キットも電子工作の入門ツール 連載(1-1)
電子工作の材料を探しながら、おもちゃ売り場や街を歩いてみました。トランジスタやICでモータをコントロールしているキットが思いのほか多く見つかりました。
次の二つの写真は、同じライン・トレーサですがトランジスタ回路のものと、マイコン回路での制御のものです。見た目もいろんなデバイスが載っかっていて楽しそうです。
電子工作の材料を探しながら、おもちゃ売り場や街を歩いてみました。トランジスタやICでモータをコントロールしているキットが思いのほか多く見つかりました。
次の二つの写真は、同じライン・トレーサですがトランジスタ回路のものと、マイコン回路での制御のものです。見た目もいろんなデバイスが載っかっていて楽しそうです。
■プログラミング・ロボットKIROBO
電子工作の材料となる素材として、イーケイジャパンのKIROBOというキットを紹介します。12歳以上対象となっているキットで、組み立ては1~2時間で終えることができます。ただし、実際に動作させるためにはメーカのホームページから専用ソフトをダウンロードして、動作を指定するプログラムを作成しなければなりません。そのプログラムをパソコンのサウンド出力からこのKIROBOに転送して初めて動作します。
なかなかハードなキットです。しかし、対象を小学校の高学年から中学以上と想定しているので、説明書も丁寧で、その気になれば誰でも自分の思い通りの動きを実現できそうです。
■歩行するキット
今回は、車輪でなく4本足で歩行するメデューサIIを組み立ててみます。イーケイジャパンのMOVITのシリーズの一つです。メデューサの名前を見て、何でここにギリシャ神話のゴルゴン三姉妹のメデューサが出てくるのか不思議に思っていました。
組み立て説明書には、英語のくらげを示すMedusaに由来しペルセウスに首を切られたメデューサとは無関係とありました。実際足の数は少ないのですがクラゲを思わす形をしています。しかし、辞書を引くとクラゲ(jellyfish)の前にメデューサまだはメドゥーサと出てきます。このメデューサはベルサーチのシンボルともなっていて、その奇抜なベルサーチのコンセプトをよく現しています。
■ソルダーレス ブレッドボード
ブレッドボードとはパン切り(捏ね)台のことですが、当初、パン切り台のような木のボード上に部品を載せ配線し試作基板を作っていたため、試作基板のことをブレッドボードとしているようです。以前は、ICの回路確認のためにかなり大きな試作基板が作られ、回路のテストが行われていました。初期のマイコンの試作基板は畳1、2枚分の大きさにもなったようです。
いまは、ICやトランジスタなどの部品を抜き差しし、ジャンパ線で回路が構成できるブレッドボードは、ソルダーレス ブレッドボード(Breadboard)と呼ばれ、はんだ付けの必要ない試作基板の意です。ここではソルダーレスを省略し単にブレッドボードと呼び、ソルダーレス ブレッドボードを示すこととします。
具体的には次に示すE-CALL ENTERPRISE 社のブレッドボードを例として取り上げます。
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この連載では、電子キットを購入してきて、組み立ててその動作を調べ、より面白い動作などに発展させるために、回路を変更したりすることに挑戦しようとしています。その中で、ちょっとした実験などに適したブレッドボードについて、前回から解説をしているところです。
■ジャンパ線は単芯のリード線で作っている
トランジスタやICのリードをブレッドボードに差し込みます。配線はジャンパ線で行います。ブレッドボードとセットになったジャンパ線もあります。サンハヤトのブレッドボード用のジャンパ線のセットは、回路間の信号や、電源接続のための、長さが50mm、70mm、100mm、150mm、200mmと複数の長さのジャンパ線のセットと、2.54mm単位でブレッドボードのピンの間隔の整数倍の長さの25.4mmまで長さが9種類、25.4mm単位で127mmの5種類用意されています。EIC-Call社も同様なセットを用意しています。
しかし筆者は、部品のリード線の切れ端とφ0.5mmの単芯のリード線でジャンパ線を作っています。次に示す写真のように、必要な長さにリード線を切断し、両端の被覆をワイヤ・ストリッパで剥いて、端をまげて整形し使っています。2.54mm、5.08mmの間隔のジャンパ線は部品のリード線の切れ端とスズ・メッキ線で作っています。
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この連載では、電子キットを購入してきて、組み立ててその動作を調べ、より面白い動作などに発展させるために、回路を変更したりすることに挑戦しようとしています。その中で、ちょっとした実験などに適したブレッドボードについて、二度にわたって利用方法を説明しました。今回から、そのブレッドボードを利用方法を具体的に見ていきましょう。
●タイマICで発振回路
今回は、よく使われるタイマICのLMC555をテストしてみます。8本足の小さなICですが、いろんな場面で使われる便利なタイマICです。回路図を次に示します。ブレッドボード上の部品の配置とほぼ同じ位置にしてあります。
今回はブレッドボード編の最後として、ブレッドボードにスイッチを取り付ける場合とリード線の引き出しの例を示します。
●スイッチの取り付け
ブレッドボードでスイッチを利用する場合、2.54mmピッチのものを利用します。秋月電子通商で販売しているトグル・スイッチは2.54mmピッチです。ブレッドボードに差し込み利用することができます。しかし縦型のトグル・スイッチはスイッチの切り替え時に少し強い力が必要です。そのためしっかりスイッチを押さえてスイッチの切り替えを行わないとブレッドボードから外れてしまいます。
●フォト・リフレクタによるライン検出回路
フォト・リフレクタの赤外線LEDに電流を流し、発光した赤外線の光が白紙に反射してフォト・トランジスタが受光すると、フォト・トランジスタのコレクタに反射して届いた光量に応じた電流が流れます。LEDに流した電流と、反射した赤外線を受けてフォト・トランジスタに流れる電流の関係がデータシートで示されています。または前回実測したデータ。
この値を利用してフォト・リフレクタの動作条件とフォト・リフレクタの信号を判定するコンパレータの条件を設定します。
●電源電圧を決める
今回自走車で使用する予定のタミヤのツインモーターギヤーボックスで使用されているモータは1.5Vから3Vの電源電圧で駆動するようになっています。制御装置はPICマイコンを使用します。モータとは別電源として、3.6Vから4.5Vのニッケル水素電池3本もしくは乾電池3本を使用することにします。
前回組み立てた制御回路の調整と、白地と黒地の反射率の差によるフォト・リフレクタの出力の状況を確認します。測定結果の内、黒線の幅が20mm、10mm、3mmのものについてEXCELでグラフ化したものを示します。
●測定点
各図のX軸の値はフォト・トランジスタの位置を示しています。そのため、+15mm、+10mmの位置ではフォト・トランジスタよりマイナス側に設置された赤外線LEDが黒線の影響を受けます。一方、-10mmのほうで赤外線LEDは黒線の影響を受けない状態になっています。測定値は、黒線を描いているボール紙のゆがみや、センサの向きの振れなどで1,2割変動します。
今回は、制御の対象となる自走車の準備を始めます。連載2-4でモータのオン/オフを確認したタミヤのキットです。まず、次に示す3種類のキットを用意します。
● トラック&ホイール・セット
ユニバーサル・プレートを重ねる場合間に、スペーサを用意します。スペーサがない場合は、45mmから50mmのM3のビスを利用する方法があります。ホームセンタではM3のビスは30mmくらいの長さまでそれ以上の長さのビスはあまり置いていません。
誰でも入手できるようにマルツパーツのメタルスペーサM3用35mm(105円)とジュラコンスペーサM3用40mm(47円)を入手しました。
今回から数回モータの回転制御の話をします。
模型用小型モータの正逆の回転方向制御、回転の開始、停止の制御を行う具体的な方法を試してみます。
モータのオン/オフは連載2-4で示したトランジスタまたはFETのスイッチ回路が基本となります。回転数の方向制御の一つに、次に示すブリッジ回路があります。
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前回提示したモータ制御回路を、、実際に2回路ブレッド・ボード上で組み立て自走車を走らせてみます。
今回は、秋月電子通商で購入したEIC-801Tを使用してテスト回路を組み次の写真のように自走車の上に載せました。
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制御入力値とモータの回転の様子
前回のテスト回路について、制御入力の値をそれぞれ変えて、モータの回転の様子を確認した結果を示します。
測定した値
TA7291Pの制御入力IN1、IN2の設定状態とモータの制御出力OUT1、OUT2およびVS、Vccの電源電圧の様子を測定しました。電源は電池ですので電池の消耗のため測定の開始時期と終了時では電源電圧が変わっています。また、モータ駆動用の電源VSは、モータの稼動状態により停止時の3.1Vから両方のモータが駆動されるときの約2.5Vと大きく変動しています。
測定方法
動き回ると、測定が厄介なので次の写真に示すように500gの巻きはんだのボビンの上に載せて測定しました。ジャンパで右左の入力値IN1、IN2の設定を行いキャタピラが停止、前進、後退か確認します。その後、右左の出力およびVS、Vccの値を手早くPC5000のディジタル・マルチメータで読み取り、記録します。
電池から放出された電力の消費内訳
TA7291Pのモータ制御時の損失について考えます。
前回のモータ駆動時供給電圧とTA7291Pの出力電圧の測定結果をもとに考えます。図に示すと次のようになります。
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リモート・コントロール
今回は自走車のモータをコントロールしている、TA7291P のIN1、IN2の制御入力をリード線で引き出し、手許で前進後退、左右の回転などのリモート制御を行ってみます。
OPアンプは信号増幅のお助け人
安価なコンデンサ・マイクロホンを使用し検出した音でスイッチのオン/オフを行ったり、温度センサを利用する場合などには、信号の増幅が必要になります。今回から各種の信号増幅に利用されるOPアンプIC、LM358について検討してみます。
今回は、OPアンプの動作を説明し、その説明をブレッドボード上で確かめてみます。
これから使用するLM358は反転入力、非反転入力、出力の三つの端子をもっています。
増幅器は入力信号(反転入力信号電圧-非反転入力電圧)を増幅し出力端子に出力します。
前回の最後に次回は反転増幅器の説明をすると書きましたが、非反転増幅器のほうがデータを測定しその結果を解釈するのにわかかりやすいことに気が付きましたので、予定を変え非反転増幅回路から説明します。
前回に測定した、反転増幅器の測定結果をグラフ化し、その結果を検討します。
引き続いて、反転増幅器の増幅率について考えてみます。
測定データをグラフ化する
増幅器の増幅率は、入力電圧の変化に対する出力電圧変化の比となります。グラフの、直線から外れる上下の部分を除いた、測定点を通る直線の傾きからも増幅率を求めることができます。+入力端子と-入力端子間電圧を直接測定した前回の結果をグラフ化します
(前回の最後に表示した測定結果)
方形波は、その周波数と等しい基本周波数の正弦波と、この基本周波数の倍数の高調波と呼ばれる波形が重なったものとも考えられます。この波形は、フーリエ級数と呼ばれる基本周波数とその高次の高調波の級数で表現されます。サンプル波形を基本周波数とそれぞれの高調波に分解し、サンプル波形に含まれる基本周波数と各高調波に分解しその成分の強さを表示する波形の解析法があります。この解析法をFFT(高速フーリエ変換:Fast Fourier Transform)スペクトラム解析と呼びます。
テクトロニクスTDS2004Bのディジタル・オシロスコープにもこの機能が用意されています。この際、前回作成した正弦波発振回路の方形波出力とローパス・フィルタ(ハイカット・フィルタ)で高調波を取り除いた正弦波の波形のスペクトラム解析の結果を示します。
正弦波発振回路のシミュレート
今、検討しているに示した正弦波発振回路は、二つのブロックで構成されています。一つは前回と前々回示した方形波発振回路と、もう一つは、方形波から高調波を削減し基本波を通過させるローパスフィルタの部分です。
今回は、フィルタの特性をPCによる回路シミュレータ(LTSPICE)で確認します。その後、方形発振回路とフィルタ回路を組み合わせた正弦波発振回路について回路シミュレータでその動作を確認してみます。
回路シミュレータで、各コンポーネントの動作確認
回路シミュレータは、回路図エディタでシミュレートしたい回路図を描き、必要に応じて入力信号をいろいろ変化させ、各測定点の電圧、電流、AC信号の場合は位相などをグラフ表示することができます。
前回まで、正弦波のテスト信号発生回路ができましたので、これらを利用してマイクロフォンから手を打った音などを増幅してスイッチなどのオンオフを行う、音声スイッチの検討を行います。
(1) AC信号増幅回路のまとめ、(2) マイクロフォン信号の増幅、(3) 音声信号からスイッチのオン/オフ信号作成方法を、5回くらいで考えていきます。
テスト信号用ケーブルの作成
信号伝達用のためのケーブルを作成しました。使用しなくなったRCAピン・プラグの赤白のオーディオ・ケーブルを切断して0.6か0.7mmφのスズ・メッキ線を取り付けました。以前はケーブルとスズ・メッキ線をはんだ付していました。しかし、すぐにはんだ付した場所が折れてしまいますので、今回は電線の圧着チューブを使って次に示すようにケーブルとスズ・メッキ線を圧着しました。
AC信号の測定
直流信号または直流電圧はその時点の電圧を測定し電圧とします。しかし、交流の場合は電圧が変化します。そのため、交流信号の大きさを示すための代表値が必要になります。テスタやディジタル・マルチメータなどで表示されるACレンジで表示される値は、「実効値」またはRMS(root mean square value)呼ばれる値です。この値は信号の各瞬間ごとの値を二乗してその平均値を求め、その平均値をルートで開いた値となります。
正弦波の場合Vを中心にプラス側、マイナス側同じ波形が繰り返されるので単純に平均値を取ると0になります。実効値はプラス側、マイナス側の0Vからの波形のピークの値をVpとすると、
実効値=Vp/√2=0.707×Vp
となります。マイクロホンからの音声信号は複雑な波形をしています。その大きさの代表値はテスタやディジタル・マルチメータの測定値とは必ずしも一致しません。そのため、アンプの増幅率などを測定するためには、普通は正弦波信号を加え測定します。
前回までの正弦波回路からの信号を利用してOPアンプを利用した増幅回路の増幅率を確認し、その増幅器でマイクロホンから信号を増幅してみます。
一般的なOPアンプによる半波整流回路
まず、OPアンプとダイオードを利用した整流回路の動作を確認します。
OPアンプは実際にテストするLM358/NSのSPICEデータをナショナルセミコンダクター社のホームページからダウンロードしました。LTSPICEには汎用の小信号用のスイッチング・ダイオード1N4148のシミュレーション・データが用意されています。以前定番だった1S1588