ハードウェア関係のまとめです。MPC17529 の利用についても説明します。
◆ まっすぐ進む? 進まない?
実は 第37回 の頃から気になっていたことがあります。 それは・・・・・前進と後退のときにまっすぐ進まないのです。 少しだけとはいえ明らかに右に曲がりながら進んでしまうのです。 ということは、右側のタイヤの回転が遅いということです。 思い付いた要因をいくつか挙げてみました。
(1) 左右のモータの個体差
(2) ダブル・ギヤ・ボックスの左右の摩擦の不均衡
(3) モータ・ドライバIC の左右の不均衡
(4) 左右の電流制限抵抗のばらつき
(5) 右側のモータの劣化
最初に (1) を疑いましたが、よく考えるとこんなに曲がってしまっては、タミヤ社にクレームが殺到しそうです。 可能性は薄いと判断しました。 (2) については、丁寧に組み立てましたし、グリスも指定されたとおりにきちんと塗っています。 左右でこんなに差が出るとは考えにくいです。 (3) については、1個の IC に 2チャネルが収められていますから、これが原因とは考えられません。 (4) については、測定はしていませんが規格上は ±5% 以内のばらつきがあるはずです。 たぶんもっと誤差は少ないと思っているので、これほど影響が出るというのも考えにくいです。 (5) については、モータをロックさせる実験をしたのは左側ですし、はんだ付けもそんなにゆっくりとは作業していないので、これが原因ではないだろうと考えました。
どれも決め手に欠ける、ということになってしまいましたが、事実クルマのおもちゃは右に曲がるのです。 ひょっとすると複数の要因が絡んでいる、という可能性もあります。 とりあえず、なんとかして直したいので次の二つを試してみることにします。
(ア)右側の電流制限抵抗を小さくしてみる。
(イ)右側のモータを新品と交換してみる。
(ア) R2 の 3.9Ωと並列に抵抗を付けてみます。 実験の結果、13Ωを付けるとまっすぐに進むようになりました。 そのときの合成抵抗は 3Ωになります(合成抵抗 2.7Ω以上を守ること)。 まあ一応これで直ることは直りましたが、右側だけ電流を多く流すことになったわけですし、電池への負担も増えてしまったことになり、すっきりしません。
(イ) 今度は 追加した 13Ωの抵抗を取り外して、右側のモータ交換というのを試してみました。 近所の模型店で FA-130 モータを買ってきて、早速交換! ダブル・ギヤ・ボックスに付属している FA-130タイプのモータと、市販の FA-130モータの写真を示します。
(左)ギヤ・ボックスに付属のモータ (右)市販の FA-130 モータ
市販の FA-130 モータを使う場合は、リード線の留め具を外して、リード線を外してください。 熱を加え過ぎないこと、力を加えないこと、時間を長くかけ過ぎないことが大事です。
右側のモータを交換した結果は・・・・・まっすぐ進みました!! なあんだ、(5) 右側モータの劣化が原因だったのですね。 いつの間に・・・・・。 よくよく思い出してみると、モータのノイズ吸収用セラミック・コンデンサを付け替える際、少しばかり力を加えながら熱してしまったように思います。 白い合成樹脂の部分が熱と力によって変形した可能性がありますね。 この工作に使った部品の中で、最も熱に弱い部品はモータだということがよくわかりました。 皆さんはこういうことにならないよう、充分ご注意ください。
◆ ハードウェアのまとめ マイコン・カーMPC17531A 編
一通りの実験が終わりましたので、あらためてハードウェア情報を載せておきます。
回路図 ・・・・・ 第37回 に掲載
部品表
(クリックで拡大)
ユニバーサル基板の配線パターン図 ・・・・・ 第32回 に掲載
◆ ハードウェアのまとめ パラレル式リモコン編
パラレル式リモコン(タイプA/タイプB) についてまとめておきます。
回路図 ・・・・・ タイプA 第28回、 タイプB 第27回に掲載
部品表
(クリックで拡大)
ユニバーサル基板の配線パターン図 ・・・・・ 第34回 に掲載
◆ ハードウェアのまとめ マイコン・カーMPC17529 編
連載の途中でモータ・ドライバ IC に MPC17529 を使うことを思い付き、検討した結果うまく使えることがわかりました。 MPC17531A とほとんど同じ仕様の IC ですが、次のような特徴や違いがあります。
(参考価格は アールエスコンポーネンツ 2009年4月の税込価格)
いってみれば MPC17529 のほうが探していた IC に近いものだったというわけです(これで DIP 品があれば文句なし)。 MPC17531A の場合はロジック電源が 5V に対応していないため、第32回 で急遽 R15~R18, D3~D6 を追加して IC の VDD 接続先を回路図中の VDD から +3V に変更したという経緯があります。 MPC17529 ならばロジック電源が 5V に対応していますから、これらの変更はすべて必要ありません。 しかもお値段は安いというのですから、ありがたい話です。
MPC17529 を使ってみた(クリックで拡大)
回路図 ・・・・・ 下図に示します。 結局、第28回 で示した最初の回路図と基本的には同じです(R1, R2, C9, C10 と IC が変わっただけ)。 IC が変わったので 4ピンの機能が PSAVE から /OE に変わっていますが、どちらもLに落とした状態が普通の動作状態なので不都合はありません。
MPC17531A バージョンとの差異を赤色で示した(クリックで拡大)
部品表 ・・・・・ 上で示した MPC17531A 編の部品表を参考にして、R15~R18、D3~D6 を削除、U2 は MPC17531A から MPC17529 に変更してください。 後は同じです。
ユニバーサル基板の配線パターン図 ・・・・・ 第31回 に掲載したものがそのまま利用できます。 むだにならなくてよかったです。
◆ この作品における MPC17531A と MPC17529 の組み合わせ
以上、MPC17531A 編と MPC17529 編ということで別々にまとめてみました。次にこれらをミックスして使うことができるか、ということを考えてみます。 結論を書いておきます。
【 OK な組み合わせ 】
(1) MPC17531A バージョンの基板に MPC17529 を載せるのはOK。【 NG な組み合わせ 】
(2) (1) の状態で IC のロジック電源を回路図中の +3V から VDD に変更するのはNG。
理由: デバッグ時に IN1A(B), IN2A(B) の入力電圧が不足する。
(3) (1) の状態でD3~D6 を外すのはNG(R15~R18はあってもなくても)。
理由: デバッグ時に VIN が絶対最大定格を超えてしまうため。
(4) MPC17529 バージョンの基板に MPC17531A を載せるのはNG。
理由:デバッグ時にロジック電源の耐圧を越えてしまうため。
(5) (4) に加えて、IC のロジック電源を回路図中の VDD から +3V に変更してもNG。
理由: デバッグ時に VIN が絶対最大定格を超えてしまうため。
次回は追補版です。 これまでにパラレル式リモコンとマイコン・カーの学習で作ったプログラムをすべてユーザ・モード・モニタ入りマイコン用に書き直し、デバッガを使った実験を行います。
『参考文献』
「試しながら学ぶHC08マイコン入門」 (CQ出版)
第9章 USB-HC08デバッグ・ツールを自作する
Appendix F KMC908QY4Aユーザ・モード・モニタ入りマイコンの知識
筆者のホームページ 『マイコン工作の実験室』
組み込みエンジニア KAWANO
