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連載キットで作る OPアンプよる信号増幅回路(5)反転増幅器(2)連載(5-5)

前回に測定した、反転増幅器の測定結果をグラフ化し、その結果を検討します。
引き続いて、反転増幅器の増幅率について考えてみます。

測定データをグラフ化する
増幅器の増幅率は、入力電圧の変化に対する出力電圧変化の比となります。グラフの、直線から外れる上下の部分を除いた、測定点を通る直線の傾きからも増幅率を求めることができます。+入力端子と-入力端子間電圧を直接測定した前回の結果をグラフ化します

(前回の最後に表示した測定結果)

kt0250005.jpg

 

EXCELのグラフ機能を利用して、測定結果をグラフ化します。グラフの種類はEXCELの散布図(各点を直線で結んだもの)を使用しています。


kt0250010.jpg全測定点をもとに直線を引く
誤差などのばらつきのあるデータをもとに、最も妥当な直線を引く方法があります。最小二乗近似による回帰式を求める方法です。EXCELの散布図作成のなかに近似曲線作成機能があり、この中に直線回帰式を求める機能があります。

この機能を利用して入力電圧と出力電圧の関係式を求めます。

グラフ上の直線近似を求めるデータ系列を選択する


グラフ上の直線近似を求めるデータ系列をマウスでクリックして選択します。選択後、マウスの右ボタンをクリックすると、図に示すプルダウン・リストが表示されます。その中の近似曲線の追加を選択します。

各種の近似、回帰曲線を求めることができる
近似曲線は線形近似、多項式近似、指数近似、移動平均と多様な解法が用意されています。

 

kt0250030.jpg線形近似が、1次式で求められる直線近似のことで、今回はこの線形近似を選択します。
次に、オプション・タグを選択します。


kt0250040.jpgオプションのタグでは、「グラフに数式を表示する」をチェックします。これによりグラフ上に次に示すように回帰式が表示されます。


kt0250050.jpg

測定点から求めた回帰式は次のようになります。
  Y=-10.179X+2.04017
Xの係数‐10.179は増幅回路の増幅率となります。切片2.4017は入力0時の出力で、入力の基準電圧と同じになります。


反転増幅器の増幅率の考え方

 

kt0250060.jpg反転増幅器の動作は次のようになります。
-入力端子の電圧が+入力端子電圧より大きい場合、出力は-側に振れます。そのため負帰還抵抗R2で出力と結ばれている-入力端子の電圧は減少します。-入力端子の電圧が減少して-入力端子電圧が+入力端子電圧より小さくなると出力電圧は増加します。出力電圧が増加すると、負帰還抵抗R2が接続されているので-入力端子の電圧が増加します。そのため、+入力端子電圧と-入力端子電圧は常に同じ値になります。入力電圧V-iが変化しても、-入力端子電圧は常に基準電圧と同じ値になっています。またR2とR1に流れる電流は同じ値(I)ですので、入出力の関係は次のようになります。

       Vo =R2×I
       V-i =R1×I
            Vo/V-i =(R2×I)/(R1×I)
            Vo/V-i =R2/R1
今回のR1、R2は表示値ではR1=100kΩ 、R2=1MΩ R2/R1=10
R1,R2の抵抗値をディジタル・マルチメータ(SANWA PC5000)で測定すると、R1=97.6kΩ、R2=993kΩとなりました。

抵抗値の実測による増幅率 Vo/V-i =R2/R1=993/97.6=10.17
となりました。実測した値、また回帰式より求めた値とも良く一致しています。

アペンディックス 最小二乗法
上記の反転増幅器の入出力特性を求めた回帰式は最小二乗法により求めています。この最小二乗法とは、仮定された回帰式を実際の測定データに当てはめた場合の誤差の総和が最小になるような回帰式を求める方法です。誤差はプラスやマイナスの場合がありますので単純に合計すると、プラスの値の誤差とマイナスの値の誤差が打ち消しあい見かけ上小さな値になります。そのため、誤差を二乗した値の総和を最小にする回帰式を求めます。各実測値の誤差は、実測値(Xa,Ya)のXaを回帰式に導入して求められた値とYaの差を二乗して求めます。

この回帰式を求めるためには、行列演算を行うなど演算量が多いので昔は計算が大変でしたが、コンピュータを利用できるようになり簡単に求められるようになりました。

<神崎康宏>

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