2008年3月 5日

最近の受信機事情 (その3) 最終回

 前回に引き続き、AR-ALPHAの特徴を説明していきます。

3.ゼロIF
 アナログの信号処理では、図1のようなダブル・スーパーへテロダインとなっています。しかしアナログの10.7MHzのIF信号をディジタル化した後、実はもう一度ディジタルで周波数変換しています。これを含めると、トリプルスーパーヘテロダインになります。この第3段目のIF周波数はゼロ(DC)です。
 アナログ信号処理でも、図3のようにしてI/Qで周波数ゼロのIFを作ることは可能です(ダイレクト・コンバージョンと呼ばれる)。しかし、DCオフセットという厄介な問題があり、普通ではなかなか使えません。またアナログ回路で、DCを精度よく安定に処理することは、とても難しい技術です。しかし、これをディジタル(FPGA)で周波数ゼロのI/Qに落とせば、DCオフセットの問題は解決できます。

zu3.gif
<図3>

 ゼロIFの大きなメリットは、信号の帯域制限をかければ、信号処理を低速クロックで行うことが可能で、汎用のDSPを使って複雑な処理を行うことが可能です。しかも信号はI/Q(解析信号と呼ばれる)ですべて処理されるので、高度な信号処理が可能です。
 DCに変換する? 復調と何が違うんだ? と思われるかもしれません。大きな違いは、図4に示しますように、ゼロIFでは解析信号(I/Q信号)で周波数軸にマイナスが存在します。一方復調では実信号なのでマイナスの周波数成分はありません。いいかえれば、AM変調ではUSB(上側波帯)とLSB(下側波帯)がきれいに分かれているのがゼロIFで、重なって分離できないのが復調です。


zu4.gif
<図4>


4.オーディオI/Q出力
 近年、パソコンのサウンド・カードからIF信号を取り込み、ソフト的に受信するSDRがとても盛んになってきています。たとえば、短波や中波のディジタル放送DRMを、パソコン・ベースのSDRで受信するために、Dreamというソフトがオープン・ソースで供給されています。

 これらのソフトとアンテナをつなぐためには、受信した電波をサウンド・カードで取り込めるくらいの中間周波数まで落とさなければなりません。一般的には、図5に示すような方法で、12kHzぐらいのIFが必要です。そのため、普通の短波ラジオのローカル周波数を12kHzくらいわざとずらし、バンドパス・フィルタを広めにするような改造が行われているようです。

zu5.gif
<図5>

 AR-ALPHAでもこれらパソコンのSDRソフトに対応するために、12kHzのI/Q出力が用意されています。普通のRCAコネクタに出されており、サウンド・カードと簡単に接続できるようになっています。

5.まとめ
 最近の受信機として、AR-ALPHAを参考にその機能を説明しました。限られたスペースで説明しましたので、説明不足でなかなかわかりにくかったかもしれません。

 もし皆さんのご要望があれば、その部分をもっと突っ込んで説明したいと思います。ぜひ、コメント欄でリクエストをお寄せください。

<西村 芳一>

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投稿者: yoshida 日時: 2008年3月 5日 12:02 | パーマリンク |TOPページへ   ▲画面上へ

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