今回は、トランスでAC100Vの商用電源と絶縁され、電圧が下げられた交流電源を整流する方法について考えます。
回路図エディタにトヨデンの次に示す 30V 0.5A(HT3005)の回路図部品が用意されていましたので、このトランスを例にして全波整流回路の例を示してみました。
このトランスは、最大電圧は30Vで、15Vのタップが30Vの巻き線の中間に用意されています。この中間のタップをセンタ・タップと呼びます。このセンタ・タップが用意されているため、次に示すように多様な利用方法が選択できます。
(A)センタ・タップを利用した全波整流回路
センタ・タップをGND電位にして、半波整流回路を組み合わせて全波整流回路を実現しています。電源となる回路で、電流は交互にどちらか一方のダイオードにしか流れません。そのため、ダイオードによる損失は1本分のみとなります。具体的な動作の様子はシミュレータで確認します。
(B)マイナス電源を追加する
(A)の回路では出力の半分しか利用していませんので、残りでマイナスの電源を構成しています。
(C)ダイオード・ブリッジ回路による全波整流回路
一般的に利用される整流回路。電源からの電流経路のプラス側、マイナス側の両方にダイオードが存在するためセンタ・タップ式に比べダイオードによる損失は倍になります。
センタ・タップ方式の全波整流回路
センタ・タップをもったトランスをAC電源として全波整流回路のシミュレートを行います。次のように、センタ・タップから上の巻き線からの電源V1とセンタ・タップから下の巻き線からの電源V2の二つのVoltageを割り当てます。
この回路では、V1+(青)の交流電源のプラス側に振れているときダイオードD1経由で出力OUT1(緑)へ供給されます。V1+の交流電源がマイナス側に触れている場合、V1からの電力の供給は遮断されます。代わって、このときにはV2-の交流電源のマイナス側出力はプラス側に振れています。そのため、V2-の出力はD2経由でOUT1に電力が供給されます。
その結果、上に示すように青、赤、青、赤のプラス側の波形が取り出されout1に示されるようにもれなく全波整流が行われています。
平均値、実効値(RMS)を求める
波形表示の画面の波形の表示名をCtrlキーを押しながらマウスでクリックすると次に示すように、平均値を求める開始時間、終了時間、波形の平均値および実効値が表示されます。
V1+の実効値(RMS)
V2-の実効値
V1+、V2-の元の電源はピーク値を21Vに設定しました。実効値は21V/1.414=14.84Vで、ほぼ同一の値となりました。
整流出力のout1
上記の結果から、V1+、V2-と整流後の電圧の差が0.722Vとなります。ダイオード一つ分の電圧降下に相当します。
次回、電源設定について幾つかの方法がありますので、その検討を行い次に進みます。
<神崎康宏>
