制御回路を、(1) 電源部、(2) 制御部、(3) 開閉部の三つに分けてそれぞれ説明します。
(1) 電源部
商用100V交流電源をコンデンサを用いて降圧します。コンデンサは、内部に電気を蓄えてくれますので抵抗のように発熱することなく、数ボルトの電圧を得ることができます。なお、抵抗はブリッジ・ダイオードの保護用です。
図4の電源回路の太線部分に関して、コンデンサCと抵抗RからなるCR回路にかかる電圧は、おおよそ100Vから、ツェナー・ダイオード、ブリッジ・ダイオードの起電力を差し引きした電圧となります。太線部分に流れる電流、電圧は、電流Iを基準にベクトル図を書くと、図5のようになります。
抵抗Rにかかる電圧ERは、電流Iと同位相であり、コンデンサCにかかる電圧ECは電流Iより90°遅れます。EはERとECのベクトル和ですので、
E=√(ER2+EC2)
となります。また、
ER=RI EC=I/(ωC)
ですので、
E=√((RI)2+(I/(ωC)2)
=I√(R2+(1/(ωC)2)
変形すると、
I=E/√(R2+(1/(ωC)2)
実際に値を入れてみます。
E=100-5.3-0.7×2≒93.3V
(ツェナー・ダイオード、ブリッジ・ダイオードにかかる電圧を差し引き)
R=56Ω
C=0.33μF
ω=2πf (f=60Hz:<<50Hzの地域で使用する場合は変更する必要がある)
I=93.3/√(562+1/(2π・60・0.33・10-6)2)
=93.3/√(3136+6.46×107)
=93.3/8038
=11.6mA
次の制御部に約12mAの電流を供給します。
なお、ツェナー・ダイオード、電解コンデンサで,制御部にかかる電圧を安定化させています。
電源部は、トランスレスでAC100Vに接続されていますので、コンセントの差し方によっては、DC電源部とアースとの間にAC100Vが加わり感電することがあります。実験中は慎重に、そして必ずケースなどに入れて感電防止対策をとってください。

(2) 制御部
温度センサのLM35DZは、測定温度t[℃]×10[mV/℃]=10×t[mV]を出力します。
10℃→100mV
50℃→500mV
セルシウス温度を直読できますので、テスタで計測して容易に確認できます。LM35DZの信号はLM358Nに出力されます(図6)。
図6 LM35DZとLM358Nを使った制御部
LEDにかかる起電力(約1.8V)を半固定抵抗で分圧し、LM358Nに出力されます。LM35DZの温度信号を比較する基準電圧とします。
LM358Nの2番ピン、3番ピンに温度信号(LM35DZ)、基準信号(LED)を接続します。接続の方法によって動作が異なりますので、表2を参考に基板裏面(銅箔面)でJP接続してください。
加熱用の場合、2番ピン>3番ピンとなったときに、1番ピンに電流が流れ、開閉部のフォト・トライアックを動作させます(冷却用の場合、2番ピン<3番ピン)。
(3) 開閉部
開閉部は、制御部からの開閉信号でフォト・トライアック内部のLEDを点灯させ、トライアックを動作させます。5mA程度の信号から動作し、20Aまで動作させられますので大変便利です。なお、コイル負荷などを用いる場合は発生するサージ電圧を吸収するため、ZNRを取り付けてください。
開閉部に使用するトライアックは、放熱板なしで使用する場合には、2A以下で使用してください。大電流で使用する場合は、トライアックを基板から引き出して十分な放熱をとってください。
図7
参考資料:
006Pニッケル水素電池充電キット 取扱説明書 秋月電子通商
ソリッドステートリレーキット 取扱説明書 秋月電子通商
寺子屋シリーズ159D温度スイッチ 取扱説明書 FCZ研究所
上級ハムになる本(1992年改訂3版) 大塚政量 著 CQ出版社
次回は組み立てて行きます。
<安田正弘>
