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OSBDMで使うデバッグ・モード導入装置 (5)


デバッグモード導入装置 ヒステリシス付きデバッグ・モード導入装置

 一号機は,電源電圧に対してヒステリシスをもっていませんでした.そのため,ノイズの多い電源や立ち上がりの遅い電源に接続すると,BKGD/MS端子がバタつく恐れがあります.二号機では,電源電圧の検出にヒステリシスをもたせます.

デバッグモード導入装置二号機を作る

 二号機もディスクリート部品だけで作成します.

デバッグモード導入装置二号機 デバッグモード導入装置二号機の回路図

 トランジスタが一つ増えて,少しだけ複雑になりました.

二号機の動作説明

 二号機の動作の説明を行います.この回路も,電源電圧が0.6Vを下回るときには,動作しません.

二号機の低電圧時動作

 電源電圧が0.6Vを超えたとき,R2からベース電流が流れ込みトランジスタQ2とQ3がONします.また,トランジスタQ1は,ベース電圧が足りないためにOFFします.

 この状態は,一見すると一号機と同じように見えますが,ちょっと違います.それは,抵抗R4の存在です.この抵抗があることで,Q1とQ3は,差動アンプとして動作することになります.

 この差動アンプは,トランジスタQ1とQ3のうち,ベース電圧("CTRL"と"REF")の高いほうのトランジスタだけがONし,他方はOFFするという動作を行います.Q3のベース電圧("REF")は,Q2とQ3がONしているため,ほぼVBEに等しい電圧(0.6V)になります.Q1がOFFするのは,Q1のベース電圧("CTRL")が"REF"ノードの電圧よりも低いためです.

 電源電圧がさらに上がると,"CTRL"ノードの電圧が上昇し,Q1がONし,Q3がOFFします.

二号機の定常電圧時動作

 Q1がONすると,Q2がOFFし,BKGD/MS端子をドライブしなくなります.このとき,"REF"ノードの電圧は,Q1のコレクタ-エミッタ間電圧を無視すると,"COM"ノードと同じ電圧になります.R2が存在するため,Q1のエミッタからR4に流れ込む電流はQ3のエミッタから流れていた電流よりも少なくなり,結果として"COM"ノードの電圧はVBEよりも低くなります.そのため,再びQ1がOFFするための"CTRL"ノードの電圧も低くなり,Q1はOFFしにくくなります.

 以上のように,差動アンプを取り入れることによって,フィードバックをかけ,ヒステリシスをもたせることができました.

二号機の調整

 二号機でも,使用するマイコンの品種によって,目標電圧を変更する必要があります.二号機の調整は,以下の手順で行います.

  1. 可変電圧電源と二号機を接続します.
  2. 可変電圧電源を目標の電圧出力に設定します.
  3. 二号機のBKGD出力にLEDを接続します.
  4. 二号機のVR1を調整して,BKGD端子につないだLEDがちょうど消灯するポイントに設定します.
  5. 調整が終わったら,可変電圧電源を調整して,BKGD端子のLEDが変化する電圧を確認します.

 これで,二号機の完成です.調整した結果,どのようなヒステリシスが実現できたか確認してみました.

二号機のヒステリシスの測定
設定電圧VRECOVERVTRIPVHYS
2.0V2.00V1.84V0.16V
2.3V2.30V2.12V0.18V
2.6V2.60V2.36V0.24V


 およそ,0.2Vのヒステリシスが付きました.これで,よっぽど変な電源を使わない限り,BKGD/MS端子がバタつくことはないはずです.

 次回は,さらに凝った回路を作成します.

田中範明(noritan.org)

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