誌面の関係で説明しきれなかったRIAA特性周辺について、補足記事を何度かに分けてアップします。
RIAA特性とラプラス式
イコライザで使用するRIAA特性は低域での利得が大きく、高域になるにつれ利得が下がるという利得-周波数特性が規定されています。イコライザ回路の周波数特性は正式には電圧の伝達関数で入出力電圧信号波形の振幅比と位相差を表します。
図1は抵抗とコンデンサで構成したLPF回路の伝達関数を求めたものです。このように簡単なCR回路でも各周波数における利得と位相の応答特性を計算するには大変手間がかかります。
図1の(1)式のjωをsの変数で置き換えたものをラプラス式と呼び、PSpiceやLTspiceで使用することができます。したがって、シミュレータにラプラス式を書き込み実行すると、利得と位相の周波数特性が瞬時にグラフ表示されます。sはs=σ+jωで表される複素変数ですが、回路の周波数特性を表すだけならjω→sと考えて差し支えありません。
PSpiceではABMライブラリにLaplace式の部品が専用に用意されていますが、LTspiceではE(電圧制御電圧源)やH(電流制御電圧源)、G(電圧制御電流源)、F(電流制御電流源)の利得の項目にラプラス式を設定します。
図2に代表的なラプラス式とその利得-周波数特性を示します。
LPF特性にsを乗算するとHPFになります。つまりは、sを乗算すると利得特性の傾きが+6dB/oct変化し、1/sを乗算すると傾きが-6dB/oct変化することになります。
また、分母と分子を入れ替える(逆数にする)と、グラフをX軸で反転したグラフになります。
RIAA特性は、図3に示すように三つの周波数特性を合成したものです。T2の特性は高域で無限大の利得になるため単独では実現できませんが、T1の特性と組み合わせると実現可能になります。



