最近は、単一電源のOPアンプが多く使われています。整流回路のためだけにマイナスの電源を用意することのないように単一電源で動作する整流回路の検討を行います。
半波整流回路
単一電源で駆動するOPアンプを利用した半波整流回路を次に示します。
この回路ではゲイン(利得)が1なので、入力する交流信号はグラウンドよりプラスの場合、そのまま値が出力となります。交流信号がマイナスの場合は、出力はグラウンドよりマイナスには振れないので、GNDの0Vのままとなることが期待できます。
どのような状況になるか回路シミュレータLTSPICEで確認してみます。
単一電源による半波整流回路のシミュレート
単一電源用OPアンプLM358を使用し、電源は5ないし6V、信号源は1kHzの正弦波で2Vくらいの入力信号を想定します。
この条件で、LTSPICEの回路図作成エディタでシミュレーション用の回路を用意しました。
R1はLM358の+入力端子への過大な入力電圧に対する保護のためのものです。入力端子は、マイナス電源に対して-0.3Vの入力まで対応しますが、それ以下の入力に対しては正常な動作範囲外となります。この場合は、マイナス電源はGNDになります。正弦波信号を直接+入力端子に接続すると、正弦波のマイナス波形の0.3V以下になるとLM358の正常な動作範囲を超えてしまいます。過大なマイナス入力が加わると最大50mAの電流が流れ、このR1の抵抗の電圧降下により入力を保護します。
この条件でシミュレートした結果を示します。
下段の緑の波形は入力波形で、上段の赤のV(out)の波形は半波整流回路の出力です。入力波形のプラスの波形はそのまま出力されています。しかし入力波形がマイナスの波形のピークに併せて大きなピークが現れています。
R1に流れる電流の状態を調べる
入力波形の電圧はマイナス側に振れすぎるので、+入力の入力段のトランジスタのB-E間が入力保護ダイオードと同等の働きをして入力をクランプし、そのとき出力がプラス側に振れるためと考えられます。
確認のため、R1の電流の流れをシミュレータで確認しました。
R1の抵抗値を100kΩにした場合、R1に流れるピーク電流が14μAに下がり、出力波形も入力がマイナス波形のときは0Vを維持し、きれいな半波整流出力になります。
入力信号を減衰して調べてみる
次に、R1の抵抗値を10kΩにして、正常に動作できる入力信号の大きさを調べてみます。
次のように、信号源のV2の正弦波設定情報のTheta(減衰率)の値を、10に設定します。
入力波形の減少と共に急激に不正な波形が減少しています。GNDからの電圧が1.6Vくらいから0Vに収束しています。
確認したい部分をドラッグして詳細を確認することができます。前半部分を切り取りマイナスの波形のピークが減少する様子を確認しました。
スケールを変更して詳細な確認を行うこともできますが、このように、マウスのドラッグ操作だけで簡単に細部の確認ができます。
次回は、ブレッドボード上で、この回路を実際のLM358で動作確認してみます。
<神崎康宏>
