「カフェ・テクノ」という言葉は筆者らの造語で、喫茶店でDSやiPhoneなどの携帯デバイスを使って電子音楽をやる活動のことです。神出鬼没なテクノバンドを目指しています。
ひとりで1台の携帯デバイスを使うだけならほかに必要な道具はヘッドフォンだけです。でも、2人以上で複数の携帯デバイスを使う場合、音をまとめたり分岐させるといった目的のために、いくつかの周辺機器が欲しくなります。しかし、カフェ・テクノ活動に適した商品はほとんど見あたりませんでした。そこで我々は「だったら作っちゃおうか」くらいの軽いノリで、いくつかの装置を自作しました。カフェ・テクノの半分はハードウエア自作の活動です。
こうしたいきさつと自作デバイスたちの詳細については、エレキジャックNo.15号をご覧ください。登場する装置の一部については、編集部によってプリント基板が用意されました。11月はじめからプレゼントの受付けが始まります。奮ってご応募ください。
ここでは、その試作バージョンを実際に組み立てる様子を紹介します。
自作デバイスのひとつ「LOVE AMP」は、ふたり用のヘッドフォン・アンプです。1台のiPodをふたりで聴きたいときに使えます。たんなる二股ケーブルと違うのは、独立したアンプが2チャネル分入っていて、ボリュームの調節も別々に行うことができる点。ふたりそれぞれが自分にとってちょうどいい音量で聴けるわけですね。
回路はChu Moyアンプと呼ばれるOPアンプ1発の単純なものです(Chu Moyさんのサイトはこちら)。作るのが難しい回路ではないのですが、ふたり分のアンプを持ち運びやすいケースに収めようとすると、それなりに手間がかかります。プリント基板があると労力はだいぶ違うと思います。
これが届いた基板の写真。今回、編集部が製作した基板にはLOVE AMPのほかに、本誌に掲載されたつの回路が載っています。全部で4回路。これでカフェ・テクノの主要なデバイスたちがカンタンに作れるようになりました。
今回はまずLOVE AMP基板を作ってみます。筆者が受け取った基板は試作バージョンですので、皆さんが(当選したら)手にするものとは若干の違いがあるかもしれません。基板のチェックも兼ねてババッと作ったので、部品の選択は手持ちのものを優先しました。製作の一例として参考にしてください。
基板のサイズはALTOIDS缶に実装することを前提にしています。載せる部品もその点に注意が必要です。ALTOIDS缶より大きいケースを使うのであれば、もう少し自由に選択できるでしょう。
大きさに一番注意が必要なのは電解コンデンサで、あまり大きいと基板に収まらなかったり、缶のフタが閉まらなくなったりします。直径は10mm、高さは13mmが上限でしょう。ピンの間隔は5mmです。今回使用したのは日本ケミコンのKMG10VB1000M。この仕様が手に入らない場合は、容量を下げて470uF程度のものを探すと見つけやすいと思います。
3.5mmのステレオ・ジャックはホシデンのHSJ0862に対応しています。秋葉原・鈴商で購入できます。ただし、今回の試作ではマル信のもの(MJU-3XFと思われます)を使用しました。外形が若干違いますが、そのまま使えるようです。
OPアンプはOPA2134を2個使用します。交換して実験ができるようソケットを履かせました。LOVE AMPを使うと、OPアンプによる音質の違いをカンタンに比較できます。
スイッチを基板上に取り付ける場合は、3端子の小さなスライド・スイッチがいいと思います。写真のスイッチはどこで買ったのか忘れてしまいました(秋葉原のどこかです)。11mm×4mm以内の大きさなら載ると思います。
LEDは3mmの砲弾型を使っています。足を直角に曲げて、缶の外に頭が出るように実装します。
本誌の回路図と同様に、基板上にはカプリング・コンデンサとして10uFの電解コンデンサを載せるスペースが確保されていますが、今回は省略しました。載せる場合は直径5mm以下のものが使えます。
基板に搭載するその他の部品は、抵抗器と0.1μFの積層セラミック・コンデンサです。
この写真は失敗で、ピントが奥へ行ってしまいました。基板の手前側の角が丸くなっているのがわかるでしょうか。ヤスリで削って、このように丸くしておくと、ALTOIDS缶にうまく収まります。LEDとジャックの先端は基板の外側に飛び出します。
抵抗器はすべて縦に取り付けます。シルクの指示通りで問題ありませんでした。基板外との接続はワイア直付けで行いました。1Aと1BはVR1、2Aと2BはVR2の真ん中の端子につながります。COMはボリュームや入力ジャックのGNDと繋がる端子です。B+とB-は9V電池の+と-へ接続します。
このミント缶を加工してケースにします。ALTOIDS以外の製品でも大きさが同じであれば使えます(たとえばFisherman's Friend)。丸い穴を開けるだけですので、工具は電動ドリル(歯は4mm)とリーマがあれば大丈夫。とはいっても、ブリキ加工はけっこう面倒ですね。
パイロット・ランプ(中央)とヘッドフォン・ジャック(左右)が顔を出す位置と大きさを示しました。ただし、この数字は精度不十分だと思いますので、現物合わせで確認しながら進めてください。
ミント缶に穴をあけるとき、筆者はいつも次のような方法でやっています(もっと強力な工具が欲しいです)。
1. 細字の油性ペンでセンタに印をつける
2. センタ・ポンチの代わりに2mm以下のドリルかピンバイスで位置決め
3. 4mmのドリルで穴開け
4. リーマで必要な大きさに拡張
5. バリは古いニッパでむしって、軽くヤスリがけ
基板はこの穴に差し込まれたジャックと1本のネジで固定されます。遊びが大きいと不安定になりますので、がんばってなるべくピッタリに仕上げます。写真をよく見ると、右側が少し持ち上がってますね。穴の間隔もわずかに狭かったようです。結局、穴を広げて対応しました。これ以上精度が悪いとガタつくと思います。
缶の反対側には入力用のステレオ・ジャック(中央)と2個の可変抵抗器(ボリューム)が来ます。共立電子で扱っている直径13mmの2連ボリュームを使用する場合、ギリギリまで缶の底に近づけないと収まりません。また、ボリュームを固定するナットが缶のフタに当たらないよう注意してください。
こちら側のステレオ・ジャックは幅をとらないタイプが必要です。使ったのはマル信のMJ-355Wだと思いますが、型番の確認が取れていません。
穴は全部で7か所。最後は底面にあける基板を固定するための穴です。筆者は3mmの穴をあけて2.6mmのネジを使いましたが、基板のホールは3mmネジがちょうどいいようです。
基板の下となるエリアには絶縁のためにテープを貼りました。3mmほどのスペーサを使って基板を浮かせれば接触しないはずですが、筆者の工作精度はいまいちなので、念のためです。
ボリュームのツメが邪魔になるときは、刃がダメになってもいいニッパで切り取ります。また、缶の外にシャフトが出っぱり過ぎるとかっこわるいので、缶の内側にもナットを使って、数ミリ引っこんだ位置に固定しました。あまり引っこみすぎると電池のスペースがなくなるので、様子をみながら調整します。
写真では取り付け前から配線がしてありますが、これは試作基板のテストに使ったためで、作りやすさと効率を考えると、缶に取り付けてから配線を行ったほうがいいと思います。浮いている線があると、電池が入らなかったりフタが閉まらなくなったりするので、確認しながら進めます。
もし、ボリュームをとめるナットがフタに当たってしまったら、写真のように六角形の一辺がフタと並行になるように締めることで解決できるでしょう。このツマミはginga drop(http://www.gingadrops.jp/)で購入しました。お気に入りの部品で、ケースがうまくできたときは、これを使うことにしてます。
基板をALTOIDS缶に実装すると……あつらえたようにピッタリ! ていうか、あつらえたんです! 9V電池は両面テープで貼り付けてあります。ボリュームの端子付近の配線とフタが接触する可能性があるので、このあとテープで保護しました。
この回路をユニバーサル基板で作るとかなりくたびれます。基板のはんだ付けと、ケース加工の2回、ヤル気を発揮しないといけないんですよね。その点、専用のプリント基板があるとだいぶ違います。1.2回分くらいのヤル気で完成まで辿り着けました。もっと作りたい! という気持ちになってきましました。
でも、同じ回路ばかりではつまらないので、次は別の基板を使って違う装置を作ってみます。
船田 巧
