例題として、C-Rフィルタの回路図を作成し、その回路の周波数特性のシミュレートをLTSPICEで行ってみます。
まず、C-R回路の回路図をSwitcherCADIIIを使って作成します。
デバイス・シンボルの設定
(1) LTSPICE/SwitcherCADIIIを起動し、New Schematic(新規回路図)を選択して回路図エディタを起動します。抵抗を一つ回路図に設定します。
(2) 抵抗の呼び出し
ツール・バーの抵抗アイコンをクリックすると、マウス・ポインタが抵抗のシンボルに変化します。抵抗をウィンドウの中心にもってきたのが、次の回路図エディタのウィンドウです。
抵抗のシンボルはこの状態ではグレイになり、部品番号欄は空白になっています。この状態で、回転、反転のアイコンが選択できるように濃い表示になっています。
ツール・バーの回転アイコンを利用
抵抗を水平に配置したいので回転させます。そのままの状態でツール・バーの回転のアイコンをマウスでクリックすると抵抗の回路図は90度回転します。マウスでツール・バーのアイコンをクリックするためにマウスを動かすと、マウスの動きに合わせて抵抗のシンボルもツール・バーの場所まで移動してしまいます。ツール・バーで回転アイコンを必要な回数クリックして図形を回転させ、希望の向きになったら抵抗を設定する場所に戻し、左ボタンをクリックして抵抗の配置を確定します。
回転のショートカット・キーを使用する
デバイスが選択された状態でなければ、回転、反転処理はできません。マウスをツール・バーに移動すると、デバイスの表示がツール・バーに隠れてしまいます。このようなとき、回転処理はショートカット・キーのCtrl+R(回転)で回転させることができます。
上記の抵抗のデバイスが確定する前にCtrlキーを押しながらRキーを押すと、次に示すように抵抗のデバイスが水平に配置できます。
信号源としてVoltageを使用する
信号源の設定を行います。信号源としてコンポーネントの中に用意されているVoltageと呼ばれるコンポーネントを使用します。このコンポーネントは、正弦波、パルス、0Vから所定の電圧にステップするようなステップ信号など通常使用する信号を発生することができます。信号源以外に電池などの電源としても利用できる万能の電圧源です。
ツール・バーのコンポーネントを選択して、コンポーネントのルート・フォルダの最後のほうにVoltageコンポーネントがあります。Voltageを選択すると、次のようにVoltageのシンボルと概要が示されます。
OKボタンをクリックすると、マウス・ポインタが上記のVoltageのシンボルに変わります。シンボルを配置先に移動しマウスの左ボタンをクリックするとVoltageが配置されます。
コンポーネントは、マウスの右ボタンを押してコンポーネントの配置を終了するまで、いくつでも配置先で左ボタンを押し配置することができます。
配線の設定
ツール・バーのWire(配線)マークをクリックして、配線を開始します。点線のカーソル・ラインが表示されるので、配線の位置を設定する助けになります。各デバイス間を順番に接続して行きます。
基準電位0Vの設定が必要
配線を完了すると次のようになります。通常の回路図の配線ではこれでよいのですが、シミュレーションを行う場合、回路中の電圧を計算するために基準となるグラウンドを決める必要があります。シミュレータは、このグラウンドを0Vとして各デバイスごとに電位を決めていきます。
グラウンドはあらかじめシステムで用意していますが、その他にも電源なども後で説明するラベルを使用すると同じように使えます。
デバイスの値をそれぞれ設定する
デバイスの上にマウスポインタを持って行くと、マウスが手の形になります。この状態でマウスの右ボタンをクリックするとデバイスの仕様を設定するダイアログが表示されます。デバイスの種類によって内容が異なります。
抵抗の設定
抵抗の場合は、抵抗値を設定します。Resistanceの欄に設定する抵抗の値を設定します。設定する抵抗値の単位はΩとなります。抵抗はMΩの表記を使用しますがここではMはミリの意味なります。メガの表記はMegを利用します。ここでは抵抗値を10kと入力します。
「Select Resistor」ボタンをクリックするとリストから抵抗を選択することもできます。コンデンサの設定
入門編では、多くの場合の設定はコンデンサの容量値を設定するだけで間に合います。通常コンデンサはμFまたはpFの単位で表示します。しかしLTSPICEでは、単位はF(ファラッド)です。そのため、数値だけでなくu(マイクロ)、p(ピコ)のスケール単位もしっかり入力します。単位がマイクロの場合、μの文字に代えてuを使用します。マイクロの文字で単位を指定すると文字化けを起こします。「Select Capacitance」ボタンをクリックするとニチコン、TDK、パナソニックなどのコンデンサを選択することもできます。
ここでは0.01μFの容量のコンデンサを使用するものとして0.01uと入力しました。信号源の設定
デバイスのシンボルの上にマウス・ポインタを持って行って右ボタンをクリックすると、次に示す電源の設定のダイアログが表示されます。Voltageは多くの場合、DC電源として利用します。DC電源の場合、電源の内部抵抗は多くの場合無視できるので、電圧の値を設定するだけですみます。
今回はAC信号源として設定しますので、Advancedのボタンをクリックして、次のより詳細な設定のためのダイアログ・ウィンドウを表示します。
今まで示した三つの設定方法はデバイスに対するものですが、表示されている抵抗値、容量、電圧を変更する方法も用意されています。
表示されているこれらの値の上にマウス・ポインタを載せてマウスの右ボタンをクリックすると、表示されている値を変更するダイアログが表示されます。このダイアログで、設定値を迅速に変更することができます。
次に示すのは、コンデンサの値を設定する前の状態でしたので、シンボルを張り付けた時の初期値のCのままになっています。ここで0.01uを入力しOKボタンをクリックするとC1のコンデンサの容量は0.01μFに設定されます。スケール単位のuの入力を忘れると、0.01Fと100万倍の容量になってしまいます。
これで、信号源、抵抗、コンデンサの値が決まったので、次にAC信号によるシミュレーションの条件を設定します。シミュレーション・コマンドの設定
シミュレーションの基本的な条件は、メニュー・バーのSimulate>Edit Simulation Commandを選択すると、過渡特性(Transient)、Ac解析、DC スイープなどの設定を行うダイアログが表示されます。
これらの設定を行わずに、RUNアイコンなどでシミュレーションを開始すると、このダイアログが表示されシミュレーションの条件の設定が促されます。
AC解析の設定
抵抗とコンデンサのフィルタ回路に正弦波の信号を加えて入力と出力の関係を調べます。周波数を100Hzから100kHzまで変化させます。
ここで、AC Analysisを選択すると、次に示すように、スイープ(掃引)方法、計算ポイントの数、掃引開始周波数、掃引終了周波数を設定します。
ここでSPICEの小信号交流解析のコマンド .ACコマンドが設定されます。上記のウィンドウの下の欄にコマンドが構成されます。OKボタンをクリックすると回路図にもこのコマンドが表示されます。このコマンドでシミュレーションを行うには信号源にAC信号の大きさを設定する必要があります。信号源V1でAC 1Vを設定してありますから、上記のダイアログ・ウィンドウでACシミュレーションの条件を設定した後、RUNアイコンをクリックするとシミュレーションを開始します。
シミュレーション結果
走っている姿のRUNのアイコンをクリックすると、シミュレーションを開始します。ウィンドウが分割され、黒い背景のWaveform Viewerと回路図のウィンドウが表示されます。
マウス・ポインタをR1とC1の間の配線の上に持って行くと、マウス・ポインタが赤いテスト・リードに変わります。この状態でクリックすると、次に示すようにクリックしたポイントのテスト周波数と電圧レベル、位相の状態がグラフ表示されます。
