ヒステリシス付きデバッグ・モード導入装置
一号機は,電源電圧に対してヒステリシスをもっていませんでした.そのため,ノイズの多い電源や立ち上がりの遅い電源に接続すると,BKGD/MS端子がバタつく恐れがあります.二号機では,電源電圧の検出にヒステリシスをもたせます.
二号機もディスクリート部品だけで作成します.
トランジスタが一つ増えて,少しだけ複雑になりました.
二号機の動作説明二号機の動作の説明を行います.この回路も,電源電圧が0.6Vを下回るときには,動作しません.
電源電圧が0.6Vを超えたとき,R2からベース電流が流れ込みトランジスタQ2とQ3がONします.また,トランジスタQ1は,ベース電圧が足りないためにOFFします.
この状態は,一見すると一号機と同じように見えますが,ちょっと違います.それは,抵抗R4の存在です.この抵抗があることで,Q1とQ3は,差動アンプとして動作することになります.
この差動アンプは,トランジスタQ1とQ3のうち,ベース電圧("CTRL"と"REF")の高いほうのトランジスタだけがONし,他方はOFFするという動作を行います.Q3のベース電圧("REF")は,Q2とQ3がONしているため,ほぼVBEに等しい電圧(0.6V)になります.Q1がOFFするのは,Q1のベース電圧("CTRL")が"REF"ノードの電圧よりも低いためです.
電源電圧がさらに上がると,"CTRL"ノードの電圧が上昇し,Q1がONし,Q3がOFFします.
Q1がONすると,Q2がOFFし,BKGD/MS端子をドライブしなくなります.このとき,"REF"ノードの電圧は,Q1のコレクタ-エミッタ間電圧を無視すると,"COM"ノードと同じ電圧になります.R2が存在するため,Q1のエミッタからR4に流れ込む電流はQ3のエミッタから流れていた電流よりも少なくなり,結果として"COM"ノードの電圧はVBEよりも低くなります.そのため,再びQ1がOFFするための"CTRL"ノードの電圧も低くなり,Q1はOFFしにくくなります.
以上のように,差動アンプを取り入れることによって,フィードバックをかけ,ヒステリシスをもたせることができました.
二号機の調整二号機でも,使用するマイコンの品種によって,目標電圧を変更する必要があります.二号機の調整は,以下の手順で行います.
- 可変電圧電源と二号機を接続します.
- 可変電圧電源を目標の電圧出力に設定します.
- 二号機のBKGD出力にLEDを接続します.
- 二号機のVR1を調整して,BKGD端子につないだLEDがちょうど消灯するポイントに設定します.
- 調整が終わったら,可変電圧電源を調整して,BKGD端子のLEDが変化する電圧を確認します.
これで,二号機の完成です.調整した結果,どのようなヒステリシスが実現できたか確認してみました.
| 設定電圧 | VRECOVER | VTRIP | VHYS |
|---|---|---|---|
| 2.0V | 2.00V | 1.84V | 0.16V |
| 2.3V | 2.30V | 2.12V | 0.18V |
| 2.6V | 2.60V | 2.36V | 0.24V |
およそ,0.2Vのヒステリシスが付きました.これで,よっぽど変な電源を使わない限り,BKGD/MS端子がバタつくことはないはずです.
次回は,さらに凝った回路を作成します.
