○マイナスのバイアス電源をつくる
バイアス電源はLCDパネルを駆動するための電源なので、1mAクラスの電源でOKです。
この程度の容量の電源を作るには、チャージ・ポンプという回路がピッタリです。チャージ・ポンプ回路は、交流駆動源の位相に合わせてスイッチ(この場合はダイオードをスイッチとして用いる)でコンデンサの接続を切り替えて充放電を繰り返すことで電圧を変換する回路です。
チャージ・ポンプ部分の抜粋を図3に示します。
図3 チャージ・ポンプ回路部
図3は、HCS08マイコンのタイマ波形出力を利用して約-1.9VのLCD用バイアス電源を生成している回路です。コンデンサとダイオードで構成されています。使用するコンデンサは通常パスコンとして使用している0.1μFの積層セラミック・コンデンサ、ダイオードは小信号スイッチング・ダイオードで1S1588、1S953、1SS270Aなどが使用できます。
R1のレギュレーション抵抗は、コンデンサへの充放電電流の制限のほかに、ブレッドボードで配線ミスなどをした場合に対するデバイス保護の役割もあります。
HCS08マイコンのタイマは、100kHzの方形波発振器としてチャージ・ポンプを駆動しています。チャージ・ポンプは、駆動源の位相、つまり方形波の波形が図4のようにHighとLowのときに動作が切り替わります。
図4 チャージ・ポンプの動作模式図
図4のように、マイコンで生成された3.3Vの方形波がチャージ・ポンプのダイオード順電圧降下の影響で約-1.9V程度になってしまいます。この電圧降下によって、ちょうど良いバイアス電圧が得られます。
写真2 LCDモジュール駆動チャージ・ポンプ版
マイコンの右下のCR,ダイオードがチャージ・ポンプ回路。
SD1602HUOBはバックライトなしでもよく見える。
マイコンの右下のCR,ダイオードがチャージ・ポンプ回路。
SD1602HUOBはバックライトなしでもよく見える。
○チャージ・ポンプ型の弱点
バックライトの点灯は無理ながら、簡単な回路の追加でLCDモジュールを試すことができるチャージ・ポンプ型ですが、弱点があります。それは、チャージ・ポンプ回路の駆動をマイコンのタイマ出力で行っているため、マイコンが停止すると表示が消えてしまうことです。
USBSPYDER08を使ってデバッグ中にCPUを止めると表示も消えてしまうことになり、少々難儀することがあります。
対策としては、ターゲット・マイコン以外の別回路でチャージ・ポンプを動作させることを考えます。
具体的にはタイマICのLMC555などで駆動することや、手持ち部品の活用としてUSBSPYDER08に付いていたMC9S08QG4を専用発振器にすることも考えられます。
もっと抜本的な解決策が、次回紹介予定のDC-DCコンバータ型です。
○次回の予告
次回もLCDディスプレイ・モジュールをつなげる回路です。
つぎは、バックライトをつけることができるるよう、DC-DCコンバータを使用してモジュールを駆動します。DC-DCコンバータにはお手軽に使用できる3端子型コンバータICを使用します。
その後、LCDモジュールを制御する簡単なソフトウェアを解説します。
<寺尾 大二>
(2008/09/22 修正)図3。LCD回路図内コントラストVRの摺動子の位置を変更。
