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連載(21)LTSPICEで回路の検討 オーディオ用テスト信号を作る(8)

 BV(Arbitrary behavioral voltage)の電圧源が利用できます。BVで正弦波を得るための指定は、前回確認したように次の式で指定します。

  V=A*SIN(2*PI*time*S)              (1)
    A:正弦波のピーク電圧値
    S:正弦波の周波数

 時間の経過と共に、発振周波数を変えるためには(1)式のSの値を時間と共に変化させます。
     S=((SE-SS)/t)×time+SS
       SE : 開始周波数 Hz
       SS : 終了周波数 Hz
       t  : シミュレーション時間 秒


 LTspiceでこの設定を次のように行いました。

LTSP2210010.jpg

 開始周波数100Hz で3秒間かけて1000Hz まで周波数を増加するように設定してみました。この回路でシミュレーションすると次に示すように、波形が正確に再現されませんでした。再生音もひずみの大きいものとなっています。


LTSP2210020.jpg この回路は閉じていないので、電流が流れていません。そのため、デフォルトで設定されているシミュレーションの計算を行う時間間隔が荒く正確なシミュレーションが行えないために上記のような結果となりました。
 500msくらいにシミュレーション時間を短くすると、周波数の変化するシミュレーション結果がきれいな正弦波で表示されます。シミュレーション時間を短くするとデフォルトのシミュレーション間隔でも相対的に信号の波形を再現するために必要なサンプリング間隔を満足しますので、次のような結果が得られます。


LTSP2210025.jpg しかし、次に示すようにフィルタの負荷を追加して回路として電流も流れる回路にすると、全域にわたって期待する結果が得られました。CR回路が追加されシミュレーションの計算ポイントの間隔が適正に選択されたため、全体のシミュレーション結果が期待する表示となりました。

 

LTSP2210030.jpg Waveファイルを再生した結果も、ひずみのない再生音が出てきました。
 シミュレーションの開始時の部分を拡大すると、次に示すようにきれいな波形が確認できます。

 

LTSP2210040.jpg シミュレーション結果の後半部分を拡大したものを次に示します。同様にきれいな波形でシミュレーション結果が示されています。

 

LTSP2210050.jpg フィルタ回路の出力を追加表示した結果を示します。時間の経過と共に周波数が増加していますので、ローパス・フィルタの出力は減少しています。

 

LTSP2210060.jpg この方法で周波数特性の確認もできますが、周波数特性の確認はAC解析のほうが周波数と利得の関係がダイレクトにわかりますので便利です。ただし、AC解析では実際の出力レベルなどは考慮されません。実際の動作条件で周波数の変化に対する動作結果を、BVで周波数が変化する信号を加えることで確認できます。
 前回ステップ動作で作成した1/3オクターブごとの信号も、BVの電圧を次のように設定して再生することで、時間の経過ごとに1/3オクターブずつ変化する音が出力されます。
V=sin(2*pi*time*1000*pow(2,int(time*3)/3))

 int(time*3)で時間の値から1/3秒ごとに1、2、3、・・と整数値が得られます。次に示すように1000Hzを基準にした1/3オクターブの周波数が得られます。

1000*pow(2,int(time*3)/3)


LTSP2210070.jpg Waveファイルを再生するとその様子が確認できます。
 このように、BVなどを利用すると、いろいろな信号源を作成することが可能です。回路をテストするための入力信号も多様なものが用意できます。

シミュレーションの計算ポイントの最大間隔
 シミュレーションの計算ポイントの最大間隔を設定することができます。過渡解析の設定ウィンドウのMaximum timestepの欄にtimestepの最大値を設定すると、シミュレーションの計算ポイントの間隔がこの値以下になります。シミュレーションをより精密に行いたい場合は、この値を設定することでより精密なシミュレーションが行えます。しかし、その分シミュレーションの計算時間は増大します。


 BVを使用したオーディオ信号の作成を今回で終えて、次に進みます。

<神崎康宏>

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