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LTSPICE入門(19)新しいトランジスタのSPICEモデルを追加(2)

トランジスタのリストにSPICEモデルを追加する 

  回路図のトランジスタのシンボルをマウスの右ボタンでクリックすると、次のトランジスタの仕様を示すウィンドウが表示されます。このトランジスタの仕様を決めるために「Pick New Transistor」ボタンをクリックすると、用意されているトランジスタの一覧表が表示されます。

LTSP190005.jpg

 次に示す、このリストの中からシミュレーションで利用するトランジスタを選択して、最初に作られたデフォルトのトランジスタに割り当てることができます。
 この表には、電子工作でよく利用する2SC1815などのトランジスタが用意されていません。今回は、表にないトランジスタをこの一覧表で表示し、表から選択するようにできる方法を考えます。
 トランジスタの一覧表には、次に示すように、トランジスタの型番、製造メーカ、トランジスタのSPICEモデルのパラメータ・リストが続きます。

トランジスタの型名を決める
 最初に回路図に設定されたトランジスタはデフォルトのトランジスタで、型名は決まっていません。デフォルトのトランジスタの場合でも理想的な動作をする一般的なトランジスタとして動作し、シミュレーションはできます。
 しかし、低周波用、高周波用と実際のトランジスタはそれぞれ特性が異なっています。デバイスの一覧表リストから実際にシミュレーションするデバイスを選択して、デフォルトのトランジスタを現実のデバイスにします。

 

LTSP190010.jpg  表の該当するデバイス名の欄をマウスで選択して右上のOKボタンをクリックすると、回路図上のトランジスタのデバイスの名称が選択されたデバイスの名称になります。以後、選択されたトランジスタのSPICEモデルのデータに基づきシミュレーションが行われます。

.modelパラメータのファイル
  上記のSelect Bipolar Transistorのダイアログ・ウィンドウに表示されるトランジスタの.modelパラメータの格納場所とデータの追加訂正について説明します。
 このトランジスタ(バイポーラ・トランジスタ)のシミュレーションのためのSPICEモデルのデータはStandard.bjtの名のファイルに格納されています。格納されているデータには、シミュレーションのための.modelパラメータと、LTSPICE独自のメーカ名などのデータがあります。
Standard.bjt
  ダイオードや、バイポーラ、FETなどの各種トランジスタについても同じようにStandardの名前のファイルが用意されています。エクステントがデバイスの種類で異なっています。そしてこのファイルは、次に示すようにLTSPICEが参照するファイルの置かれているProgram Filesフォルダの中のLTC\SwCADIII\lib\cmpフォルダにあります。  
 このフォルダには、ダイオードのためのStandard.dio、MOS/FETのためのStandard.mos、JFETのためのStandard.jftがあります。これらのファイルにはStandard.bjtと同様に.modelパラメータが格納されています。
  さらに、このフォルダには、コンデンサや抵抗、インダクタなどのデータ・ファイルもあります。これらのファイルは.modelパラメータではなく、それぞれのデバイスの固有情報がデータベースとして格納されています。


LTSP1900020.jpg

Standard.bjtファイルの修正
  Standard.bjtファイルはテキスト・ファイルですので、メモ帳などで内容の追加訂正ができます。toragi.libの2SC1815の.modelパラメータをStandard.bjtの最後に追加します。
toragi.libで名称がQC1815となっていますので、よりわかりやすいように2SC1815に変更しました。
 LTSPICEのStandard.bjtにはSPICEパラメータ以外に、Vceo電圧、コレクタ電流、製造メーカのデータが格納されています。toragi.libからコピーしたSPICEモデルのパラメータの後にこれらのデータを追加します。追加は( )の内側に行います。

追加のデータ

Vceo=50 Icrating=150m mfg=Toshiba

Vceo    コレクタ・エミッタ間の電圧 これ以上の電圧はかけられません
Icrating  最大コレクタ電流の値
mfg    製造メーカ

トランジスタを右ボタンでクリックする
  トランジスタをマウスの右ボタンでクリックすると、次に示すように先ほど指定したトランジスタの仕様が表示されます。

 

LTSP190030.jpg トランジスタの最大定格がわかります。このデータを設定しなくてもシミュレーションには影響はありません。またここで示した最大定格に対する警告もないようです。コレクタ-エミッタ間に80Vの電圧を加えても、コレクタ電流220mA、コレクタ電圧が70Vから20Vまで振幅したシミュレーション結果が得られました。
 回路シミュレータはこのように誤った処理を行っても素子を壊すこともなく安心してテストできます。したがって、あたりまえですがシミュレータで稼動したからといいっても条件によっては現実には運用できない場合も多くあります。

LTSPICEのバージョンアップ時
  Standard.bjtファイルに追加されたデータは、LTSPICEのバージョンアップ時にファイルの更新が行われても維持されています。LTSPICEは頻繁にアップデートがあります。昨日(2008/5/20)バージョンアップされ、本日5/21にバージョンアップ処理を行いました。Standard.bjtも2008/5/21 07:38の日付で更新されていました。追加した2SC1815のデータは影響を受けずに追加したときのままでした。

 ただし、LTSPICEの再インストールの時に、オーバライトかアップデートか問い合わせがあります。このとき、オーバライトを指定すると個別に追加した情報はなくなります。
  リストにモデル・パラメータを追加すると、選択が容易になり現実のデバイスを使いやすくなります。

<神崎康宏>


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