本連載では、エレキジャックNo.7(2008/07/25発売)のMission3で掲載するフルディジタル・アンプについて、設計過程を紹介します。
製作した基板
■フルディジタル・アンプとは
フルディジタル・アンプとはディジタル音声入力に対して出力まで内部の処理をすべてディジタルで処理するアンプです。ディジタル信号で直接A-Dコンバータを駆動するイメージになります。
A-Dコンバータはラダー抵抗型ではなく、PWM波形を出力し、ローパス・フィルタ(LPF)で音声帯域の信号を取り出します(図1)。入力信号に対してそのまま A-D コンバータに送ると、音量調整ができないので、ディジタル演算または出力段の電源電圧で音量を調整します。

図1.フルディジタル・アンプの信号の流れ
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■回路設計
回路は DIR9001, TAS5086, TAS5142 のデータシートやアプリケーション・ノート、評価ボードのマニュアルを参考にし、設計しました。DIR9001 については、24.576MHz のクロックは不要なので省略しています。回路図は図3のようになっています。

図3.フルディジタル・アンプの回路図
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■波形を見る
作成したアンプの波形をオシロスコープで見てみました。
TAS5086 の PWM 出力を図6に示します。無信号時の PWM 波形を見ると 3.3V で duty 比50%, 約384kHzの矩形波でした。通常の音量時にも、 PWM 波形の幅は目で見てわかるほど変動しません。

図6.TAS5086 の無信号時の PWM 出力 (縦軸2V/div, 横軸1μs/div)
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■アナログ入力D級アンプとフルディジタル・アンプの構成の違い
アナログ入力D級アンプのブロック図は図12のようになります。D級アンプといっても、処理はすべてアナログ信号処理です。PWM 波形の生成もアナログ回路になっています。PWM化とパワー・トランジスタのON/OFF時間などに起因するひずみや、電源電圧の変動は負帰還により吸収されます。
ローパス・フィルタ部分の、コイルやコンデンサで発生するひずみは負帰還のループに入っていないので吸収されません。また、音量調整用ボリュームにより、音質が変化したり、左右で音量差が目立つ場合もあります。

図12.アナログ入力D級アンプのブロック図(例)
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■プログラムの改造
プログラムを書き換える場合には、eZ430-F2013 などを用意する必要があります。eZ430 とボードの接続には、前述のようにeZ430側のコネクタが 1.27 mm ピッチのケーブルが必要です。筆者は、松下のモーション・センサ用のケーブルを流用しました(図10)。開発環境は eZ430 に付属する IAR Embedded Workbench IDE(*) を利用しています。最新版を web からダウンロードするとよいでしょう。
(*) 2008/5からTI Code Composer Essentials 無償評価版がダウンロードできるようになっています。

図10 eZ430 に、ボードへの書き込み用ケーブルをつないだところ。松下のモーション・センサ用ケーブルを流用している。電源をターゲット・ボードから供給するため、ターゲット側は3ピンのQIコネクタを取り付けている(あまっているのが電源ピン)。
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エレキジャック本誌のご案内では、販売店にて扱っていただく予定でしたが、CQ出版で販売する形に変更になりました。
今、基板(フラットICおよびチップ部品実装)+マイコン(プログラムの書き込んだMSP430)のセットを用意しました。
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11/5 14:00 本日、第2ロット分が用意できました。Webshopで購入できます。
Q&A
Q : 『エレキジャックNo7』の記事ではVDD:12V使用ですが、当方15V/3Aのスイッチング電源を持っていますのでこれを使用したいのですが、このまま使用出来ますでしょうか?
A : VCC2 (12V) の電圧範囲は TAS5142 の仕様により 10.8V から 13.2V ですので、そのままでは使用できません。15V の電源を PVDD に供給する場合には、三端子レギュレータで 12V を生成するなどして、VCC2 には上記の範囲の電圧を供給するようしてください。詳細はこちら。(2008/10/29)
Q : 記事の回路では入力の切り替えにマルチプレクサを使用し、スイッチで順番に切り替えるようになっていますが、ロータリ・スイッチでの切り替えに置き換えようと思っています。キットの基板上では、入力in1からin4までピンでショート出来るようになっていますが、ここにロータリ・スイッチをつなぎ、マルチプレクサICを取り外すだけで、正常に動作させられるでしょうか。
A : 動作する可能性はありますが、お勧めはしません。ロータリ・スイッチまでの配線を極力短くし、グラウンドと信号をペアで配線すれば、おそらく動作する場合が多いと思います。お勧めしない理由は、回路の該当部分の信号は比較的周波数の高いディジタル信号であり、ロータリ・スイッチの接触抵抗(経年変化する)によるトラブルも考えられるからです。
ロータリ・スイッチを使う場合は、U7 (MSP430) と U5(74HC153)の間の信号2本をパターン・カットし、図(RSW.pdf)のようなダイオード・マトリクスによる回路を入れると上記の問題は避けられれます。別の方法としてパターンはそのままで、LED のインジケータをつける方法があります。一つは7セグメントLEDによるもの(0, 1, 2, 3 を表示)で、一つは四つのLEDを使った表示です。いずれもテストはしていませんが、よかったらお試しください。(2008/11/19) NEW
訂正 お詫びして訂正いたします。
エレキジャックNo.7 p.96 のフルディジタル・アンプの回路図中 U11の型番 TA78055->TA7805S
10/16 17:00 本日少量ですが用意できました。Webshopで購入できます。
今回分で最初のロットが終了です。次のロットを用意していますが、為替の関係で、資材の価格の変動があった場合、定価の見直しをする予定です。11月中旬以降になりますが、用意できしだい、ここでご案内いたします。
よろしくお願いいたします。
10/10 12:00 本日少量ですが用意できました。Webshopで購入できます。
10/2 17:00 本日少量ですが用意できました。Webshopで購入できます。
9/24 CQ出版のWebshopで部品セットを販売する予定で、10セットを月曜日(9/22)に登録し、本日ご案内しようとしましたら、ほとんど売切れ状態になっています。大変申し訳ございません。
追加セットを用意していますので、用意できしだい、ここでご案内いたします。
よろしくお願いいたします。
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