2008年2月26日

最近の受信機事情 (その2)

 前回に引き続き、AR-ALPHAの特徴を説明していきます。

(2) 高速フーリエ変換処理
 高速に電波源を探知するために、10.7MHz±5MHzのディジタル化された信号は、写真5のようなDSPを使って高速フーリエ変換されます(以下FFT)。そのスペクトル強度の結果は、写真6のような大型のTFT液晶画面に、スペクトル・アナライザのように表示されます。
 これと同じ機能はSR2000Aにもありますが、AR-ALPHAの場合は、最大スパンが1GHzであることなど機能的にSR2000Aの上位バージョンとなっています。


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<写真5>

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<写真6>
 
 また、特定の閾値を超えた信号だけを自動検出する、FFTサーチ機能があり、従来のサーチと比べてはるかに高速に電波源探知できるようになりました。さらに、写真7のように時間軸で変わるスペクトルの様子を簡単に見ることができるように、SR2000Aのようなウォーターフォール機能があります。これは、短い時間にしか現れない信号を捕らえるのに有効です。

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<写真7>

(3) 高速スキャン機能
 FFTサーチ機能はとても高速ですが、帯域が10MHzに限られています。もっと広い範囲を電波探知するためには、局部発振器(以下ローカル)の周波数を変えて受信周波数を変えなければなりません。
 これまでの多くの受信機は、ローカルにはPLLを使った発振器を使ってきました。ところがPLLは、文字通りフィードバックがかかっており、ループが落ち着いて規定の周波数になるまでにはある時間がかかるので、これが高速に周波数を切りかえる障害になっていました。
 そこで、AR-ALPHAでは、ローカル信号を生成するのに、PLLをやめすべて高速のクロック1GHzのDDS(写真8)を使い発生させています。そのため、ローカルの周波数切り替えの待ち時間はほとんどなくなり、高速に広い周波数範囲を電波探知できるようになりました。

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<写真8>

(4) ビデオ受信機能
 高品位の液晶を使って、アナログ・テレビ放送の受信が可能です。また、FM変調方式のセキュリティ・ビデオ・カメラの映像もモニタすることができます。従来これらの信号処理は、専用のアナログLSIを使ってきましたが、AR-Alphaでは、いったん10.7MHzのディジタル化された信号を、FPGAを使って新たに開発したディジタル手法(図2)により復調していることが、これまでと技術的に大きく違うことです。

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<図2>

(5) たくさんの受信モード
 従来のAM、FMの受信に加えて多くのモードを受信することが可能です。
  エンベロープ検波のAM受信(通常のAM受信)
  同期検波の両側波帯のAM受信
  同期検波の片側波帯(USB、LSB選択可)のAM受信
  ISB(同時独立側波帯)受信機能
   両側波帯を独立に同時に受信する機能
  サイドバンド・ダイバーシティAM受信
   両側波帯を独立に復調し、信号が強い方を自動的に選んで受信する機能
  SSB受信機能
  RZSSB受信機能
   AM信号を片側波帯とキャリアのみフィルタリングし、AM信号をリミッタに通しFM復調を使いAMを復調する機能。もちろんRZSSB変調信号も受信できる。
  CW受信機能
  狭帯域FM信号の受信機能
  広帯域FM信号(FM放送など)の受信機能。ステレオ放送も受信できる。
  APCO-P25ディジタル信号の受信

(6) ディジタルI/Q
 これまで、外部で中間周波数の信号を使って、信号処理をする場合が多くありました。そのため多くの高級受信機ではIF出力(10.7MHzアナログ)を出力するのが一般的です。AR-ALPHAでは、せっかくIF信号をディジタル化しているのですから、そのまま信号をパソコンなどに取り込みたくなります。そうすれば、パソコン上のソフトで、受信機の中と同じような、あるいはそれ以上のいろいろな信号処理が可能となります。
 そこで、ディジタル化されたIF信号を、写真9のようにUSB2.0を使って高速にパソコンに取り込めるようにしています。USB2.0のアイソクロナス転送を使いUSB2.0の限界の約100Mbpsの速度で連続にダウンロードできます。取り込んだデータは、信号処理がやりやすいように、I/Q信号となっています。また広いダイナミック・レンジをサポートするために、浮動小数点フォーマットのデータとなっています。

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<写真9>
つづく
<西村 芳一>

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投稿者: yoshida 日時: 2008年2月26日 14:29 | パーマリンク |TOPページへ   ▲画面上へ

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