すでにご承知のとおり、4月にPICマイコンのソフト開発環境ツール(ソフト)がバージョンアップされています。開発環境MPLAB IDEはV8.10になりました。また、PIC書込アダプタ「PICkit 2 Development Programmer/Debugger」(以下PICkit-2ライタ)用の単独の書込ソフトは2.50となりました。
今回はPIC16Fユーザとしてこれを試してみることにします。なお、記事内容は執筆時点のものです。
1.バージョンアップ情報
マイクロチップ社ホームページにある最新版のソフト開発環境ツールは無料で入手できます。
MPLAB IDEの説明やバージョンアップ案内はここ
最新のダウンロード・モジュールは、次のようにWebページの下のほうにあります(クリックで拡大)。
同、PICKit-2関連のアダプタやプログラム、ドキュメントなども更新されています。
さらに、日本のマイクロチップ社のホームページもリニューアルされています。
マイクロチップ・テクノロジー・ジャパン社のホームページ
とくに、技術サポートは従来あった「問い合わせメール・アドレス」が消え、代わりにフォーラム形式(日本語)に変更されています。
2.ソフト開発環境ツールMPLAB IDE V8.10インストール
最新版をダウンロードしてインストールしてみます。なお、プログラム・ダウンロードやインストール時、ユーザ登録は必要ありません。
2-1.サポートするPICマイコン一覧
PIC16Fマイコン・ユーザからみると、今回のMPLAB IDE V8.10のバージョンアップされた内容は、とくに新しいものがないようにみえます。
安価な純正アダプタ、PICKit-2ライタは後述する単独の書込ソフトと、このMPLABから操作できます。MPLABコントロールならば、次のことができます。
・別途書込アダプタを準備しての書き込み
・基板に取り付けたままの書き込むICSP(in-circuit programming)
・そのままデバッグができる
とくに筆者はPICkit-2ライタを使って「マイコンを接続したままできるデバッグ(In-Circuit Debugging)」がどの程度なのか気になります。
MPLABがPICkit-2でサポートしているPICマイコンについては下記のリリース・ノート(V8.10用)に書いてあります。
MPLABV8_10 PICkit-2 ReleaseNotes.htm
このリストを見ると、PIC16F819はヘッダ・ボードなしでのデバッグをフルサポートしているようです。残念ながら、ヘッダ・ボードなしで可能なPIC16F88はこのバージョンでもまだベータ・サポートのままです。
2-2.MPLABをインストールしてみる
インストールするパソコンは、先にレポートした前のV8.00の入ったWindows XP(SP2)で行うことにします。つまり、このパソコンに、そのままバージョンアップ版V8.10を上書きする方法でインストールしてみます。
もし、すでにMPLABインストール済みのバージョンがV8.xx以外だった場合は、あらかじめそれをアンインストールしておくことが必要です。
最新のMPLAB IDE V8.10ダウンロードはここ(ZIPファイル)にあります。
試した手順は次のとおりです。
・パソコン内の旧バージョンV8.00はそのまま (上書きバージョンアップ)
・ダウンロードしたZIPファイルを展開(解凍)
・中にあるファイル名Install_MPLAB_v810.exeを実行
・今回はセットアップ・タイプを”カスタム”でインストールするよう指定
16ビットPIC関連や32ビットPIC関連、それに使わないデバッグ・ツールの指定をやめる
あらかじめ不要モジュールをインストールしないため、インストール作業はとくに難しいメッセージ画面もなく簡単に終了します。インストール完了後は旧バージョンV8.00が削除されているようです。
一応ショート・カットのアイコンをクリックして「MPLABの起動」を確認しましょう。
2-3.過去の2件の問題は?
動かしたところ、前のバージョンV8.00で発生した二つの問題点はこのバージョンでも解決していないようです。
まず最初に:
前のバージョンで発生した問題の「Windowsの漢字名ログイン・ユーザではMPLABが起動しない」という件も試してみました。インストール後、新たに漢字名(2バイトコード)のログイン・ユーザを作ってMPLABを起動すると、やはり前バージョンと同様に最初の画面が出るだけで起動できませんでした。
現時点での対策は漢字ログイン・ユーザ名を使わず半角英数文字のログイン・ユーザ名を使うのが簡単な解決です。
もう一つ:
旧バージョンV8.00で起きた「Windows Update」の繰り返しという問題も発生しました。これはこんな現象です。
「Windows Update自動更新によるセキュリティ更新プログラム (KB936181)が正常にインストールできず、何度も繰り返すようになった」
この現象はV8.10インストールしたあとの電源OFFの時に次の画面のように「重要な更新インストール」画面がでました。翌日、再度動かして見ると、毎回電源OFFのときに同じ現象が発生しています。これは何度か試したところ、繰り返しとなっています。
画面を見たとおりメッセージに「KB936181」などの文字がないので、ちょっと不明ながら過去の「V8.00バージョンでの対策」を試してみました。
その対策とは、「入っているmsxml4を削除し、日本語版のものをインストール」というものです。次のような方法を試したところ、筆者の場合OKになりました。
手順は:
(1) 日本語版の「msxml4-kb936181-jpn.exe」をマイクロソフト社のホーム・ページからダウンロードする。
(2) ダウンロードしたファイルを実行して「remove」を選択して削除する。
(3) 終わったら、電源OFF時インストール作業を行う
セキュリティ更新(Windows Update)による更新プログラムのインストールが実行される。
と、なります。
この対策はあくまでも筆者が行った方法です。マイクロチップ社等にて正式な対策方法が公開されたときにはそれに従ってください。
これらのMPLAB関連の情報は、新たに設置された前述「技術サポート - フォーラム(日本語)」に対策が掲載されるかと思われます。
%%%執筆時点で確認したところ、これらの対策はまだ記載されていません。
後田敏
