« 新作D級アンプ基板のレポート その5 | メイン | 連載キットで作る(37)整流回路について(4) OPアンプとダイオードを利用した全波整流回路 »

LTSPICE入門(連載14) 全波整流回路のリプルについて

 全波整流回路について、直流電源として利用できるようにコンデンサを挿入して整流した出力を平滑化します。その際、コンデンサの容量をどの程度の大きさにすればよいか検討します。
 検討の条件として、前回の整流回路の出力をコンデンサによる平滑回路で平準化し、プラス15Vの安定化電源出力を得るものとします。
 その際、全体の回路をシンプルにするために、三端子の固定出力のレギュレータICを使用して、安定化電源を得るものとします。
 この三端子レギュレータの電圧降下分を3Vとして、平滑化出力の最低電圧は、
    安定化出力の電圧(15V)+ レギュレータの電圧降下分(3V)
   = 15 + 3  = 18V となります。
 ブレッドボードで電子回路のテストを行うときの電源を想定して、0.5Aの最大電流を満足するものとします。
 以上の条件をまとめると、
   安定化出力          15V
   レギュレータのドロップ電圧   3V
   最大消費電流         0.5A
   負荷を   36Ω
として、平滑回路のコンデンサの容量を確認します。

LTSP140010.jpg

 コンデンサの容量をパラメータ変数CXとして定義します。コンデンサの容量を800μFから倍々で増加し6400μFまで増加させます。倍に増加させる間のシミュレーション・ポイントを1点に設定します。
 以上のパラメータを変更して行うシミュレーションを.stepコマンドで指定しています。
   .step oct param CX 800u 6400u 1

 シミュレーションの結果は、次に示すようになります。

 

LTSP140020.jpg 緑のラインがOUT1の電圧で、800μFのときにリプルの谷の値が16Vくらいで、次の1600μFのコンデンサの容量で18V近辺の値になっています。赤のラインがコンデンサに流れ込む電流を示します。コンデンサの容量を大きくすると、電源投入時に大きな突入電流が流れます。この突入電流に整流回路のダイオードが対応できるか検討が必要になります。
 電圧表示のこの部分を細かく確認するために、1200μFから2400μFまで200μの刻みで増加してシミュレーションを行ってみます。
   .step param CX 1200u 2400u 200u
と指定して再度シミュレーションを実行します。
 シミュレーション結果そのままのグラフ表示の画面では、マイナス2Vから22Vのレンジの表示になっています。16Vから20Vの範囲を拡大表示してこの範囲での変化を詳細に検討します。そのために、連載11で示した表示軸の上限、下限の値を変更する方法と、拡大表示したい範囲をドラッグする方法があります。
 ここでは、マウスで0msの15V、21Vと100msの15V、21Vの範囲をドラッグしました。その結果、次に示すようにドラッグした範囲が拡大表示され、リプルの18V以上になるコンデンサの容量を求めることができます。


LTSP140030.jpgステップ動作のトレースの選択
 ステップ動作でステップごとにラインの表示のオン/オフが行え、ステップ動作の変化を各ラインごとに追うことができます。グラフ表示の画面上でマウスの右ボタンをクリックするとメニューのリストが表示されます。

 

LTSP140050.jpg メニュー・リストの中のSelect Stepsを選択すると、次に示す、各ステップのシミュレーション結果の表示を、任意に選択できるダイアログが表示されます。Select Allで全部のステップの表示ができます。次の状態が全表示です。

 

LTSP140060.jpg マウスで表示したい項目の欄をクリックすると、クリックされた項目のみ青に反転します。複数のステップの表示を行う場合、Ctrlキーを押しながらマウスでクリックすることで複数の表示ができます。
 CXの値が1600μF、1800μF、2000μFの容量を選択し表示しました。

 

LTSP140070.jpg 左の電圧軸をマウスでクリックし、表示メモリを変更しました。マウスでドラッグして拡大すると両方の軸について拡大されます。今回は電圧軸の変更ですのでコンデンサへ流れる込む電流の軸は変化せず、電流のシミュレーション結果の全体像が表示されています。
 2000μFでリプルは18V以上になっています。このようにパラメトリック解析を行うと、比較的容易にデバイスの適正な値を求めることができます。


<神崎康宏>

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.eleki-jack.com/mt/mt-tb.cgi/1559

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

カテゴリ

会社案内
情報セキュリティおよび個人情報の取り扱いについて

コメントとトラックバックは、spamを予防するために、編集担当が公開の作業をするまで非公開になっています。
コメントはそれぞれ投稿した人のものです。

Powered by
Movable Type 4.1