遅延つきデバッグ・モード導入装置
ほとんどのディジタル信号には,SETUP時間とHOLD時間という制約条件があります.BKGD/MS端子の信号も例外ではなく,端子の状態を検出するために必要な時間(SETUP時間)と端子の状態を保持しなくてはならない時間(HOLD時間)が定められており,それぞれ,500ナノ秒と100マイクロ秒とされています.あわせて,数百マイクロ秒というところでしょう.三号機は,遅延回路を取り入れて,HOLD時間を保証します.
三号機も,もちろんディスクリート部品だけで作成します.
トランジスタがさらに2個増えました.二つのトランジスタで,シュミット・トリガが追加されます.
三号機の動作説明三号機の動作の説明を行います.この回路も,電源電圧が0.6Vを下回るときには,動作しません.
電源電圧が0.6Vを超えたとき,トランジスタQ1は,ベース電圧が足りないためにOFFしたままです.そのため,R6からベース電流が流れ込んでトランジスタQ5がONします.Q5がONするとQ1がOFFします.また,R2からベース電流が流れ込みトランジスタQ2とQ3がONします.
電源電圧がさらに上がると,"CTRL1"ノードの電圧が上昇し,Q4がONし,Q5がOFFします.
Q5がOFFすると,"CTRL2"ノードの電圧は,抵抗R7とコンデンサC1から構成される積分回路の作用で時間をかけて上昇し,しばらくするとQ1がONします.この後の動作は,二号機と同じです.
"CTRL2"ノードの電圧が,0.6Vに達するまでの時間は,数百マイクロ秒と見積もっていますが,この値は一概に決めることができません.その理由は,VDDの電圧が一定ではないため,C1に流れ込む電流も一定にならないためです.ちなみに,リセットICでは,R7の代わりに定電流回路でC1を充電しています.このため,"CTRL2"ノードの電圧上昇が直線状になり,C1の値に比例した遅延時間が得られます.
逆に電源電圧が落ちるときには,Q5がONし,C1の電荷を急速に引き抜くため,BKGD/MS端子は,遅延なくLOWにドライブされます.
以上のように,さらなる差動アンプを取り入れることによって,BKGD/MS端子の立ち上がりだけに遅延を持たせることができました.
三号機の調整三号機の調整方法は,二号機の調整とまったく同じです.遅延時間は,コンデンサC1のみによって決まりますが,調整中に人間の目に見えるほど大きい遅延ではないので,問題にならないでしょう.
私が持っているマイコンに対しては,全部で三種類の,どの「デバッグモード導入装置」も使用することができました.どこまで,凝った回路にするかは,お好みでお選びください.
