ダイオードとOPアンプを組み合わせることで、ダイオードの0.6Vから0.8Vくらいの範囲の非直線性が改善され、0Vから整流されることが、前回確認できました。今回は、全波整流回路をダイオードとOPアンプで確認してみます。
一般的な全波整流回路は、次のような構成になっています。
1)入力された交流信号のプラス波形分
交流信号のプラス波形分は、半波整流回路で整流されマイナス波形として出力されます。半波整流回路からは、マイナス波形の入力に対して出力はゼロとなります。
2)交流信号のマイナス波形
交流信号のマイナス波形は、半波整流回路を通らず直接後段のOPアンプによる加算回路に入力されます。このマイナス波形に対応する半波整流回路の出力は0ですから、加算回路の出力は交流信号の入力されたマイナス波形が0と加算され反転し出力されプラスの波形となります。
3)加算回路におけるマイナス波形の処理
加算回路では、交流信号のプラス波形分とプラス波形を反転しマイナス波形となった半波整流回路の出力が加算されます。この加算時に半波出力波形のみ2倍に増幅された値と加算されます。入力信号の電圧の絶対値をvとすると、
加算器に直接入力電圧 v
半波整流回路からの入力 -2v
加算結果 v-2v=-v
加算器は反転出力となっていますので -(-v)=Vとなり
入力と同じ大きさのプラス波形が後段の加算回路から出力されます。
マイナス波形も、OPアンプによる加算器からの出力は0と加算後反転しプラスの波形となって出力され、全波整流回路となります。
具体的な回路
具体的な回路を次に示します。
半波整流回路
U1のLM358/NSは前回示した半波整流回路と同等です。ただし前回の半波増幅器は、マイナスの波形を整流しプラスの波形を出力としています。今回のU1の半波整流回路は、プラスの入力波形を整流反転しマイナスの波形として出力しています。次の加算回路で出力が反転されます。
そのため、前回の半波増幅器とはダイオードの向きを反対にしてプラス波形のみマイナス波形として整流する半波整流回路としています。
加算回路
U2のLM358は、マイナス入力に抵抗を介して入力されるIN-1とIN-2の電圧入力を加算して出力部OUT1に出力します。加算入力がOPアンプのマイナス入力に入力されているので、出力には+-極性が反転された出力電圧となります。
また、入力抵抗とフィードバック抵抗の比で信号は増幅されます。
IN-1の入力電圧は、
R6/R3=10k/10k=1 R3:入力抵抗 R6:フィードバック抵抗
増幅率=1
IN-2の入力電圧は、
R6/(10/2)=10/(10/2)=2
増幅率=2
出力、OUT1は、
OUT1=-((IN-1)+2×(IN-2))
入力電圧 IN-1をvとするとIN-2は-Vとなり、
IN-1がプラス波形のとき、
=-(V+2×(-V))=-(v-2v)=-(-v)=v
と出力 OUT1はプラス波形のvとなります。
R6と同じ値の抵抗を利用して、抵抗R4,R5を並行接続しているのは、R6の抵抗値の半分の値の抵抗を容易に得るための方法です。R4/R5を5kΩの抵抗1本でよいのですが、同じ10kの抵抗をそろえて、2本並行に接続したほうが、R6との比が1/2に近い値を得やすくなります。
IN-1のマイナス波形は、反転されそのまま下段のOUT1(緑)の波形として出力されています。IN-1のプラス波形はIN-2のマイナス波形を2倍したものと加算されますので、マイナスの同じ値の波形になり反転してOUT1に出力されます。そのため、OUT1には入力のプラス、マイナス両方の波形をプラスの波形にした、全波整流出力が得られます。
次回は、この回路の実際の動作の確認をブレッドボードで行ってみます。
<神崎康宏>
