前回、秋月電子が販売する「60秒ハピネス・ボイス・レコーディング・ キット」のレポートをしました。
今回はスイッチを4個取りつけて、それぞれ録音再生できるよう4メッセージ対応に改造実験してみました。
このキットは1個のICで60秒間の録音再生するものです。音声データは内部のフラッシュ・メモリに保存されますので、電源を切っても、電池がなくなっても録音したデータは消えません。
1/8 キット販売情報などを訂正しました
1.4メッセージ対応に改造する
前回完成したキット基板はプリント基板形式で、マイクとスピーカなどが付属しています。単3乾電池4本にて動作します。
キットと異なる点は音質を良くするためにサンプリング速度を上げて、30秒録音再生用に変更しています。抵抗R7の82kΩに新たに33kΩの抵抗を並列に裏から接続すると約24kΩになります。このような変更では録音時間が半分の30秒程度に減りますが、その分少し音質が良くなります。実際の録音時間は35秒でした。
82kΩと33kΩの抵抗並列計算R =
(82*33)/(82+33)=23.53 kΩ 5%誤差だと22.35k~24.71kΩ
これで音質が良くなる分、録音再生時間は60秒から35秒に減ります
この変更しないで、今回の4メッセージ改造を行う場合は、録音再生が元の時間のとおり長いままになるだけで、動作はそのまま同じです。
4メッセージ改造は4個のスイッチを付けて、それぞれ約8秒間の録音再生を4通りできるようにします。
この改造は、使用しているICのAPULS社のAPR9600データシートを見れば簡単に行えます。
改造は基板のパターン・カットせずに、コメントに書かれました「じっけんくらぶ」のアイデアを参考にさせていただきました。つまり、ICソケットにスイッチ基板を取りつけ、そのICソケットをメイン基板の上に上に載せる方式です。改造後の写真です。4個の外付けのスイッチが外に出してあります。
(参考)
改造前に、まず今のキットが正常に動いているか確認ください。こうすれば発生した問題は改造前か後かの判断ができます。
2.改造内容はこれ
先に示すこのICのデータシートには8個のスイッチで8種類のメッセージを録音再生ができるような、サンプル回路図が掲載されています。
ここの10ページに「Figure 3 Random Access Mode : 2 / 4 / 8 Message」の回路図があり、これを下記に抜粋します。
このサンプル回路図のMSEL1(24ピン)とMSEL2(25ピン)の信号名は前回の記事の時点では逆になっていました。現在、ドキュメントに記載されている信号名(ピン番号)は上記のように修正されています。
メッセージ分割したランダム録音再生の仕様は、次のように2,4,8の3通りのメッセージ分割ができるようになっています。キットではMSEL1とMSEL2をGNDに落とし、テープ・モード(シーケンシャル・アクセス)動作で使っています。
分割数 MSEL1 MSEL2 M8 スイッチ
-------+--------+-------+------------------------------+-------------------------------------
2 0 1 100kでプルアップ M1とM2
4 1 0 100kでプルアップ M1~M4
8 1 1 100kでプルアップ M1~M8 M8はプルアップと共通
必要な部品は28ピンICソケット、タクト・スイッチ(押しボタン・スイッチ)が4個と抵抗100kΩ1本などです。
4メッセージ改造(分割数=4)で、関係するICの信号線は次の通りにします。
・MSEL2(25ピン)がGNDになっているので、そのままにします。
・MSEL1(24ピン)はGNDから電源(プルアップ)に配線します。
・メッセージ選択用M1,M2,M3,M4(1ピン~4ピン)に押しボタン・スイッチを接続します。
・M8(9ピン)を100kΩの抵抗でプルアップします。
・M7(8ピン)は回路をオープンにしておきます。
回路図は以下のようになります。これで録音再生は4メッセージのランダム・モードになります。
実際の作業は、次のようにICソケットのピンを外に曲げて下のICソケットに差し込まないようにし、スイッチや抵抗を取りつけたスイッチ基板と配線して作ります。
・ICソケットはピン1,2,3,4番ピン、8,9番ピン、24番ピンを外に曲げておきます。
・押しボタンをユニバーサル基板にはんだ付けします(スイッチ基板)
・このスイッチとICソケットのピン1,2,3,4番ピンをそれぞれ配線します。
・ICソケット9番ピンはスイッチ基板で100kΩプルアップします。
・ICソケット24番ピンは電源に接続します。
・8番ピンは配線しません。
で、使うときには次のように、向きをあわせてメイン基板のICソケットの上に載せます。スイッチ基板の電源とGNDをメイン基板の電源から供給を受けるように接続します。
ちょっと基板とICソケットの関係がわかりにくいので、ソケットから取り外すとこのようになります。基板のICソケットに改造したICソケットを重ねています。
3.動作確認スイッチ基板の四つの押しボタンの位置でそれぞれメッセージを録音/再生できます。録音モードではそのスイッチの位置で押している時間または最長約8秒で録音ができます。再生モードではその位置のスイッチで押したときに、録音した音声が最大約8秒間再生します。
これで4通りのそれぞれ約8秒間メッセージをランダムに録音再生できることになります(録音時間変更していない場合は、音質が落ち、その分2倍の16秒程度になる)。
ICチップ単独でも秋月電子にて販売されていますので、別途購入しておくと、いろいろなメッセージを保存しておけます。
(参考) 付属する説明書のサンプル回路図は信号名APULS社のAPR9600でデータシートの回路図が違っていましたので、ここでも逆になっていました。本日現在、秋月電子のホームページに掲載されているデータシートも直っていません。最新版のデータシートを参照してください。
今回メイン基板はまったく改造していません。そのまま改造したICソケット部分を取り除き、ICを挿すことでテープ・モードの約35秒音声録音再生が従来どおり使えます。
この録音再生ICに音声を録音して、別途再生専用の回路を作ると面白いものができそうです。再生専用のこのICをマイコン接続して制御すれば、いろいろな場面で音声を出すようなことができますので、アイディアは広がります。
テープモードで繰り返し再生する改造もできますので、これは結構面白ICです。
訂正:
この改造のベースとなった基板のキットは本日1/8Webで確認したところ販売されています。また、「ブレッドボード・60秒録音再生ボイスキット」も売られています。
後田 敏

コメント (3)
>1.4メッセージ対応に改造する
と書いてあるのですが、サンプリングレート変更の説明になっています。
基本的にはスイッチの追加でよいのでしょうか。
であれば、章を分けないと分かりにくいです。
>付属する説明書のサンプル回路図は
>信号名APULS社のAPR9600でデータシートの
>回路図が違っていましたので、
>ここでも逆になっていました。
意味がわかりにくいのですが、過去にAPULS社APR9600のデータシートには誤りがあり、キットに付属する回路図や、秋月電子のデータシートも同様に誤りがあります。
メーカーの最新データシートを参照してください。
ということでしょうか?
投稿者: morgue | 2008年1月 6日 21:48
日時: 2008年1月 6日 21:48
60秒電子録音・再生モジュール Happiness Voice Recording ですが、秋月さんにて売られています。
http://akizukidenshi.com/catalog/items2.php?p=1&q="K-01655"
記事にする前に、在庫、入荷予定を確認された方がいいと思います。
>代わりに「ブレッドボード・60秒録音再生ボイスキット」として発売されています。
だと、キットが廃止され、二度と手に入らない印象を受けます。
後は良くあるタイプミスですが、
>5%誤差だと22.35K~24.17kΩ
24.71KΩですね。
>フラッシュメ・モリ
フラッシュメモリですね。
投稿者: morgue | 2008年1月 8日 12:22
日時: 2008年1月 8日 12:22
まったくもって、ご指摘の通りです。毎回ありがとうございます。
誤字脱字の件も早速修正いたします。
今後ともご指導のほどよろしくお願いします。
投稿者: 後田敏 | 2008年1月 8日 21:06
日時: 2008年1月 8日 21:06