« HC08マイコンの使い方QY4A編 -《27》【製作】パラレル式リモコン・カー(2) | メイン | HC08マイコンの使い方QY4A編 -《29》【製作】パラレル式リモコン・カー(4) »

HC08マイコンの使い方QY4A編 -
《28》【製作】パラレル式リモコン・カー(3)


モータ・ドライバIC MPC17531A (フリースケール)を試そう! 後ほど説明します。

  (前回からの続き)

(5) 左右独立制御と一括制御の組み合わせをどう区別するか考える
 ここまで見てきたように、走行制御の押しボタン・スイッチには異なる 二つのタイプを採用しています。 一つは 「右正転、右逆転、左正転、左逆転」 を備えたタイプで、これを左右独立制御、または タイプA と呼ぶことにします。 もう一つは 「前進、右折、左折、後退、(停止)」 を備えたタイプで、これを一括制御、または タイプB と呼ぶことにします。(停止) にカッコを付けた理由は、もっと後で説明します。
 3種のリモコンは、下記のように分類できます。

3remocons2.jpg

3種のリモコン

 

 写真右 シリアル式リモコン ・・・・・ タイプA
 写真中 抵抗分圧式リモコン ・・・・・ タイプB
 写真左 パラレル式リモコン ・・・・・ タイプB

 しかし最初に動かしてみるのは、モータ制御に直結した動きとなるタイプAのほうがより適していると言えます。 パラレル式リモコンをタイプAではなくタイプBにしたのはなぜだったか、よくよく考えてみると・・・・・そうでした。 2003年~2004年版のマイコン・カーの場合は、車体本体に操作スイッチが付いていて、それでタイプAでもタイプBでも操作が可能だったのです。
 今回は車体本体に操作スイッチを付けないので、最初に作るリモコンでタイプAの操作をすることを考えてみます。 単純に考えて、5本あるスイッチ信号のうち 4本だけを使うようにすれば、あとはプログラムの組み方だけで対応可能です。 欲を言えば、タイプAのパラレル式リモコンとタイプBのパラレル式リモコン、どちらが 10ピン・リモコン端子に接続されているかを区別できたら楽しいですね。 そのために、余った 1本のスイッチ信号(5番ピン)を L に落としておくことにしましょう。 これで電源投入時に判定すればよさそうです。

 結局、新しく作るタイプAのパラレル式リモコンの回路図は次のようになります。
 

remocon_para_typeA.gif

新しく作るパラレル式リモコン(タイプA)

 
(6)
問題なし
 

(7)(8) タイマ・モジュール機能の PWM 出力が可能な PTA0/TCH0 端子はデバッグ用に確保したいので、残った PTA1/TCH1 端子をどのように使うか考える
 圧電サウンダの出力は、普通の出力ポート、またはタイマ・モジュールの PWM出力を使いたいところです。 一方、LED 出力も、普通の出力ポート、またはタイマ・モジュールの PWM出力を使いたいのですが、自由に使えるのは PTA1/TCH1 の 1本しかない、というお話です。 どちらも PWM を使った実験をしてみたいので、ジャンパ・ピンを使って切り替えようかとも思ったのですが、やはりスマートではありません。 それに、同時に使えないのでは実際の利用が制限されるという問題もあります。
 迷った挙句、PTA1/TCH1 端子は圧電サウンダに割り当てることに決めました。 LED は普通の出力ポートを使います。 オン/オフのタイミングがほんの僅か変わっただけでも音なら判別できますが、LED では気付かないだろうから面白みに欠ける、というのが選定の理由です。
 

(9) 問題なし
 

 これで設計のための確認が終わりました。 以上の条件を反映して回路図を書くことにします。

 ・・・・・ ここで問題が発生しました! 回路図を書くにあたって、以前にも読んだはずの TA7291P のデータシート を開いてみると、ロジック部の電源電圧範囲が 4.5V~20V となっていました。 今回の作品では電源として単三乾電池 2本の 3V だけしか用意しないことに決めていますから、このままでは動かすことができません。 これは困りました。

 対策案として、次の四つを考えてみました。

案1. 電源は電池 2本の 3V だけ、というのをあきらめて電池を 3本にする。 その場合、電源電圧は 4.5V になる。 TA7291P の電源電圧には適合するが、下限いっぱいである。

案2. 電源は電池 2本の 3V だけ、というのをあきらめて電池を 4本にする。 その場合、電源電圧は 6V になる。 マイコンの電源として 6V は不適なので、LDO(低飽和電圧レギュレータ)で 5V を作る(遊歩ロボット・ニジークはこの方法だった)。

案3. DCDCコンバータを使って、3V から 5V を作る。 ただし電流容量の小さい DCDCコンバータではモータが回せない。 また、TA7291P で出力できる電圧は電源電圧よりも 2V ほど狭くなるため、3V 電源をモータ駆動系に使うと満足に駆動できない。

案4. TA7291P を使うのをやめて、3V でも使えるモータ・ドライバICを探す。

 根本的には 案1 から 案3 は同じ対策です。 つまり電源電圧を上げる、ということです。 この場合は 前回 検討した 3V動作可能な赤外線受光モジュールも、必要なくなります。 しかし、電源電圧を上げるというのは面白みに欠けるので、できればやりたくないというのが本音です。 そんなわけで、案4 の 3V でも使えるモータ・ドライバICを探してみることにします。
 あちこちのインターネット・ショップを探したのですが、個人でも気軽に1個から購入できて、低価格なものがなかなか見つかりません。 希望する購入条件にピッタリ合うわけではないのですが、まあ、これを選ぶしかないかな、と思えるものを一つだけ見つけることができました。

  MPC17531A フリースケール・セミコンダクタ (PDF資料
  アールエスコンポーネンツ 330円(税込み)

 

20pin-soic.jpg

 この製品は 2ch入りで 2個の DCモータを駆動することができるため、ICが一個で済みます。 ということは、1ch入りの TA7291P と比べて割安になるのですね。 意外に良い選択かもしれません。 気掛かりはもうちょっと入手性が良いといいのに・・・という点と、フラット・パッケージであるという点なのですが、たかだか 0.65mm ピッチですから初心者でもコツがつかめればなんとかなるだろう、と思っています。

 このICはフリースケール・セミコンダクタ社の製品ということで、この連載にピッタリです。 今回はこれを使う方向で進めてみましょう。 回路図を書いてみると、次のようになりました(クリックして別画面を開き、右クリックして画像を保存)。
 

miconcar_rev1.gif

試作を行うための仮の回路図

 
  気になるところをちょっとメモ書きしておきます。 

・ ポリ・スイッチはヒューズの役割をする部品。 電流容量は 100mAとしておく。
・ R13 は抵抗分圧式リモコンの電圧に影響があるので精度が気になるが、ほかの抵抗と同じく ±5% にしておく。
・ モータ・ドライバICの出力保護のため直列に入れた R1, R2 は、実際に動かしてみて値を決定する。

 
 今回示した二つの回路図について、部品表を作成しました。

● 新しく作るパラレル式リモコン(タイプA) 部品表 (クリックで拡大)
  

remocon_para_typeA_parts.gif

 
● マイコン・カー(回路図Rev.1) 部品表
 (クリックして別画面を開き、右クリックして画像を保存)
 

miconcar_parts_rev1.gif

 今回はちょっと作業が後戻りしてしまいましたが、本当に試作と連載を同時に進めているという感じがよく伝わって、面白いエピソードになったのではないかと思っています。 なお、選定し直したモータ・ドライバICが本当にうまく使えるかどうかは、現時点では何とも言えません。 これからそれを確認していきますので、ご了承ください。
 次回は部品をそろえて製作に取り掛かります。

 

 『参考文献』
「試しながら学ぶHC08マイコン入門」 (CQ出版)
  第9章 USB-HC08デバッグ・ツールを自作する
  第10章 統合開発環境CodeWarriorを使ってみる
  Appendix F KMC908QY4Aユーザ・モード・モニタ入りマイコンの知識
筆者のホームページ 『マイコン工作の実験室』

組み込みエンジニア KAWANO

 

カテゴリ:

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.eleki-jack.com/mt/mt-tb.cgi/2457

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

カテゴリ

会社案内
情報セキュリティおよび個人情報の取り扱いについて

コメントとトラックバックは、spamを予防するために、編集担当が公開の作業をするまで非公開になっています。
コメントはそれぞれ投稿した人のものです。

Powered by
Movable Type 4.1