StarBoard Orange(スター・ボード・オレンジ 以下☆Board)は,以下の設計コンセプトに基づいて設計をしています。
(1) スタンドアロンである程度の応用ができるようなデバイスを搭載すること。
(2) できるだけコンパクトに設計するが拡張性も考慮すること。
(3) プログラム作成時は、PCからのUSB給電だけでも動作すること。
(4) Cookbookなどのサンプル・アプリケーションができるだけ改造なしに動作すること。
(5) 極力、SMDは使用せず、組み立てが簡単なこと。
(6) 部品は秋葉原または通販などで容易に入手可能なこと。

 (1)、(2)項については、前回、搭載デバイスや拡張性の概要を説明しましたので、今回は、(3)項の『PCからのUSB給電での動作』について解説します。

0sbo0_L.jpg

 mbedは、ご存知のとおり、開発環境がクラウド上にあり、インターネットにつながったPCさえあればどこでもプログラムの開発ができます。ですので☆BoardもPCからのUSB給電だけで動作させることができれば、作成したプログラムをどこでも実行させることができ、クラウド開発のメリットを最大限に活かすことができると考えました。
 これを実現するために☆Boardの電源周りはいろいろな考慮がなされており、若干複雑な構成となっています。

(1) mbed内部の電源回路
 最初におさらいとして、mbed内部の電源回路の構成を以下に示します。

        
smbed_pwr_L.jpgmbed NXP LPC1768 電源回路プロック図

 mbed上にあるUSB mini Bコネクタを通してPCから供給される電源(VBUS)は、USBの受給電流規格(500mA以下)を守るために、カレント・リミットSW IC FPF2123により、最大約460mAに制限されます。FPF2123の内部抵抗は、約0.125Ωですので、この回路によって、最大約60mV程度の電圧ドロップが発生することを留意する必要があります。
 FPF2123の出力は、そのままmbedのVu端子(39ピン)から出力されますので、外部の回路でPCから供給される電源(VBUS)を利用することができます。この際、FPF2123により、電流制限されますので、利用できる電流は、mbed自体の消費電流と合わせて最大で460mAとなります。この場合、☆Board上のUSB Hostから供給できる電流に制限がでます。
 一方、FPF2123の出力とmbedの外部電源入力であるVin端子(2ピン)からの電流は、ショットキー・バリア・ダイオード D1, D2により突き当てされ、二つのLDO(Low Drop Out)レギュレータに入力されます。ひとつのLDOレギュレータの出力は、そのままVout端子(40 ピン)から出力され、外部の回路で使用することができます。もうひとつのLDOレギュレータの出力は、mbed内部で使用されます。
 また、mbed内蔵RTCのバックアップ電源(VBATTERY)は、前述のLDOレギュレータの出力とVb端子(3ピン)から生成され、VBUSまたは、Vin入力がない場合は、Vb端子に接続された電池(リチウム・コイン電池など)から供給されます。
 以上のようにmbedは、USB電源を保護するカレント・リミットSWや外部回路で使用できるLDO出力を備えるなど、非常に良く考えられた設計になっています。

2 ☆Boardの基本電源回路
 ☆Boardの基本的な電源回路の構成を以下に示します。

        
smbed_pwr2_L.jpg
☆Board 基本電源回路

 ☆Boardでは、内部的にUSB HOST電源などの+5V(信号名5V)とmicroSD電源などの+3.3V(信号名3V3)の2系統が必要です。5Vに関しては、USB給電だけでも動作できるようにmbedのVu端子(39ピン)とスタンドアロン動作時のACアダプタ入力(CN1)をショットキー・バリア・ダイオード1S3(D3, D4)によって突き当てし、生成しています。3V3に関しては、mbedのLDOレギュレータ出力Vout端子(40ピン)をそのまま使用しています。
 また、LCDユニットのロジック回路用の電源(VLCD)は、3,3Vと5Vが選択できるように図のように設定ピンを設けてます。
 以上により、☆Boardは、PCからのUSB給電でもスタンドアロン動作時のACアダプタからの給電でも動作させることができます。もちろん併用も可能です。
 特にPCからのUSB給電による動作は、どこでも動作させることができ、クラウド開発のメリットをより大きくすることができます。mbed用のベースボードは既にほかにもいくつか出ていますが、ACアダプタの使用が前提になっているものも多く、PCからのUSB給電による動作は、☆Boardの特徴となっています。
 ACアダプタは、5Vに安定化されたスイッチング電源タイプを使用してください。当初、☆Board内に3端子レギュレータを搭載することも検討しましたが、その場合、5Vより高い電圧を入力する必要があり、電池運用を考えるとデメリットになるため、あえて搭載しないこととしました。これにより、USBホスト機能を使用しないかぎり、5V以下での入力でも動作し、電池を究極まで使うことができます(主たる3.3V系はLDOが内蔵されているため問題ない)。LCDは、3.3V動作とし、555による負バイアス(詳細は次回解説予定)を用いれば問題ありません。

 今回は、☆Boardの基本電源回路について解説しました。次回は、☆Boardのもうひとつの大きな特徴である、LCD周りの電源回路の工夫について解説します。

@logic_star takami...

コラム:~~StarBoard Orangeお出掛けセット~~

 ☆Boardの持ち運び用に何か適当なケースがないか探していたところ、100円均一ショップなどで売られている、ハガキ整理用のプラスチック・ケースを見つけました。☆Boardの大きさは、72×95mmでちょうどハガキの大きさの約半分になります。見つけたケースは、真ん中に取り外し可能な仕切り板がついており、半分の部分に☆Boardを入れ、残り半分の部分にブレッドボードやジャンパ・ワイヤ、USBケーブル、評価用デバイスなどを入れるのにぴったりです。非常にコンパクトに収納できるので、持ち運びも苦になりません。開発環境がクラウドですので、この『お出掛けセット』さえ、鞄に入れておけばどこでも開発ができ、お勧めです。なお、このプラスチック・ケースは100円均一ショップの『キャンドゥ』で購入しました。

sodekake_L.jpg
mbedお出掛けセット

 また有線LAN回線の確保には、EMOBILEの3Gモデムに使用できるようなルータを持っていると、LANを使ったmbedのアプリケーションのデバッグも可能です。筆者の鞄には、mbedお出掛けセットとこのルータがいつも入っています(笑)。

semobile_L.jpg3Gモデムとルータ(有線LANを確保)



| | トラックバック(0)

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: mbed NXP LPC1768用ベースボードStarBoard Orange<2>

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.eleki-jack.com/mt/mt-tb.cgi/4841





カテゴリ


Copyright (C) 2006-2015 CQ Publishing Co.,Ltd. All Rights Reserved.