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ユニバーサル基板のプロになる!
連載 第5回目「超入門…ユニバーサル基板配線術~基本編4~」

 ユニバーサル基板(以降:自在基板)の基本のはんだ付け編,その4はラッピング線を使った「渡り線」の配線です.

●完全な配線計画を立てなくても進めながら決めることができる
 前に少し触れましたが,「渡り線」を積極的に導入することで,部品さえ載ればほかにスペースがなくても配線できてしまうので,回路図と頭の中の配線イメージだけでも基板を完成することができます.

●ラッピング線の基本…熱で溶かし縮ませて被覆を剥く
 ラッピング線がよく使われる理由は,被覆をはんだゴテの熱で縮小させ,先端を剥いた状態にすることと,はんだ上げ(はんだメッキ)も同時にできてしまうことです(下の写真).

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写真1 カットした直後のラッピング線

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写真2 そのままはんだ上げ(はんだメッキ)の途中

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写真3 芯線が適度に露出してはんだメッキまで完了した

 原理は,被覆ではなく芯線にはんだを接触させて,そこから熱が伝わり被覆が収縮するものと考えられます.

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図1 被覆が縮む原理

●特別に難しい作業ではありませんが…
 ときどき,上手く剥けないものがでてきます.上の原理から考えれば,ニッパによるカットで先端がつぶれたり(下図),フラックスが付着して固まって,直接芯線に熱が伝わらないと思われます.ニッパは両側から押し切るものなので,起こりやすい現象です.

 たいていはつぶれたと思われる部分のほんの0.何ミリかをもう一度切り直すと解決します.根気よく温めるよりも,「おや?」と思ったら少し切ってしまいましょう.

image5.jpg図2 ニッパによる切断は,被覆がつぶれることがある.こうなると芯線に熱が伝わりにくい

 切り直すときに威力を発揮するのが「ワイヤ・ストリッパ」の刃の根元のハサミ形状の部分です.「押し切り」ではなく,「食い違い方式」の鋭利な刃なので,切った後の切断面がきれいです.ニッパで切り直す場合でも,刃の表を切断面にしてきれいな断面にするつもりでやるとうまくいきます.

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写真4 ワイヤ・ストリッパのハサミとして使える部分.切れ味鋭い

●はんだゴテの種類で変わってくる
 30Wでも一般のヒータ・タイプでは先端温度が500℃を超えるのに対し,350~380℃に調整された温度調節型とでは,100℃ 以上の開きがあるため,ラッピング線の被覆の縮み方にも違いが出てきます.お使いのコテで,感覚をつかんでもらうことは必要です.
 以前,温度調整型コテを導入したときに,あまりの違いに「やっと高性能型を買ったのに,なんで縮んでくれないの?」と悩んだことがあります.結局「慣れ」が解決してくれ,今では一般型のコテでは溶け過ぎて戸惑います.この違いは,ラッピング線材のメーカによっても個性があるので,知っておくとはんだゴテや線を変えたとき,困ることはないでしょう.

●実際につなげてみましょう
 以前にランド接続した部分に渡り線を追加してみます.赤い線が追加したい配線です.

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写真5 赤いラインをつなげてみる

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写真6 何もルールを決めないでそのまま最短距離で配線.これはこれでよい

 まず,最短距離でやってみました.基板に密着しているので引っかかりにくく,これですべて終わるならば良いと思います.ただ,内側部分に配線の追加や修正するときは,少しやりづらいですね.

 次に,後々の配線も多少考えて,ランドのないところを引き回してやってみます.筆者の標準方式なので,一つ一つ手順をご覧ください.

image9.jpg写真7 被覆を剥いたラッピング線をはんだ付け.はんだ上げしてあるのでよくつく.念のため軽く引っ張ってみて確認するとよい

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写真8 ピンセットを使って整形する

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写真9 目的地まで到着

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写真10 カットしてはんだ上げ

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写真11 もう一方をはんだ付けして1本目完了

 このとき,渡り線自体のバネ性で,元に戻ろうとする力が残っています.後々のため,ランド付近を軽く指で押して密着方向に変形させておくとよいです(やけど注意).

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写真12 2本目

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写真13 3本目

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写真14 内側の4本目

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写真15 5本目で終了

●ランド接続と渡り線のどちらを使うか?妥協点は?
 一つのランドへ複数の渡り腺をはんだ付けする作業はわりと困難です(新たに付けようとする先につけたものが外れる).私なりのルールは下記のとおりです.

優先(1)…ICなどに供給する電源ライン(VCCやGNDなど)など,接続数の多い個所は積極的にランド接続にします.

優先(2)…その次の順位は,部品の足を折り曲げてのランド接続です.ただし,「この部品は交換する可能性があるな」という勘が働いたときは,足を折らずにカットして,別の線でランド接続します.

優先(3)…その他はそのときの距離や場所で使いわけます.3本以上で束にできそうなら渡り線での引き回しにしたりします.

 配線ミスの手直しや回路の修正は,渡り線のほうが圧倒的に早いし,やりやすいです.とくに部品の足を折り曲げてランド接続した個所の修正は考えただけでも,気が重くなります.

 なんでもありなので,ここはそのときの気分でかまわないと思います.下はその例です.

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写真16 このような配線はどちらでもよい

image19.jpg写真17 ただしランド接続で角度を注意しないとランド経由でショートする可能性が出てくる

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写真18 ランド接続でやるならば,直角か45度に限定すると安心

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写真19 「渡り線」で配線したもの.手間もあまり変わらない

image22.jpg写真20 わざわざ束ねて,おなじラッピング線で縛ったもの.凝り過ぎともいえるが,見た目の満足度は上がる

☆コラム☆  ――― 道具の持ち方 ―――
 
 なにやら,偉そうなタイトルですが,はんだ付けするときは,最低でも「はんだ」「ピンセット」「はんだゴテ」の三つを2本の手で操らなければなりません .筆者は下の写真のように,多分一番普通な持ち方でやっています.
 

image23.jpg ところが,実際にはこれに「ニッパ」「ラジオ・ペンチ」が頻繁に追加されます.あるテレビ番組で見た「技能オリンピック」金メダルの若者は,全部一度に持ってすべて持ち替えずにランド接続をしていました.記憶の範囲ですが,それを再現したのが下の写真です.すごいですね.

image24.jpg
●次回からは実践編として「電子ルーレット」を組んでみましょう

image25.jpg マイコンを使わず,汎用ICで組んでみました.

image26.jpg そのあとケースに入れてみます.

<高野 慶一>

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