これまでは簡単ライン・トレース・カーに、CdSセルを用いて「簡単に」光を感知し、新たな機能をつけ加える方法について紹介してきました。次は、新しい「音感知」センサへと、機能を広げることにします。
音感知センサとは、空気中を伝わってきた音波を何らかの方法で電気信号に変換するセンサです。そのためには、まずマイクロフォンで音を拾わなければなりません。マイクロフォンはいろいろなものがあります。
永久磁石のそばで音波によって振動したコイルからの誘導電流を利用する動電型マイク、コンデンサの一方が音波によって振動するとコンデンサ容量が変化する性質を利用するコンデンサ・マイク、2枚の電極間につめた炭素粉が音圧によって変わる接触抵抗を利用するカーボン・マイク(このマイクは昔の黒い電話に使われていました)、結晶やセラミックスの圧電効果を利用する圧電マイク、などです。
「簡単に」音感知センサを製作するためには、コンデンサ・マイクの一種であるエレクトレット・コンデンサ・マイク(ECM)が、安価で回路も簡単なためにお勧めです。
回路図に示したように、ECMに抵抗(今回は3 kΩ)経由で電圧をかけると、音波に応じて電気信号が出てきます。この出力は微弱なため0.1μFのコンデンサで直流成分を取り去った後、交流成分をOPアンプで増幅します。
OPアンプは様々な種類のものが発売されていますが、今回はLM358というICを用いました。通常、OPアンプのICを駆動するには±5Vというようにプラスとマイナスの両電源が必要なものが多いのですが、このICは単一電源動作も可能で、しかもうれしいことに+3Vでも使用可能です。
OPアンプを用いた増幅回路には、「反転増幅回路」、「非反転増幅回路」、「差動増幅回路」がありますが、今回は「反転増幅回路」を用いました。電圧増幅率は、-Rf/Rin(RfとRinは回路図中に示した抵抗値)です。今回は-20kΩ/1kΩ=-20倍ということになります。
なお、この20 kΩと1 kΩの値は、カット・アンド・トライで求めた値ですが、コンデンサ・マイクの種類にも依存するので、必要に応じて変えてください。なお、ささやき声のような小さな音を拾っても音が来たと感知するようでは困ります。大きな音が来た場合にのみ音を感知させるためには、OPアンプの増幅率は20倍くらいがちょうどよいようです。
OPアンプからの出力は、ロジックICの74HC390Aの1ピンに入力します。このICの2進カウンタの機能を利用して、入力にパルスが一つ来るごとに(厳密にいうと入力パルスの"H"が"L"に変わる時点で)出力の"H"と"L"が交互に変わるという動作をさせることができます。74HC390Aの2ピンは接地、3ピンと4ピンをつないでそれをoutputとします。
ブレッドボードで組んだ回路の写真に示したように、音を感知するごとにoutputが"H"と"L"が交互に変わるかの確認をテスタで行いました。いろいろな音を試しましたが、回路の動作チェックを行う際にはコンデンサ・マイクをピンセットかドライバで軽くたたく方法が便利です。
しかし、実際にライン・トレース・カーに組み込んだ場合は、コンデンサ・マイクをたたくわけにはいきません。車体に触るということは、車体に組み込んだスイッチをオン/オフすることと同じだからです。
本当の音をいろいろと試した結果、やはり手をたたく音によく反応することが分かりました。もちろん手をたたいても、たまにはスイッチがうまく働かない場合もあります。それは音が小さい場合か、センサが音を偶数個のパルスと感知したためと考えられます。
次回は、この音感知センサを実際にライン・トレース・カーに載せます。
