(連載)キットで作る OPアンプによる信号増幅回路について(1) 連載(5-1)
OPアンプは信号増幅のお助け人
安価なコンデンサ・マイクロホンを使用し検出した音でスイッチのオン/オフを行ったり、温度センサを利用する場合などには、信号の増幅が必要になります。今回から各種の信号増幅に利用されるOPアンプIC、LM358について検討してみます。
OPアンプは信号増幅のお助け人
安価なコンデンサ・マイクロホンを使用し検出した音でスイッチのオン/オフを行ったり、温度センサを利用する場合などには、信号の増幅が必要になります。今回から各種の信号増幅に利用されるOPアンプIC、LM358について検討してみます。
今回は、OPアンプの動作を説明し、その説明をブレッドボード上で確かめてみます。
これから使用するLM358は反転入力、非反転入力、出力の三つの端子をもっています。
増幅器は入力信号(反転入力信号電圧-非反転入力電圧)を増幅し出力端子に出力します。
前回の最後に次回は反転増幅器の説明をすると書きましたが、非反転増幅器のほうがデータを測定しその結果を解釈するのにわかかりやすいことに気が付きましたので、予定を変え非反転増幅回路から説明します。
前回に測定した、反転増幅器の測定結果をグラフ化し、その結果を検討します。
引き続いて、反転増幅器の増幅率について考えてみます。
測定データをグラフ化する
増幅器の増幅率は、入力電圧の変化に対する出力電圧変化の比となります。グラフの、直線から外れる上下の部分を除いた、測定点を通る直線の傾きからも増幅率を求めることができます。+入力端子と-入力端子間電圧を直接測定した前回の結果をグラフ化します
(前回の最後に表示した測定結果)
方形波は、その周波数と等しい基本周波数の正弦波と、この基本周波数の倍数の高調波と呼ばれる波形が重なったものとも考えられます。この波形は、フーリエ級数と呼ばれる基本周波数とその高次の高調波の級数で表現されます。サンプル波形を基本周波数とそれぞれの高調波に分解し、サンプル波形に含まれる基本周波数と各高調波に分解しその成分の強さを表示する波形の解析法があります。この解析法をFFT(高速フーリエ変換:Fast Fourier Transform)スペクトラム解析と呼びます。
テクトロニクスTDS2004Bのディジタル・オシロスコープにもこの機能が用意されています。この際、前回作成した正弦波発振回路の方形波出力とローパス・フィルタ(ハイカット・フィルタ)で高調波を取り除いた正弦波の波形のスペクトラム解析の結果を示します。
正弦波発振回路のシミュレート
今、検討しているに示した正弦波発振回路は、二つのブロックで構成されています。一つは前回と前々回示した方形波発振回路と、もう一つは、方形波から高調波を削減し基本波を通過させるローパスフィルタの部分です。
今回は、フィルタの特性をPCによる回路シミュレータ(LTSPICE)で確認します。その後、方形発振回路とフィルタ回路を組み合わせた正弦波発振回路について回路シミュレータでその動作を確認してみます。
回路シミュレータで、各コンポーネントの動作確認
回路シミュレータは、回路図エディタでシミュレートしたい回路図を描き、必要に応じて入力信号をいろいろ変化させ、各測定点の電圧、電流、AC信号の場合は位相などをグラフ表示することができます。
前回まで、正弦波のテスト信号発生回路ができましたので、これらを利用してマイクロフォンから手を打った音などを増幅してスイッチなどのオンオフを行う、音声スイッチの検討を行います。
(1) AC信号増幅回路のまとめ、(2) マイクロフォン信号の増幅、(3) 音声信号からスイッチのオン/オフ信号作成方法を、5回くらいで考えていきます。
テスト信号用ケーブルの作成
信号伝達用のためのケーブルを作成しました。使用しなくなったRCAピン・プラグの赤白のオーディオ・ケーブルを切断して0.6か0.7mmφのスズ・メッキ線を取り付けました。以前はケーブルとスズ・メッキ線をはんだ付していました。しかし、すぐにはんだ付した場所が折れてしまいますので、今回は電線の圧着チューブを使って次に示すようにケーブルとスズ・メッキ線を圧着しました。
AC信号の測定
直流信号または直流電圧はその時点の電圧を測定し電圧とします。しかし、交流の場合は電圧が変化します。そのため、交流信号の大きさを示すための代表値が必要になります。テスタやディジタル・マルチメータなどで表示されるACレンジで表示される値は、「実効値」またはRMS(root mean square value)呼ばれる値です。この値は信号の各瞬間ごとの値を二乗してその平均値を求め、その平均値をルートで開いた値となります。
正弦波の場合Vを中心にプラス側、マイナス側同じ波形が繰り返されるので単純に平均値を取ると0になります。実効値はプラス側、マイナス側の0Vからの波形のピークの値をVpとすると、
実効値=Vp/√2=0.707×Vp
となります。マイクロホンからの音声信号は複雑な波形をしています。その大きさの代表値はテスタやディジタル・マルチメータの測定値とは必ずしも一致しません。そのため、アンプの増幅率などを測定するためには、普通は正弦波信号を加え測定します。
前回までの正弦波回路からの信号を利用してOPアンプを利用した増幅回路の増幅率を確認し、その増幅器でマイクロホンから信号を増幅してみます。
OPアンプの半波整流回路をブレッドボードで実際に作成し、シミュレーションと同等の結果が得られるか確認します。
プラス/マイナスの2電源が必要
今回の回路は、プラス/マイナスの2電源が必要です。一般的には安定化電源を用意しますが、今回は乾電池を利用してみます。角型の9Vの積層乾電池を二つ利用します。二つの電源のスイッチは同時に投入または切断するのが望ましいので、次に示す2回路のスイッチを設けました。
続きを読む "連載キットで作る(36)整流回路について(3) OPアンプとダイオードを利用した半波整流回路、ブレッドボードで確認" »
次の全波整流回路をブレッドボード上に組み立て、前回のLTSPICEでのシミュレーション結果と比較してみます。
電源は、連載(36)で使用した9Vの積層乾電池二つで作ったプラス/マイナスの電源を使用します。回路図には描いてありませんが、LM358の8番ピンに+9V、4番ピンに-9Vの電源を供給します。
続きを読む "連載キットで作る(38)整流回路について(5) OPアンプによる全波整流回路をブレッドボードで確かめる" »
最近は、単一電源のOPアンプが多く使われています。整流回路のためだけにマイナスの電源を用意することのないように単一電源で動作する整流回路の検討を行います。
前回(44)では、反転増幅器の入力インピーダンスについて検討しました。今回は、非反転増幅器の動作を検討します。今回もLTSPICEで動作を確認し、ブレッドボードで実際のデバイスを利用して確認します。
非反転増幅器の基本形
次に示すように、LM358を非反転増幅器として構成します。電源は±12Vの2電源で、V3のVoltageを信号源として1kHzの正弦波、AC解析用のAC信号源としています。このAC信号は、1V(ピーク電圧)と設定しています。
非反転増幅器の増幅率
非反転増幅器の増幅率は、
G=(R1+R2)/R1
と計算されます。この回路では、
(10k+100k)/10k=11
となります。1Vの入力信号は11Vになることが想定されます。
過渡解析(Transient)を選択し、シミュレーションの時間を1kHzの正弦波が10サイクル続く10msと設定します。
コンデンサ・マイクで収録した音声をOPアンプで増幅することは、LTSPICEのシミュレータや、連載33回のOPアンプLM358のテスト回路などで確認しています。
今回は、増幅された信号でどのように処理するか検討します。
音声スイッチで起動が想定されるもの
例1 音を検出して、所定の時間モータや照明のスイッチがオンになり、所定の時間を
経過したらスイッチがオフになる。
例2 音声を検出したパルスでカウンタをカウント・アップする。
例3 マイコンなどの入力ポートにパルスを入力する。入力数に応じて、プログラムで
自由な設定が可能になる。
これらの例を可能にするためには、次に示すように、マイクからの数mV多くても10mV以下の音声信号をOPアンプの増幅器で数百倍に増幅します。
増幅された音声の信号は、複数のパルスで構成されています。