フルディジタル・アンプの音量調節
一般的なCDプレーヤには音量調節ボリュームはついていません。したがって、そのまま光(同軸)出力をパワーアンプであるディジタル・アンプにつないだのでは、音量を調節する場所がありません。
実際には、ディジタル・アンプ側で、以下の二つの方法で音量調節を行うようになっています。
1. 供給する電源電圧を変える
2. PCM信号に対して計算を行う
2.だけでは、音量を上げる分にはよいのですが、音量を下げる場合に「ビット落ち」が発生してしまいます。
16ビットの信号を1/2にすると1ビット、1/4にすると2ビット分の情報が失われるわけです。
そこで、たとえば、ソニー、およびTacT、TI社のチップを用いたPanasonicなどでは、1. 供給する電源電圧を変える ことによってある程度の音量調節を行います。
数字は概念的なもので、現実にこうだということではありません。
電源電圧を3V~24Vで可変した場合、およそ0.75W~50Wほどの出力範囲が得られます。一般家庭での通常の聴取状態では、ビット落ちは心配しなくてよいでしょう。夜間の小音量や、非常に能率の高いスピーカを使用している場合はその限りではありません。
次回は、マルチアンプの構成についてです。
(補)ディジタル・オーディオの信号規格
ディジタル・オーディオの信号に関する用語はいろいろなアルファベットが登場し、初心者の方にはわかりにくいです。簡単に整理してみます。◆S/PDIF
Sony / Philips Digital InterFace の略で、文字通りソニー社とPhilips社が策定した民生機器用のディジタル信号規格です。
物理的にはRCAジャックを使う同軸タイプと、光ファイバを使うオプティカル・タイプがあります。
44.1kHz/16bit から96kHz/24bit、さらに5.1チャネルのドルビー信号まで、そしてフレーム・ステータス(コピー可非、オリジナルか否か、オーディオか非オーディオかなど)を1本の信号線で伝送できるように、クロックとデータを重畳して符号化しています。◆toslink
toslink のtosは東芝のtosです。東芝の昔の汎用コンピュータにTOSBACというものがあったりします。東芝製の光送受信モジュールがディジタル・オーディオ用に広く採用されており、光送信モジュール~光ファイバー~光受信モジュールまであわせてtoslinkとなります。toslinkの使い道はディジタル・オーディオ以外にもある(汎用シリアル通信が可能)のですが、toslinkといえば光によるS/PDIF接続、というのが一般的になっています。◆AES/EBU
S/PDIF の本家ともいえるディジタル・オーディオ用の信号規格です。3ピンのXLRコネクタによる110Ωバランス伝送、あるいは75Ω同軸ケーブルとBNCコネクタ、のように民生品ではあまり見かけない部品が使われます。録音スタジオなどプロ用途です。信号の符号化方式、フォーマットはS/PDIFとほぼ同じです(と言いますか、S/PDIFのほうが後です)。◆I2S
Inter-IC Sound (Iが二つなのでI2S) の略で、文字通りIC~IC間(つまり基板上を想定)で音信号をやり取りするための方式です。左右クロック、ビット・クロック、シリアル・データ、の3本の信号線を使います。通常この線を目にするのは、S/PDIFレシーバICと、D-AコンバータICの間です。
筆者の所属するKENRICK SOUNDでは、主にJBL社製の大型中古スピーカを取り扱っています。また、この連載の後半で紹介する、チャネル・デバイダDCX2496の出力をディジタルに変更する改造も行っています。






