて測定する時より短時間に測定が完了します。


直交座標を地球楕円体の極座標に変換

上記の方程式を解いた後は、X,Y,Zの直交座標の値を、経緯度と地球楕円体の表面からの標高の値に変換し測定結果とします。経緯度の値には問題ないのですが、高さは地球楕円体の表面からの高さの楕円体高が得られます。楕円体高は、海水面が地球楕円体の表面と一致しない場合があり、海抜0メートルの海面からの海抜で示す標高と異なる場合が生じます。

ジオイド

海水面ですべて地球を覆ったと仮定した場合の地球楕円体の海水面をジオイドと呼びます。このジオイドは、地球楕円体の覆う海水が地球の自転による遠心力、地球の重力密度の地域的な偏りなどの影響を受けて地球楕円体の表面と異なった形状を示しています。地球楕円体表面とジオイド面の鉛直方向の差をジオイド高と呼び、標高と楕円体高、ジオイド高の関係は次のようになります。  標高 = 楕円体高-ジオイド高 

GPS12030.jpg

国土地理院のホームページで緯度、経度を入力するとジオイド高が計算され表示されるページがあります。
CQ出版のある巣鴨のジオイド高は37.079mが得られました

GPSmap 60CSxの標高

以前はGPSで測定される標高は誤差が大きく使い物にならないといわれ、気圧高度計により高度の測定が行われていました。GPSmap 60CSxの場合も、そのためデフォルトで使用されるのは気圧高度計です。そのため、高度計の校正が最初に必要になります。
校正は次の三つの方法で行われます。
高度の画面でメニューボタンを押しメニューを表示します。メニューから高度校正を選択します。

(1)正確な高度がわかりますか?
の表示に対して、現在位置の標高がわかっている場合、「はい」で答えて、現在位置の正確な標高を入力することで気圧高度計の校正が行われます。現在位置の高度がわからない場合、「いいえ」で答えると次の表示に進みます。

(2)正確な基準気圧がわかりますか?
これに対して、その地域の現在時点の基準気圧が分かれば、「はい」で答えて基準気圧を入力します。基準気圧はその地方の気象台が発表した気圧の値が利用できるでしょう。

どちらもわからない場合は、気圧高度計の校正を行わないで、GPSの高度計の値で校正します。

(3)高度計の高度校正で上記の(1)、(2)に対して「いいえ」で、GPSがONになっていると、「現在のGPS高度計を使いますか?」と表示されます。

このとき下の高度の表示欄にGPS高度が表示されます。GPSで計測された高度を校正に使用する場合「はい」で答えて校正を終えます。

気圧高度計の校正は、デフォルトの設定では、自動的にGPS高度で校正されています。
これは、メインメニューの設定メニューの高度のアイコンを選択し確認できます。
現在位置の正確な高度がわかっている場合、上記の(1)で気圧高度計の校正を行うと、軌跡など記録が正確な高度に校正されます。

GPSmap 60CSxのGPS高度

上記の(3)で表示されたGSP高度が楕円体表面からの高度なのか、ジオイドの補正が行われているか、メーカに問い合わせましたが、これらの情報が公開されていないとのことでわかりませんでした。異なった場所でGPS高度を確認検討し、ご報告します。

〈神崎康宏〉

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