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書籍 「試しながら学ぶHC08マイコン入門」 付属プリント基板で学ぶ R-2Rラダー型D-A変換器の最終回です。 振り返ってみて理解をさらに深めます。
◆ R-2Rラダー回路についてもっと知る
前回で R-2Rラダー型D-A変換器の説明は一通り終わりましたが、いくつか補足しておきます。下図は、ここで問題にしてきた回路です。
これと併せて、第22回 で出てきた下表を見てください。
この表を見て何か規則性を見つけよう、というお話がありましたね。 その答えを書いておきます。
出力ビットb0 と A点の電圧、出力ビットb1 と B点の電圧、出力ビットb2 と C点の電圧、出力ビットb3 と D点の電圧をそれぞれ対応させて見ていくと、次のことが言える。
b3~b0 がどの組み合わせのときでも、あるビットだけを 1⇔0 すると、対応するポイントの電圧が 1.6V 増減する。
b3~b0 がどの組み合わせのときでも、あるビットだけを 1⇔0 すると、対応するポイントの隣のポイントの電圧が 0.8V 増減する(左右にある場合は左右とも)。
b3~b0 がどの組み合わせのときでも、あるビットだけを 1⇔0 すると、対応するポイントの二つ隣のポイントの電圧が 0.4V 増減する。
b3~b0 がどの組み合わせのときでも、あるビットだけを 1⇔0 すると、対応するポイントの三つ隣のポイントの電圧が 0.2V 増減する。
いかがでしょう。 この関係を利用して、D-A変換器が上手に構成できるというわけです。 R-2Rラダー回路の美しいところは、このように 「どこから見ても、どの節も同じように見える」 という点ではないでしょうか。
繰り返しになりますが、R-2Rラダー型D-A変換器の原理として、次のように説明することができます。
【R-2Rラダー型D-A変換器の原理】
上の図のような R-2Rラダー回路において b3~b0 に 0[V] または VDD を任意の組み合わせで出力したとき、あるビットを 1⇔0 すると、対応するポイントの電圧が 1/3 VDD 増減する。
同時に、その隣のポイントの電圧が (1/3 VDD) / 2 増減する。
同時に、そのまた隣のポイントの電圧が (1/3 VDD) / 4 増減する。
同時に、さらにその隣のポイントの電圧が (1/3 VDD) / 8 増減する。
R-2Rラダー回路は、どこをとっても同じように扱えるので、隣り合う 4個の節について端っこの点を出力として見ると、4ビットの D-A変換器として成り立っている。
いきなりこれを読んでもなんのことやら?だったと思います。 前回までの内容を理解した上で読むと、「なるほどなあ」 と納得していただけるのではないでしょうか。
最後に 第20回 で見たような 『出力となる節の抵抗を取り払った回路』 について説明します。 下図のように、左端の 2R を取ってしまった回路に相当します。
これではなんだか R-2Rラダー回路としてバランスが悪くなりそうですね! ・・・実はそのとおりで、この回路では 「どのビットをオン/オフしても対応するポイントの電圧が同じ量だけ増減する」 とはいかなくなります。 E0 をオン/オフしたときの A電圧の増減よりも、E1 をオン/オフしたときの B電圧の増減の方が大きいのです。 このことからも想像できるとおり、D点の電圧すなわち D-A変換結果の電圧は、左端の 2R を取らない基本的な回路に比べると、より大きい電圧を取り出すことができます。 そのため、左端の 2R がない構成の D-A変換器をよく見かけるのです。
この結果についてピンとこなかった人は、次のように考えてみてください。 まず左端にあった抵抗が GND に繋がっていたことを思い出してください。 これがなくなるということは、各部分の電圧について考えると、全体的に GND 側ではなく電源電圧側に移動するはずですね。 つまり出力電圧が大きくなるということです。
さてそれでは、計算で確認してみましょう。 問題にしているのは D-A変換の出力電圧ですから、D点だけについて見ていくことにします。
上図は、左端の 2R があるときの回路図です。 矢印で示したところから見た合成抵抗は R です(第23回 の復習)。 E3~E0 によって決まるある電圧(何でもよい)を Ex として書き直してみると、このようになります。
Ex を R と 2R で分圧した値が D点の電圧、ということで、
VD = 2/3 × Ex です。 この 2R を取ったらどうなるか、という話ですから、そのときの D点の電圧を VD' とすると、2/3 倍されていたのがなくなる、つまり 3/2 倍になるので、
VD' = 3/2 × VD となります(Ex は何でもよかった)。
もともとの VDは VD = 1/3 ×(E3 + E2/2 + E1/4 + E0/8) ということがわかっていますから(前回の復習)、
VD' = 3/2 × 1/3 ×(E3 + E2/2 + E1/4 + E0/8) となって、
VD' = 1/2 ×(E3 + E2/2 + E1/4 + E0/8) これが答えの式です。
式から得られる計算値を表にしてみました。 第20回 のグラフ(横軸は整数)と比べてみてください。 ピッタリ一致していますね。
先ほどの計算式の求め方が不安な方は、端っこに 2Rの抵抗(終端抵抗と呼ばれることもある)が付いている構成はいったん忘れて、端っこの2Rの抵抗がない回路だけを考えて計算をやり直してみるとよいかもしれません。 どこからどう見るかによって合成抵抗が異なるため注意が必要ですが、「重ね合わせの理」 を使えば、気が遠くなるほど大変な計算というわけではないはずです。
6回にわたって R-2Rラダー型D-A変換器の解説をしてきました。 ずいぶん長くなってしまいましたが、変に省略するとどこで読者の方が引っかかってしまうかわからないので、あえて省略せずに解説しています。 いくぶん冗長気味でしたが、ご了承ください。
「今までいくつかの解説を読んできたけど、初めてスッキリと理解できた」 という方が一人でもいらっしゃれば、こんなに嬉しいことはありません。 また、「この記事は良かったなあ」 と感じてくださった皆さんが拙著 「試しながら学ぶHC08マイコン入門」 を購入していただけたなら、この上ない喜びです。 ありがとうございます。
【応募方法】
エレキジャック編集部のメール:アドレス eleki-jack@cqpub.co.jp
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締め切りは2009年1月24日(日)まで(当日消印有効)です.
次回は、 【製作】パラレル式リモコンとマイコン・カーの回路 の予定です。
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『参考文献』
「試しながら学ぶHC08マイコン入門」 (CQ出版)
第9章 USB-HC08デバッグ・ツールを自作する
第10章 統合開発環境CodeWarriorを使ってみる
Appendix F KMC908QY4Aユーザ・モード・モニタ入りマイコンの知識
筆者のホームページ 『マイコン工作の実験室』
組み込みエンジニア KAWANO
