2009年2月28日

速報!『KG-HFDL』 使用記 ~短波の航空機飛行データ通信を表示~

kghfdl_top.jpg
 19日発売の『別冊CQ ham radio No.7』には,「短波帯のACARS」ともいえる,HFDL(HF Data Link)の概要と短波帯を使った電波をどのような受信機やアンテナを使って受信するかなどを特集の一項目として紹介しています.
 このほど,HFDLの受信データをパソコン上で位置情報として表示するシェアウェア「KG-HFDL」が発表され,一般にも提供されることとなりました.
 ここでは,KG-HFDLの入手方法とKG-HFDLを実際に使ってのパソコン画面への表示について速報としてお届けします.
                                                      <編集部>

速報! 『KG-HFDL』ファースト・インプレッション
                            JE3AVS/KE6RD 中田勝己

受信確認とKG-HFDLの入手
 2009年2月9日,航空無線ファン待望のKG-HFDL Ver 1.0.0がリリースされた.事前アナウンスからシェアウエアになることは知らされていたが,ライセンスキーは2000円とリーズナブルなもので,
http://www2.plala.or.jp/hikokibiyori/soft/kghfdl/index.html
からオーダーできる.
 注意したいのはシェアウエアの常識としていかなる理由でも返金はされないので,作者K.G氏が勧めるようにまず無料のチェッカーで,自分の無線機がHFDL信号を捉えてデコードできるかどうかを必ず確認することだ.さらに,入金確認後送られてくるものは実行ファイルだけなので,それを立ち上げてもいっさい動作しない.まず上記のURLにある
http://www2.plala.or.jp/hikokibiyori/soft/kghfdl/datafile.zip
よりデータ・ファイルをDLして適当なディレクトリに置いておき,そこに実行ファイルkghfdl.exeをコピーして使うことになる.
 筆者の場合,チェッカーで50%程度NG表示が混じるプアな環境だが,十分に楽しめる動作をしているし,ましてや今までフリーでKG-ACARSを使わせて貰っていたことも考えれば十分すぎるほど価値のあるソフトと評価する.
 ちなみに,このブログをご覧のハムの方にもアマチュア無線の王道である短波DXファンが多いだろうが,そのサポート・ツールとしてもこのソフトは興味深い.世界中に設置された地上局と,ハム・バンドに近いチャネルが沢山あり,受信したデータは時間が記録されてログ・ファイルに残る.南北アフリカ,北極圏,中米など利用価値の高いエリアから24時間電波が出ているのでパイロット・ビーコンや伝搬の参考資料として使ってみるのもおもしろい.
checker.jpgKGチェッカーの画面.まずこれで自身の短波受信システムがHFDLをデコードできるかどうかを確かめておこう

実行ファイルのセットアップ
 セットアップは,KG-ACARSのユーザーなら,プラグアンドプレイと言って良い.チェッカーで信号を捉えていたなら,そのままKG-HFDLを立ち上げて,スクリーンのシグナルバーがピークでもレッドゾーンに入らず,ツールバー上のインジケータが信号受信時にグリーンに光るように受信機のAF(音声出力)ボリュームを調整するだけで,筆者の場合は接続後ものの1分もしないうちに最初の機影がプロットされた.
 ちなみに筆者のHFDL受信設備はアルインコのDX-70トランシーバ,アンテナはダイヤモンドのD190(V/UHF専用小型ディスコーン)を7F建てマンションの5Fにあるベランダに固定してあるだけのもので,特に短波専用の大掛かりなものではない.

KG-HFDLを動かしてみる
 では,さっそくインターフェースを紹介していこう.尚,本稿は既にKG-ACARSをお使いの読者に宛てているため,同ソフトにある機能や名称の詳細はここでは省略させていただくのでご了承願いたい.
 立ち上げた画面を見ての第一印象は「KG-ACARSに限りなく近い」,というものだ.ツールバーは実際,地図の倍率表示が異なる以外まったく同じ.僅かに地図とウオーターフォールのあるモデム・時刻表示画面の表示がシグナル・バーに変わっている程度だから,VHFからの移行に違和感はまったくないが,細部を見ると細かく作り込まれた機能が満載であることに気付かされる.
 まず受信テキスト表示ではHFDL受信データ,解析内容,フォーマットの表示,と選択肢が三つ増えていて,輸入ソフトPC-HFDLで選択できる表示パラメータと同等の設定が,手軽に行える.地図表示の選択肢は14(5~600%)から19(1~50倍率)に増え,ズームイン,ズームアウトが一層細かくできる.
 ウオーターフォールとシグナルバーが付いたモデム・時刻表示画面はクリックするとどちらもスコープ式表示に切り替えられ,PSK信号の周波数ゼロインがしやすい仕様になっている.さすがは無線機設計のプロ,K.G氏の心憎い仕掛けに感激した.ゼロインといえば,TCXOを採用していない(DX70のような)旧式リグでは長時間受信していると僅かだが周波数変動を起こすので,時々同期を取り直す方が良いだろう.

KG-HFDL追加されたメニュー
 ライトクリック・メニューの増加はKG-ACARSの23に対し,KG-HFDLでは29に増えている.
*HFDL使用周波数リスト・・・・・・HFDL使用周波数リスト画面を表示
*HFDL機体登録番号管理状況・・・・HFDL機体登録番号管理状況画面を表示           *HFDL受信状況・・・・・・・・・・HFDL受信状況画面を表示
*HFDLシステムテーブル・・・・・・HFDLシステムテーブルを表示
*パケット状態測定画面・・・・・・ネットワーク接続時に,パケットの通信状況の画面を表示
*DAT LOGファイルのインポート ・・DAT LOGファイルを読み込み
 長くなるので説明は控えるが,ACARSのように一筋縄ではいかないのがHFDLのシステムで,沢山ある周波数や細かい受信データの管理・視認をこれらの表示窓でサポートしてくれるのがKG-HFDLの優れたインターフェース設計と言えよう.これら以外のメニューはVHF版と同様で,サブ・メニューで設定パラメータが増えているものもあるが,基本は同じだからまごつくことはない.
 次は,KG-HFDLのフォルダ構造を見てみよう.メインフォルダの構造は,実はKG-ACARSと変わらない.画像を収納するPICSと標識や空港の位置を書き込むNAVファイルはVHF版と同じものがそのまま使える仕様になっており,筆者はVHF版でアップデートしたものをコピーペーストして使っている.LOGSフォルダも同様の構造だが,受信テキストの選択肢が増えた分,対応するログ取りも増えている.最大の変更部分はDATAフォルダで,VHFでは六つのファイルが,HF版では10個になった.
*D002.datファイル
*ICAO24.csvファイル
*freqs.csvファイル
*system.txtファイル
それぞれの内容は,無償でDLできるデータフォルダにあるREADMEに詳しく記述があるのでそちらを参照されたい.それ以外のファイルはVHF版と共通で,自分でカスタマイズしたファイルをコピペして使えるようになっている.ただし,ICAO24ファイルは今までのAIRCRAFTファイルのアップデート作業に加え,その機が所属するキャリアのコードやHFDL上の管理番号を入力することで,一層プロット時の内容を濃くすることができるようだ.例えば現状では4レター・コードでFLIGHTファイルに登録してあるフライトは,VHF同様に北京-香港のように空港名がプロットされるが,そうでないものはPEK-HKGのように表示されるなどKG-ACARSとは違った動作をしているので,まだ使い始めて幾らも時間が経たないこともあり,この辺りはREADMEを精読してからおいおいデータアップデート作業を楽しんで行きたい.
 さて,最後に本稿を起こしている間,バック・グラウンドで走らせていたKG-HFDLのスクリーンをご覧いただこう.
plot1_jpeg.jpgKG-HDFLの受信データ表示画面

2月11日にタイ局の13270kHzをワッチした画面を,香港を中心に15倍率で表示させている.こんなプアな設備でも,ここまで手軽に,いっさいの外部データのインストールをすることなしに日本語で楽しめるHFDLデコーダの登場により,エア・バンド・ファンに第二のACARSワッチブームを起こすことはまちがいない.HFDLビギナーが買いに走ってHF受信機の中古市場の高騰まで懸念するのは考えすぎかも知れないが,その位のポテンシャルを持ったヒット作と確信してペンを置く.


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投稿者: kameoka 日時: 2009年2月28日 13:05 | パーマリンク |TOPページへ   ▲画面上へ

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