■波形を見る
作成したアンプの波形をオシロスコープで見てみました。
TAS5086 の PWM 出力を図6に示します。無信号時の PWM 波形を見ると 3.3V で duty 比50%, 約384kHzの矩形波でした。通常の音量時にも、 PWM 波形の幅は目で見てわかるほど変動しません。
スピーカ出力を最大ボリューム時(電源電圧 12V 時)に見た波形を図7に示します。出力が飽和して見事に波形がひずんでいます。
図8は、通常音量時の出力波形です。最大電圧は1V程度であることがわかります。
それではとテストしてみた様子が図9です。
出力段の電源 (PVDD) にかける電圧を LM317 を使った簡単な可変電圧安定化電源で変えてみました。通常の音量で聞いている分には電圧を最小(約1.2V)まで下げても、ボリュームの位置を少し変えれば、十分な音量で音楽を聴けることがわかりました。
電源ノイズを嫌うなら出力段だけ乾電池駆動というのも、ありかもしれません。
■改造について
図2のブロック図を見てください。入力部分にマルチプレクサが入っています。このマルチプレクサの代わりにジャンパ・ピンで入力を決めることができるようにパターンは設計しています。1入力でよい場合は、そのように変えることができます。ただし、同軸入力について 74HCU04 周辺の部品を1チャネル分のみに減らす場合は、74HCU04 の空いた入力ピンをプルアップ/プルダウンするようにしてください。また、光×4、同軸×4入力に改造することもできます。
DIR9001 から TAS5086 への I2S 信号、TAS5086 から TAS5142 への PWM 信号についても、ジャンパ・ピン(ヘッダ・ピン)が立てられるようにしてあります。ジャンパ・ピンの裏面でパターンをカットすれば、外部から信号を入れることができます。
TAS5086 の PWM 信号は、PWM1, PWM3, PWM5 が左チャネル、PWM2, PWM4, PWM6 が右チャンネル出力になるようレジスタで設定しています。MSP430 のプログラムを変更すれば、設定を変られます。
TAS5142 の出力段の電源 PVDD を、12V以外に設定することもできます。電源電圧によって、同じ音の大きさでもボリュームの位置が変わりますから、音質に変化があるか試してみてもよいと思います。
大きな出力を連続して取り出す場合には、 TAS5142 にヒートシンクを取り付けてみてください。ただし、最大出力時にも出力コイルの定格(983BN-1003では 5A)を超えないよう注意が必要です。またマイコン、TAS5086側の基板の固定穴のピッチはサンハヤトのユニバーサル基板にあわせてあります。
■参考文献[1]本田 潤 編著. D級/ディジタル・アンプの設計と製作. CQ出版社, 2004.
[2]MSP430x2xx Family ユーザーズ・ガイド. JAJU037A (SLAU144B 翻訳版), 日本テキサス・インスツルメンツ.
[3]MSP430x20x1, MSP430x20x2, MSP430x20x3 Mixed Signal Microcontroller data sheet. SLAS491D, Texas Instruments.
[4]TAS5086 PurePath Digital PWM Processor data sheet. SLES131B, Texas Instruments.
[5]TAS5086 PurePath Digital PWM プロセッサ使用法. JAJA136, 日本テキサス・インスツルメンツ.
[6]TAS5142 Stereo digital amplifier power stage data sheet. SLES126B, Texas Instruments.
[7]TAS5142DDV6EVM2 User's Guide. SLLU095, Texas Instruments.
(2008/07/31) 図2 の右のほうの、電源電圧を書いてあるところは、TAS5142 の電圧の説明ですが、若干右にずれていたのを修正しました。






