■はじめに
近年,ロボット・コンテスト(通称ロボコン)が全国的に行われており,理工学離れと呼ばれる教育界の立て直しに一役かっています. ロボットとは,感じる(センサ)・考える(コンピュータ)・動く(モータなど)機構をすべて備えた機械を指します.ここでは最も基本的なロボットしてライ ントレース・ロボット(Line Following Robot)を作っていきます.
ライントレース・ロボットとはライントレーサとも呼ばれ,ロボットの走るべき道となる床に描いた線(ライン)をセンサで検 出(トレース)しながら走行するロボットです.ロボット・コンテストの種目の一つとしてライントレース・ロボットは古くからあり,床に描かれた曲線(コー ス)を周回してタイムを競い合います.
写真はビュート・チェーサ[Beauto Chaser]と呼ばれるロボット・キットです.現在,ヴイストン(株)[Vstone]から5,985円という手頃な値段で販売されています.
<写真1>ビュート・チェーサ[Beauto Chaser]の外観
■ビュート・チェーサのステップアップ
このビュート・チェーサには[VS-WRC003]と呼ばれるH8マイコン[H8/36064]を使ったマイコン・ボードが搭載されています.本体は標準でセンサ入力とモータ出力を備えており,ロボットのように動きがあるハードウェアの制御に適しています.H8マイコン・ボードは生物が外部からの光に反 応して動くような「光走性」と言われる性質を模したプログラムが記憶されています.搭載されている赤外線センサを使って車体を回転させながら光源を探索 し,光を感知するとそこに向かって前進します.
当Webページでは,まずはビュート・チェーサを使ってライントレース・ロボットを製作します.初心者にもわかりやすいように車体の組み立てからH8マイコンのハード/ソフトの製作まで詳しく解説していきたいと思います.
それが終了したら,「より正確に」,「より速く」走れるようにハードとソフトを工夫 していく様子を解説します.クランク(直角)のラインも曲がれるようにしましょう.ライントレース・ロボットにとってクランクは最大の難所ですが,腕の見せ所でもあります.
さらに発展させて、障害物をよけるライントレース・ロボットにステップアップしていきましょう.これからロボットやプログラミングに挑戦 したいと考えている中高生,大学生の皆様の第一歩のきっかけになれば幸いです.
■H8マイコンはアマチュアのロボットに広く利用されている
電子機器を制御するうえで,マイコンはなくてはならない部品です.世の中で使われているマイコンは数多くの種類があり,各社特徴のあるマイコンを開発し ています.中でもルネサステクノロジのH8は高性能なマイコンとしてアマチュアのロボットに使われる頻度が高く,ライントレース・ロボットの制御にも広く 利用されています.
このビュート・チェーサには[VS-WRC003]と呼ばれるH8マイコン[H8/36064]を使ったボードが搭載されています.このマイコン・ボー ドはロボットのように動きがあるハードウェアの制御に適しており,ライントレース・カーに必要なDCモータ駆動回路(2ポート)とセンサ入力回路(標準で 2ポート,コネクタ増設により最大4ポート)を装備しています.
また,H8マイコン・ボードにはUSBシリアル変換回路が装備されているため,パソコンと USBケーブルを接続すればプログラムの書き込みが簡単にできます.プログラム書き込み用のボードを別途用意する必要はありません.さらに,二つのLED と圧電ブザーも標準で搭載されており,はんだ付けが不要なため手軽にC言語プログラミングの学習ができます.H8マイコンの詳しい解説については,基礎編を ご覧ください.
<写真2>H8マイコン・ボード[VS-WRC003]の外観
■H8マイコン・ボード[VS-WRC003]の主な仕様
・サイズ:51×47×13mm(幅×奥行き×高さ)
・重量:13g
・マイコン:ルネサス テクノロジ製 H8/36064
・センサ入力:アナログ入力2チャネル取得可能(コネクタ増設により最大4チャネル)
・モータ出力:DCモータ2チャネル制御可能
・LED×2個搭載
・圧電ブザー搭載
・インターフェース:USB接続
・電源:USBバスパワー給電,または単3乾電池×4
次回は,ビュート・チェーサの梱包部品の紹介や組み立てに必要な工具について解説していきましょう.お楽しみに!
< Yoshihito Shimada >


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