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AVRライタ(COM-SPIブリッジ)の製作(1) ハードウェアの製作


 RS-232Cのシリアル・ポートに接続して使用するAVRライタを、専用のプリント基板を使って製作します。この連載では、AVRライタを製作してAVR用の開発環境を整え、簡単なサンプル・プログラムをAVRチップに書き込むまでの手順などを解説します。

 今回はAVRライタのハードウェアを製作します。まずはCOM-SPIブリッジAVRライタ(以下AVRライタ)をプリント基板(#173)を使って製作する手順を説明します(プリント基板、AVRライタ用のファーム・ウェア書き込み済みAVRチップは筆者Webサイトで入手可能)。

 ここで製作するAVRライタは、COM-SPIブリッジと呼ばれているものです。シリアル信号(RS-232C)とSPI信号を相互に変換してシリアル通信でAVRライタを制御するために、このように呼ばれています。オリジナルの回路はChaN氏が製作されたCOM-SPIブリッジで、その回路にSenshu氏が一部変更を加えられたものを、筆者がプリント基板化したものであることを、初めにおことわりしておきます。なお、掲載、基板製作、販売に関してはChaN氏、Senshu氏に許可していただいております。

(1) 製作の準備
 今回は、筆者が製作したAVRライタのプリント基板を使った組み立てについて説明します。抵抗器の本数は多少多いものの、全体の部品点数は少なく、高価なものや特殊な部品は使っていないため、安価に製作できます。プリント基板は50mm×25mmと小型ですが、D-SUBコネクタの一部が基板からはみ出します。基板が小さい分、部品の密度が高いので製作手順に注意しないと組み立て難くなります。
 


製作したAVRライタ

 
 とくに特殊な部品はありませんが、背面に取り付ける抵抗器は1/6Wの小型のもの(1/4Wでも小型のものなら可)を使用してください。D-SUBコネクタはメス専用です。パソコンと接続するためにはストレート・ケーブルを用意してください。ATMEL純正のケーブルを接続するために2×3のピン・ヘッダを使用する場合は、コネクタが干渉するため、HC04にICソケットは使用できません。電源電圧が5Vでしか使わないという場合は、AVRにはAT90S2313-10も使用できます。なお、AVRにはAVRライタのファーム・ウェアが書き込まれたものが必要です。ブランクの場合は、別のAVRライタでファーム・ウェアを書き込まなければなりません。
 おもな使用部品の一覧を次表に示しますが、このほかにISPケーブル用の線材、コネクタ類などが必要です。

#173 COM-SPIブリッジ AVRライタ部品リスト
部品名 型番、値 数量 回路記号 備考
#173 プリント基板 #173 1            
AVR ATtiny2313 1 U1         10MHzまたは20MHz
D-SUBコネクタ 9P メス 1 CN1          
HC-MOSIC 74HC04 1 U2          
LED(赤) φ3 1 LED1          
LED(緑) φ3 1 LED2          
抵抗器(茶黒黄金) 100kΩ 1/6W 3 R1 R3 R5      
抵抗器(茶黒橙金) 10kΩ 1/6W 1 R9          
抵抗器(茶赤茶金) 120Ω 1/6W 5 R2 R4 R10 R11 R13  
抵抗器(茶黒茶金) 100Ω 1/6W 1 R12          
抵抗器(茶黒赤金) 1kΩ 1/6W 1 R15          
抵抗器(橙橙赤金) 3.3kΩ 1 R14          
抵抗器(黄紫赤金) 4.7kΩ 1/6W 3 R6 R7 R8      
積層セラミック・コンデンサ 0.1uF 3 C1 C2 C5      
ジャンパ(ピン・ヘッダ) 1列×3 1 JP1          
ジャンパ・ピン   1 -         JP1用
レゾネータ 9.22MHz 1 X1          
ICソケット 20P   1 -         AVR用
ビス M3×8 2           D-SUBコネクタ固定用
ナット M3 2            


AVRライタ本体の部品 基板、部品のレイアウト図
AVRライタ本体の部品 基板、部品のレイアウト図

(2) AVRライタ本体の製作
 初めに、背面(はんだ付け面)に取り付ける部品をはんだ付けします。はんだ付け面に部品を実装する際、リード線が部品面に飛び出すと、ICなどにぶつかりますので、できるだけ飛び出さないように注意してください。

 まず、下の写真、図のように抵抗器(R9、R10、R11、R12)のリードをコの字に折り曲げ、はんだ付け面から差し込みます。次に部品面に飛び出している抵抗器のリード線を基板表面ぎりぎりのところでニッパで切断します。あとは、はんだ付け面の部品の側からはんだ付けします。

部品のフォーミング 加工方法 実装後の写真
部品のフォーミング 加工方法 実装後の写真
背面のレイアウト図

回路図(pdf)

 背面の抵抗器のはんだ付けが終わったら、積層セラミック・コンデンサ(C1、C2)を同じ手順で取り付けますが、コンデンサは、倒して取り付けるので、基板に挿入する前に、リード線を90度折り曲げた状態に加工しておいてください。

 背面部品の取り付けが終わったら後は背の低い部品から順番に取り付けます。HC04、ICソケット、LED、残りの抵抗器、積層セラミック・コンデンサ(C3)、レゾネータ、ピン・ヘッダの順番に取り付けるとよいでしょう。抵抗器は本数が多いですが、同じ抵抗値のものごとに取り付けると間違いが少なくなります。たとえば、100Ωを取り付ける場合は、R1、R3、R5と取り付け、それが終わったらほかの抵抗値というように抵抗値ごとに作業します。なお、LED1はシルク印刷に誤りがあり、"+"と書かれたほうにLEDの足の短いほう("-":カソード)を向けるように取り付けてください。

 最後にD-SUBコネクタをビスとナットで軽く固定してからはんだ付けします。CN2、CN3のピン・ヘッダなどは必要に応じて取り付けてください。今回の製作例では、コネクタ類は使わずに直接信号線をはんだ付けし、ISPコネクタ(後述)に接続しています。なお、AVRは電源の確認が終わるまでは実装しません。

(3) ISPコネクタの製作
 ATMEL純正のコネクタは2×3の6Pタイプ(2×5の10Pタイプもあり)のフラット・ケーブル・コネクタですが、入手性が悪いことと、かさばるということで、筆者が製作しているマイコン・ボードのISPコネクタには1列×6のシングル・タイプのピン・ヘッダを採用しています。

 このため、2×3の6PのISPコネクタを1×6の6P仕様に変換する変換アダプタ(#171B)を用意しています。この変換アダプタを利用して、ISPコネクタを製作します。なお、AVRライタの本体に2×3のピン・ヘッダを付けると、純正の6Pケーブルも使用できます(ただし、クリアランスの関係で、HC04にICソケットは使えないので注意)。使用状況に応じて製作してください。

1×6ソケットの取り付け ケーブルの配線 2×3ソケットの使用例
1×6ソケットの取り付け ケーブルの配線 2×3ソケットの使用例

 写真(左)は、変換アダプタ基板を利用したISPコネクタの製作途中のものです。ピン・ヘッダ・ソケットをはんだ付けする際は両側をワニ口クリップなどではさんで、中央のピンをはんだ付けしてからクリップをはずし、残りのピンもはんだ付けします。

 写真(中)はケーブル(バラのビニル線)を変換アダプタに直接はんだ付けしたところです。この反対側も同様、直にAVRライタにケーブルをはんだ付けしています。部品点数が増えますが、ナイロン・コネクタを取り付けてもかまいません。また、変換アダプタを使用せずに直接ナイロン・コネクタを取り付けることもできます。ただし、変換アダプタをISPコネクタにすることによりナイロン・コネクタを使うよりもコンパクトになるので、ターゲット側のISPコネクタ(ピン・ヘッダ)の実装面積も少なくて済むという利点があります。ケーブル長はあまり長くすると通信エラーが発生する恐れがあるため、20~30cmぐらいが適当です。

 写真(右)のように、2×3ピン・ヘッダ用パッドに2×3ソケット(市販品の長いものを切断して使用)を取り付けて2×3のISPコネクタとして利用することもできます。ただし、このように取り付けると、ケーブル側の配線の並びが変わりますので注意してください。

(4) 動作確認
 電源は通常、ターゲットから供給しますが、AVRライタ側から供給してもかまいません。その場合は、ISPコネクタのCN2またはCN3の空いているほうにリード線を結線するなどして電源に接続してください。

 3ピンのジャンパJP1は、通常は1-2間(レイアウト図では向かって左側2ピン)をショートしておいてください。このAVRライタのAVRチップのプログラムを別のAVRライタから書き換えるときだけ2-3間(UPD側)をショートさせます。

 動作の確認は、まずAVRチップをICソケットにつけない状態で電源を供給し、AVR用ICソケットの電源ピン(10番がGND、20番がVCC)に供給した電圧がきているかを確認します。このとき、LED2が点灯します。
 あらかじめAVRライタに電源線を配線しておく必要がありますが、ターゲット・ボードがある場合はISPケーブルを接続してターゲット側から電源を供給してもかまいません。AVRライタから電源を供給する予定がない場合は、仮配線で電源を供給するようにしておいてください。電源電圧はAVRにtiny2313を使用している場合は2.7~5.5Vですので、乾電池2本の3Vでも駆動できます。

 電源の確認が終わったら、D-SUBコネクタにシリアル・ケーブルを接続してパソコンと接続し、BUSYランプが点灯することを確認します。このランプはAVRライタの電源が切れていても点灯します。なお、ターミナル・ソフトなどが動いていてシリアル・ポートが使用中のときは、BUSYランプは点灯しません。この場合はターミナル・ソフトなどを終了してシリアル・ポートを開放させてください。

 ここまで確認が終わったらいったん電源を切ってから、AVRチップをICソケットに挿入します。取り付けの際は向きに注意してください。あとの動作確認には書き込み対象のAVRチップが載ったターゲット・ボードが必要になります。



リンク
 COM-SPIブリッジ オリジナル(ChaN氏のサイト)
 senshu氏のサイト
 筆者のサイト


 次回は、AVRライタの書き込みソフト"avrspx"のインストールと使い方を簡単に説明したあと、簡単なターゲットとなるAVR回路を製作して、実際にターゲットにサンプルのプログラムを書き込んで動作確認します。


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