●初段のDC解析
電圧増幅段は、素直な周波数特性が得られるフォールデット・カスコード構成にしました。
Q6の2SK117で1mAの定電流源を構成しています。したがって、電源電圧が多少変動してもR13には3V、R15には10Vの一定電圧が発生します。D2はQ7,Q8のVbe電圧の温度変動を補正しています。
上記によりR1,R2の両端はR13の両端電圧に等しい3Vなり、10mAの一定電流が流れることになります。そして同様にR3の両端電圧はR15の両端電圧に等しく10Vになり、10mAの一定電流が流れます。
Q5のコレクタ電流が10mAなのでQ1,Q4がバランスしていれば5mAのドレイン電流が流れ、R1,R2には10mAの電流が流れていることから、Q7,Q8には5mAのエミッタ電流が流れることになります。
Q1に入力信号が加わるとQ1のドレイン電流が変化し、Q1,Q2のドレイン電流の加算値が一定の10mAのためQ4のドレイン電流も対照的に変化します。
Q1とQ7の電流も加算値が10mAと一定なため、Q1のドレイン電流に対し、Q7のエミッタ電流も対照的に変化します。
Q7,Q8のエミッタ電流とコレクタ電流はほぼ等しいため、Q1のドレイン電流が1mA増加すると、Q4のドレイン電流は1mA減少、Q7のコレクタ電流も1mA減少、そしてQ8のコレクタ電流は1mA増加することになります。
Q10とQ11はウイルソンの定電流回路を構成しており、Q11に流れる電流と等しい電流がQ10に流れます。
このことによりQ8のコレクタ電流が1mA増加しようとし、Q10のコレクタ電流が1mA減少しようとするのでQ8のコレクタ電圧が大きく変化します。
この変化の割合はQ1,Q4の差動増幅器の電圧-電流変換率にQ8のコレクタ点のインピーダンスを乗じたものになります。
R6+R17/2 = R7+R17/2 = Re
Q8のコレクタ点のインピーダンスをZL、Q1,Q4の相互コンダクタンスをgmとすると、電圧増幅段の電圧利得Avは下式から求まります。
Av = -[gm/(1+gm・Re)]・ZL
C4が高域遮断周波数を決定し、C4によりZLは周波数が高くなるとインピーダンスが下がり利得が低下していきます。
2SK117BLのId=5mAでのgmを約17mS、C4=1nFとすると、100kHzでのインピーダンスは1/(2πf・C)から約1.6kΩ、Re=49Ωなので、上式から100kHzにおける利得は約14.8倍(約23.4dB)と求まります。

下図は入力信号V1の直流電圧値を-10mV~+10mVに変化させ、DC解析した結果です。半固定抵抗R17の設定値を0.48~0.51まで変化させ、パラメトリック解析しています。
R17を0.49にセットしたとき直流オフセット電圧が0Vになっています。入力2mVで約12Vの出力電圧が得られているので、約6000倍(約76dB)の直流利得になります。
したがって、利得からQ8のコレクタ点での直流インピーダンスを換算すると約650kΩになります。
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●初段のAC解析
下記は電圧増幅段のAC解析結果で、C4を100pF,1nF,10nFに変化させ、パラメトリック解析しています。C4:1nFのとき100kHzで利得が22.77dBで計算値に近い値が得られています。
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