○電源回路
今回の電子ボリューム基板はUSBコネクタを電源端子として利用し、写真 5のようなUSB音楽機器用のACアダプタを電源として利用しました。このようなACアダプタは数多く市販されていて、手軽な電源として活用できます。
写真5 USB音楽機器用ACアダプタ
定格DC5V 500mA。
・DC入力回路
図9に、USBコネクタよりのDC電源入力回路を示します。
USB電源アダプタからのDC5Vは保護用のポリヒューズを通って、ノイズ・フィルタ・ブロックBNX002-01(村田製作所)でオーディオ機器に有害なノイズ成分を減衰させています。
その後、電源スイッチを通してディジタル電源ラインに給電しています。
図9 DC電源の入力回路
DC電源フィルタ・ブロックBNX002-01でノイズを除去する。
・アナログ電源回路
図10にアナログ電源回路を示します。PGA2311に使用する±5Vのアナログ電源は、+5Vのディジタル電源よりDC-DCコンバータを使用して作ります。
図10 アナログ電源回路
ディジタル電源よりDC-DCコンバータを使用してアナログ電源を作る。
今回使用したDC-DCコンバータは、MINIMAX社のMAU106というタイプのものです。MAU106はDC5Vの入力から±5VのDCを最大100mA得ることができます。ただし、出力は安定化されていないので負荷電流で出力の電圧が変化してしまいます。
そこで、+5Vと-5Vの出力端子間に1kΩ1/4Wの抵抗を接続して約10mAのブリーダ電流を流しています。このブリーダ電流を流すことにより、MAU106の負荷電流の変化が相対的に小さくなり、結果、出力電圧を安定させる効果があります。
写真6 DC-DCコンバータMAU106
5Vの入力から絶縁された±5V100mAが得られる。PGA2311セットとおなじ共立電子産業エレショップで購入できる。
MAU106の出力は1μFの積層セラミック・コンデンサで平滑していますが、PGA2311のアナログ電源として使用するには、まだ高周波ノイズが大きく不適です。そこで、チョーク・コイルとコンデンサによってL型フィルタを構成してスイッチング・ノイズを除去します。
チョーク・コイルは、太陽誘電のLHL06NBというドラム型インダクタを使用します。また、出力端のコンデンサには高周波特性のよいOSコンを使用しています。このL型フィルタでPGA2311の電源として十分なノイズ特性を得ています。
・コントローラ・マイコンの回路
コントローラ・マイコンCTRL2311の回路は、同セットの取扱説明書にある回路(図 3~図 6)で、使用目的に合ったものを選んで使用すればOKです。写真の試作基板ではロータリ・エンコーダを使用した回路にしました。
■まとめ
○スイッチングACアダプタとDC-DCコンバータの影響
今回の試作基板では、一般にノイズが多いとして高級オーディオ機器に敬遠されているスイッチング電源を用いたACアダプタと、基板上でDC-DCコンバータを使用した電源を使用しました。また、ベタパターンを配した専用に設計されたプリント基板ではなく、ユニバーサル基板に手配線で組み立てました。
このような条件でPGA2311の性能はどの程度出ているでしょうか? 歪率などの詳細は今後の計測編にてお知らせしますが、今回は簡単に出力ノイズを計測した結果をご覧いただきましょう。
試作基板のノイズ特性
(1) ボリューム値MIN(MUTE)時
JIS-A聴感補正値: Rch:1.8[μVrms], Lch:1.8[μVrms],
6Hz~200kHzバンド幅フラット: Rch:6.0[μVrms], Lch:10[μVrms],
(2) ボリューム値MAX(+31.5dB)時
JIS-A聴感補正値: Rch:60[μVrms], Lch:60[μVrms],
6Hz~200kHzバンド幅フラット: Rch:380[μVrms], Lch:380[μVrms],
となりました。PGA2311のデータシートのノイズ特性値とは測定条件が異なっていて直接の比較はできませんが、PGA2311の低雑音特性を十分に引き出しており、オーディオ機器として十分な低ノイズ特性を実現していると思われます。
このように、PGA2311は部品配置と配線の引き回しにさえ気をつければ、周辺部品に高性能品や高級オーディオ品を要求することもなく、優れた特性を発揮する、大変使いやすいデバイスです。この使いやすいPGA2311とコントローラ・マイコンのセットがワンダーキットより発売されたのを機に、自作オーディオ機器にもっと使用されていくことを願っています。
寺尾 大二





