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ユニバーサル基板のプロになる!
第12回目「超入門…ユニバーサル基板配線術~応用編3~」

 ユニバーサル基板(以降:自在基板)の応用編3は「コネクタを使う」です.基板と電線を接続する「樹脂コネクタ」を紹介します.

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写真1 コネクタ使用例1


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写真2 コネクタ使用例2

 電子工作ではコネクタを使う機会は多くありませんが,ケースに格納したり動作確認やデバッグで基板を脱着するときに重宝します.

 コネクタを使う機会が少ない理由の一つに,「あまりにも多くの種類がある」のと「専用の工具が必要」があると思います.1番目の理由にはエンド・ユーザにコネクタを指定される産業製品と違い,自分で選べるので1~2種類そろえる程度でも間に合います.2番目の「専用工具」は高価なものが多く,アマチュアが手を出すことができないので,汎用万能工具の紹介をします.

 そのほか,入手性でも困ることがあると思うので,電子ショップで販売されているものも例にとって紹介します.

●コネクタの利点
1.脱着できる:検査や調整のときに基板ごと外す場合や,ケース内に格納するときに必須です

2.直付けより断線の危険が少ない:はんだで直付けした部分は本来の線材の柔軟性が失われるので,根元が折れやすい.

3.接続相手と別々に製作できる:相手先がセンサなど不特定の場合や,複数人で製作する場合など

●コネクタの構造
 基板と電線をつなぐ樹脂コネクタの多くは,写真のようにポスト(支柱)とソケットの組み合わせです.ポストは「ヘッダ」と呼ばれることが多く,ソケットはハウジング(容器)とターミナル(接触子)に別れていて組み合わせて使います.線材は「ターミナル」に圧着という工程で接続します.

●コネクタを選んでみる―ピン数は2~3ピンでよい
 筆者がよく使っているものを紹介します.部品販売店でも入手可能です.

▲モレックス 5045+5051+5159:高信頼かつ頑強です.勘合が頑強過ぎて,頻繁な抜き差しがやりにくいくらいです.ヘッダは何種類かのハウジングで共通で使用可能

▲日本圧着端子 EHシリーズ:2.54mmピッチの中では比較的小型低背です.キンク(足曲げ)加工してあるので基板から落ちにくく,実装に便利

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写真3 モレックス 5045(ヘッダ),5051(ハウジング),5159TL(ターミナル)

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写真4 日本圧着端子 EHシリーズ

 これらは,二つとも2.5mmピッチで,自在基板のピッチ(2.54mm)と微妙に違い,ピン数が多くなると挿入しづらくなります.とくに10ピン以上を取り付けようとするとコネクタと基板が湾曲します.種類を抑えるという点でも,2~3ピン程度をそろえておき,複数組み合わせるのが適当です.ただし,密着取り付けはできないので,5ピンを構成しようとすると2ピンと3ピンを並べる間に一つ空けるので6ピンのスペースが必要です.

p5.jpg写真5 2.5mmピッチ10ピン以上のヘッダを2.54mm基板に取り付けると,ゆがんで両端が浮いてくる

●使用できる線材の太さ
 ビニール電線ではφ0.3mm~φ0.5mmの間,AWGサイズだと#28~#20ぐらいです.細すぎると圧着不良で抜けてしまい,太すぎると被覆の押さえが不十分になったり,ハウジングに収まりきれないことがあります.

 ターミナルによって使用可能な電線サイズが決まっています.下の写真ではAWG#26(青)とφ0.5mm(黄)を挿入した様子です.一般には2.5mmピッチ樹脂コネクタではこの範囲が適正なサイズです.

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写真6 AWG#26(青)とφ0.5mm(黄)を挿入した様子

●ヘッダの取り付け
 ヘッダは基板にはんだ付けするだけですが,内側・外側の向きがあります.筆者はハウジングを勘合させたときにテスタ棒で当てることができる向き(写真1の向き)にしています.

p7.jpg写真7 ハウジングを外向きに配置すると,ターミナルの爪で信号チェックすることができる

●ターミナルの取り付け
 「圧着」という工程で線材と接続しますが,コネクタ・メーカではターミナル別に専用の手動工具が用意されています.これはかなり高価で100K円近くするものもあります.業務の場合は専門の線材業者に依頼するのですが,数が少ない場合は「汎用圧着工具」でこなします.アマチュアにも手が出せる範囲と思います.

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写真8 汎用圧着工具の例 P-706(ホーザン)

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写真9 初期タイプは刃厚が厚いので削って使用.最新のものは改良されて薄くなっている

●手順

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写真10 線材を剥く:ワイヤ・ストリッパを使い,圧着部分の幅より長く剥きます

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写真11 圧着部分よりも長いことを確認

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写真12 ターミナルをセット

p13.jpg写真13 線材をセットし圧着:裏側でターミナルの圧着部より先端がはみ出していることを確認する.被覆の咬みこみにも注意

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写真14 芯線が圧着できた状態

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写真15 つづいて被覆を圧着,一つ上のサイズで行う

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写真16 完了:芯線が圧着部よりはみ出しているのが確認できる

 仕上り状態は圧着部から芯線がはみ出し,扇形に広がっているのが理想です.

 圧着工具がない場合は,ラジオ・ペンチである程度同じ形に変形させてからはんだ付けします.被覆のかしめ(押さえ)は線が折れないために重要です.

<はんだ付けでつける場合>

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写真17 ラジオ・ベンチで少ししっかりと芯線を押さえ込む

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写真18 被覆の押さえは軽く包み込むように

p19.jpg写真19 芯線がはみ出している側から,はんだを流し込むようにする.ターミナルの先端に流れないように注意

基板チェックに鉛筆(シャープ・ペンシル)は厳禁

 回路図をチェックしながら,ついつい基板の裏を鉛筆でなぞってしまうことはありませんか? 鉛筆の芯は立派な導体なので思わぬトラブルを引き起こします.下の写真のように描いた線でも2MΩの抵抗になっています.鉛筆やシャープ・ペンシルの折れた芯が挟まったり,粉が付着すると導通するので,基板チェック時に配線の行方を鉛筆で追うのは非常に危険です.

<鉛筆で線を引いた例>
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 次回はいよいよ最終回!そのほかの応用例を紹介します.

<高野 慶一>

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