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HC08マイコンの使い方QY4A編 -
《49》【製作】抵抗分圧式リモコン(1)


 A-D変換器をマスタしたところで、抵抗分圧式リモコンの製作に取りかかりましょう。 マイコン・カー本体(第41回 参照) はすでに抵抗分圧式リモコン対応になっているので、今まで使ってきたものをそのまま使うことができます。
 

remocon_res_00.jpg

動作確認をしているようす (クリックで拡大)
マイコン・カー本体を浮かせておくと作業性が良い

 

◆ 抵抗分圧式リモコンを作る
 古い回路図を 第27回 で示しました。 しかし 第38回 で書いたように、最初に作った 2003年頃と現在とでは左と右の考える順番が異なっているのでした。 パラレル式リモコンのときは作った後で気が付いたので仕方がないのですが、今回はもう知ってしまっています。 わざわざ古いリモコンに合わせて、新しいマイコン・カーとの整合性を悪くする必要はないでしょう(そんな大げさな話でもありませんが)。 そんなわけで、変更した抵抗分圧式リモコンの回路図を下記に示します。
 

remocon_res_01.gif  

新しい抵抗分圧式リモコンの回路図
第28回 の定義によるタイプB

 
 回路図中の抵抗の単位はΩです。 よく見るとあまり使われないような値もありますが、いずれも E24系列 と呼ばれる数値に含まれており、それほど特殊というわけでもありません。
 押されたスイッチを抵抗値によって区別する回路はこの構成のほかにも考えられます。 ここで示した構成の特徴は、複数のスイッチを同時にオンにした場合でも中途半端な抵抗値になることがなく、思わぬ誤動作を避けることができます。

 このような一見するとでたらめな抵抗値を使うことによってどういった効果があるのでしょうか? ここは大事なところなので、しっかり抑えておきましょう。

 まず考え方から説明します。 車体側のマイコン回路にある 1kΩのプルアップ抵抗を仮にR1 とします。 そして、リモコン全体の合成抵抗値を仮にR2 とします。 電源電圧 VDD を、R1 と R2 で分圧した電圧を A-D変換して読み込み、スイッチの押下(おうか)状況を判定します。

 上の回路図を見ればすぐにわかりますが、前進SWをオンした状態では、リモコン全体の合成抵抗値は 91Ωになります。 前進SW を押さずに 左折SW を押した状態では、91+240=331Ωです。 以下、同様に加算されていきます。 下表を参照してください。 分圧比 R2/(R1+R2) も記してあります。 さらに、電源電圧が 3V のときと 5V のときとで、それぞれ実際の電圧値も併記しました。 参考にしてください。
 

remocon_res_02.gif

 抵抗値や電圧といった回路的なことは、これでわかったと思います。 問題は、これをどのように利用するのか、ということです。 次の表をごらんください。 設計値(分圧比)というのは、上の表にあった数字で、各スイッチを押したときに現れる結果です(これに VDDを掛ければ実際に現れる電圧になる)。

 次に、マイコン側でこれらをどうやって区別するか、ということを考えればすべてがはっきりします。 設計値(分圧比)の中間値を見てみましょう。 単純に足して 2で割っただけです。 よく見ておいてください。 マイコン側で用意する しきい値(その数値を境にして大きい・小さいを判定する基準) として、VDD を 6等分した各レベルに対応させれば・・・ピッタリ一致します! このための、一見妙な抵抗値だったわけです。
 

remocon_res_03.gif

 
 納得していただいたところで、製作に移りましょう。 ユニバーサル基板のサイズは 72×47mm、片面基板です。
 

remocon_res_04.gif

部品面から見た部品配置図(クリックで拡大)

 

remocon_res_05.gif

はんだ面から見た配線図(クリックで拡大)

  

remocon_res_06.jpg

配線のようす(クリックで拡大)
0.5mm のスズ・メッキ線を使った

 
 次に、リモコン用のコードに使うフラット・ケーブルを用意します。 10芯ケーブルのうち、実質的には 2芯しか利用しません。 そこで、材料をむだにしないために、下記の説明をよく読んでから実際の作業を開始してください。

 カラーの 10芯フラット・ケーブル 2m を 1本用意してください。 これをうまく切り分けて、抵抗分圧式リモコン用ケーブル 1本と、シリアル式リモコン・ケーブル 1本に分けることにします。

 片側だけ 次のように切ってください。 1~5 番の線を切る。 8~10 番の線を切る。 そのとき 6~7 番の線を傷付けないように注意してください。
 

remocon_res_07.jpg

1(茶)~5(緑) と 8(灰)~10(0:黒) を切る
10芯すべて残した部分は約 18mm ~ 20mm

 
 反対側を、次のように切ってください。 1~7 番の線を切る。 そのとき 8~10 番の線を傷付けないように注意してください。
 

remocon_res_08.jpg

 1(茶)~7(紫) を切る
10芯すべて残した部分は約 18mm ~ 20mm

 
 それから、次のように 三つに割いてください。 1~5 番の部分を割きます(これは使わない)。 6~7 番の部分を割きます。 これが抵抗分圧式リモコン用ケーブルになります。 残った 8~10 番の部分はシリアル式リモコン用ケーブルになります。 どちらも、片方の端がほんの少しですが 10芯そろっていることが肝心です。

 第35回 を参照して、フラット・ケーブルの 10芯そろっている方の端にコネクタを圧接してください(先日 100円ショップで安い簡易型の万力が売られていたので試してみたところ、金属だと思っていた中央のボルトがプラスチックでできており、強く締め付けると曲がってしまって圧接には使えませんでした。 残念です)。
 

remocon_res_09.jpg

1番(茶)を三角印のある方に合わせて圧接する

 

remocon_res_10.jpg

留め具も取り付けて圧接が完了したところ
第35回 も参考にして向きを間違えないようにする

 

remocon_res_11.jpg

ケーブルの反対側をユニバーサル基板へはんだ付けする
切れないようにホット・ボンドかエポキシ系接着剤で保護する

 
 ハードウェアはこれで完成です。 上の写真のようにラベル・シールを貼っておきましょう。 それから、念のために各スイッチを押しながらリモコン全体の抵抗値を計ってみてください。 上の表のR2のとおりになっているはずです。
 
 次回はソフトウェアの制作です。 デバッグの便利さの理由から、ユーザ・モード・モニタ入り MC908QY4Aマイコン (KMC908QY4A) と USB-HC08デバッグ・ツールを使う予定です。

 

 『参考文献』
「試しながら学ぶHC08マイコン入門」 (CQ出版)
  第9章 USB-HC08デバッグ・ツールを自作する
  第10章 統合開発環境CodeWarriorを使ってみる
  Appendix F KMC908QY4Aユーザ・モード・モニタ入りマイコンの知識
筆者のホームページ 『マイコン工作の実験室』

組み込みエンジニア KAWANO

 

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