PC の出力をEJ no.7 で紹介したフルディジタル・アンプにつなぐにはディジタル出力が必要です。いくつかキットも市販されていますが、せっかくなので自作してみることにしました(図1)。
チップには Texas Instruments の PCM2706 を使います。サンプリング・レートが 44.1kHz, 48kHz の CD/DAT 品質の音を出すことができます。
■データシートを読んで回路図を作る
データシートから回路図を作ってみました(図2)。フルディジタル・アンプに内蔵することを前提にしたので、アナログ出力の回路は省略しています。
電源はアンプから供給する 3.3V です。USB機器としてはセルフパワーの分類になり、PCからの電源は利用しません。アンプとの接続も、TOSLINK (光)や同軸ケーブルを使わず、直接つなぎます。
図3に集めた部品の写真を示します。発振周波数の精度が必要なので、セラミック発振子でなく水晶発振子が必要です。PCM2706 はピッチ変換基板(サンハヤトQFP-83)に載せます。USB コネクタもピッチ変換基板(サンハヤトCK-20)を用意しています。図4のようにPCM2706はかなり小さいです。
USB B, USB mini B のコネクタの各ピンには図5のようにつなぎます。
USB オーディオの出力 (DOUT) を接続する、アンプ側の基板上での位置は図6のIN1, IN2のいずれかとGNDです。IN1, IN2 は、もともと同軸入力からの信号です。74HCU14をICソケットから外すか、基板の裏面で 74HCU14 からのパターンをカットします。IN3, IN4 はTOSLINK(光)の受信モジュールがつながっています。こちらを実装しないか、パターン・カットしてもかまいません。
PCM2706 が 3.3V で、74HC153 が 5V で動作しています。本来はレベル変換回路が必要ですが、実力で動いています。個体差によって不安定になるかもしれません。切り替えが不要なら 74HC153 を外して、写真の selected 側につなぐのも一つの方法です。DIR9001は 3.3Vで動作しています。
■基板には変換基板を使う
とくにパターンは起こさず、基板にサンハヤトの0.8 mm ピッチ QFP 用の変換基板QFP-83を使って製作しています。変換基板上に抵抗やコンデンサも載せています。水晶発振子と発振回路用コンデンサは基板の裏面に実装しています。グラウンドはピッチ変換基板上の四角のパターンを利用し、電源は赤い線で引き回しています。
USB コネクタは、抜き差しのときに大きな力がかかるので、しっかりした固定が必要です。最初は図7, 8のように USB B コネクタを変換基板上に実装したのですが、小さくするために USB Mini B コネクタを裏返して基板にはんだ付けしました(図9)。
■実は...
実は試作1回目は、XTOとグラウンド、PCM2706のアナログ出力用の電源とグラウンドをショートさせてしまい、PCM2706を壊してしまいました。電源を入れる前には、よく確認しなくてはと反省です。おかげでチップを取り外す練習もすることになってしまいました...
■S/PDIF 出力で音を出してみる
気を取り直して、チップを交換して配線をチェックしたら無事音は鳴りました。音質は当然(?)外付けの市販 USB audio と変わりません。
■I2S 出力を試してみる
I2S 出力についても試してみました。PCM2706 の FSEL (9ピン, プルアップしている) をグラウンドに落とし、フルディジタル・アンプにつなぎます(図10)。アンプ側は基板の裏面でパターン・カットが必要です。
瞬間的に切り替えたりしたわけではありませんが、音を聞いてみても S/PDIF 接続との差は特にないように感じました。





