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連載(1) LTSPICEで回路の検討 はじめに

 電子回路の検討を行っているとき、各デバイスに加わる電圧の様子や、電流の変化の様子を知る必要が生じます。また検討している電子回路の動作を確認し検討を次に進めるために電子回路のシミュレータが多いに役立ちます。
 たとえば、コンセントから取り出せるAC100V電源をダイオードで整流して直流を得る整流回路を考えたとき、ダイオードを流れる電流は必要とする電流容量からすぐに想定できますが、ダイオードに加わる逆方向の電圧は少し考えないとイメージできません。

回路シミュレータを使用するとすぐわかる
 しかし電子回路シミュレータを利用すると、次に示すようにダイオードにAC 100V(ピーク電圧141V)を加えたときの状態が、すぐグラフで確認できます。
 グラフの赤い曲線は、ダイオードD1のD-out-D-inで示される、D1の逆方向電圧の大きさが示されています。図に示すような電圧がダイオードに加わります。ダイオードはこの電圧に耐えるものを選ぶ必要があります。

LTSP20100101.jpg               LTSPICEによるシミュレーション結果

 電流が流れている場合は、D-out-D-inは-0.6V前後の値で推移しますが、ダイオードに電流が流れない逆方向に電圧が加わった場合は、141Vのピーク電圧となります。

全波整流回路(ブリッジ整流)の場合
 次に示す、ダイオード・ブリッジによる全波整流回路も、ダイオードの逆方向電圧は141V前後の値になります。

LTSP20100103.jpg


センタ・タップ方式による全波整流回路の場合

 整流された出力は、前記の回路と同じピーク値が141Vなのですが、ダイオード逆方向電圧は約倍の282Vの電圧となります。センタ・タップ式の整流回路に使用するダイオードは、ブリッジ整流回路に使用するダイオードの倍の耐圧が必要なことになります。

 電源が2つ直列に接続されているのですから、電流が流れていないときは当然二つ分の電圧が加わるのは回路図の各ポイントを追っかけていけばわかるはずですが、回路シミュレータを利用すると見落とさずにすみます。

LTSP20100102.jpg


 このように、回路シミュレータを利用すると回路の細部の動作、各デバイスの動作条件を容易に確認することができます。
 本連載では、電子工作、身近な制御や、機器で利用されている電子回路を取り上げLTSPICEの回路シミュレータでその仕組みを確認したり、新しいアイデアの実現するための検証を行います。

まずは正弦波発振回路から
 最初に取り上げるのは、ウィーンブリッジ発振回路を考えています。この回路は、OPアンプによる増幅器、フィードバック回路に挿入されるフィルタ回路、ひずみのない正弦波を作るための増幅度を自動的に制御するAGC回路など、動作を検証するコンポーネントが多くあり、実際にできあがった回路は、低周波の増幅器の実際の信号源として利用できます。
 その後は、昇圧、降圧など多様な機能が実現できるスイッチング・レギュレータを予定しています。
 LTSPICEの入手方法、基本的な使用方法は前回の「連載 LTSPICE入門」を参照してください。LTSPICE入門で説明していない便利な使用法がまだ多くあります。それらについては、引き続き本連載の中で紹介していく予定です。
<神崎康宏>

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